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「ペンは剣より強し」と言うけれど、政治家は、「剣」に代えて「言葉」を武器にしている職業である。武士の「武」は、「矛を止める」と書き「士」は、「鉞(まさかり)の刃を下部にしておく形」、その大なるものは「王」、士・王ともにその身分を示す儀器であると漢字学者の白川静・立命館大学名誉教授の「字通」はいう。
しかし、剣も鉞も言葉も、諸刃の剣である。使い方を間違えば、その刃は、自分の身を危うくする。最近の例では、岡田克也幹事長が思わず発した「意味のないパフォーマンス」という言葉である。政策マンである岡田幹事長が、いかに政局観に鈍感な政治家であるかという弱点をさらけ出した。
衆院比例単独選出議員の「不安と恐れ」を理解せず、腹の底で「小馬鹿にしていた報い」が、16人の造反として噴出した。選挙区選出であろうと、比例単独選出であろうと、「数は力」であることを忘れていた。このため衆院で「3分の2」を確保できないという最悪事態を招いてしまったのである。
スポーツ報知が2月18日、「岡田幹事長『意味のないパフォーマンス』…16議員民主会派離脱騒動」という見出しをつけて、こう報じた
「民主党の小沢一郎元代表(68)に近い衆院議員16人が17日、岡田克也幹事長(57)に衆院会派からの離脱届を提出し、同時に衆院に新会派結成届を出した。執行部は認めず、届け出は受理されない見通し。16人は2011年度予算関連法案などの採決で造反する可能性を示唆。衆院での法案再可決に必要な3分の2議席確保が絶望的となった。
民主党の岡田幹事長は17日、会派離脱届を提出した衆院議員16人の離脱届は無効だとし、離脱を認めない考えを示した。岡田氏は党に所属している限り、規約上は会派離脱はできないとして『意味のないパフォーマンスと言われても仕方ない』と皮肉交じりに語った。直接意見を聞こうとしたが、幹事長室に届け出を置いて去った16人に対し『理解に苦しむ。子供が生まれてないのに出生届が出されたようなものだ』と疑問を呈した。
処分については『あまり目くじらを立てなくてもいい』と検討しない考えだ。岡田氏は仙谷由人代表代行(65)、輿石東参院議員会長(74)と個別に会談。輿石氏は『離脱届をどうするか、どこかで考えないといけない』と、執行部として早急な対応をすべきとの考えを示した。菅首相は16人の行動に『まったく理解できない行動だ』と批判した」
東京工業大学理学部応用物理学科卒で、高等数学を勉強したはずの菅首相は、小学校レベルの算数が教える「加減乗除」が、とうも不得意らしい。たったの16人の造反により、衆院での予算関連法案再可決に必要な3分の2議席確保が絶望的となったのである。それとも、権力の座に安住して、傲慢になっているのであろうか。与党議員なら、「予算関連法案再可決に賛成するのは当然である」と単純に思い込んでいたとしか考えられない。
最も迂闊だったのは、「16人造反」の陰に「恐るべき策士」がいたことに築かなかったことだ。「恐るべき策士」とは、小沢一郎元代表の「知恵袋」「軍師」「作戦参謀」と言われている平野貞夫元参院議員(元衆議院事務局幹部、前尾繁三郎衆院議長秘書官、樋高剛衆院議員の義父)である。小沢一郎元代表が自民党を離党して「新生党」を結党した際、規約づくりなど手続き一切を任された政治家である。衆院に関する事務については、表も裏も知り尽くしている。
朝日新聞は2月18日付け朝刊「政治面」(4面)で、「離脱届 発案は小沢氏側近 平野元参院議員『私が提案した』」というタイトルをつけて、以下のように報じている。
「民主党の小沢一郎元代表の側近として知られる平野貞夫元参院議員は18日、京都市での街頭演説で、衆院議員16人が倒閣に向けて会派離脱届を提出したことについて「私が小沢氏に提案した」と明かした。平野氏は衆院事務局の職員時代から小沢氏と親しく、国会のルールに精通している。『会派離脱』構想は、平野氏が昨年末に小沢氏と会った際に『(民主党から離党者を出さずに)菅首相を代えるには、この方法しかない』と勧めた。
この時は小沢氏が『私は民主党に参加して政権を取った』と断り、立ち消えになったという。その後、平野氏は比例単独議員の1人にも構想を打ち明け、徐々に賛同者が増えて16人が行動を起こした。小沢氏は17日、平野氏に電話で『16人の意思には参った。この決断は理解しないといけない』と語ったという」
菅直人首相、岡田克也幹事長ともに、小沢一郎元代表の軍師・平野貞夫元参院議員の用意周到な計略に気づかなかったのである。従って、16人の造反は、岡田幹事長が考えるような「意味のないパフォーマンス」などというような軽々しいものではない。ただし、岡田幹事長が、思わずこのフレーズを口にしたのは、事態を深刻なものにしたくないという心理が働いたのは、事実だろう。
藤井裕久官房副長官は、20日午前6時から放映される「時事放談」の収録で、「16人の造反」について、「言いがかりですよ」と発言している。背後にいる黒幕・小沢一郎元代表がやらせている「菅政権に対する言いがかり」にすぎないと言いたいらしい。実は、この藤井裕久官房副長官も、政局オンチである。大蔵官僚出身の経済財政通ではあっても、権力闘争を仕切ることもできず、ただ単に付和雷同する単細胞である。
振り返ってみると、菅首相が「小沢さんには、しばらく静かにしておいて欲しい」と余計な発言をしたことが、今日の菅首相の「短命政権」を決定づけていたとも言える。言葉を他人を傷つけると同時に自らの身も危うくするということである。
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