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菅“孤独死”仙谷が画策…「中間派」が攻勢、地方の乱も
2011.02.19 :夕刊フジ
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110219/plt1102191507000-n1.htm
民主党内で、菅直人首相(64)の退陣論が急速に広がっている。小沢一郎元代表(68)を慕う衆院比例単独議員16人の反乱に端を発し、菅首相の盾となってきた「影の総理」仙谷由人代表代行(65)も菅首相を見限り、公明党幹部に首相退陣と引き換えに2011年度予算関連法案の成立に協力するよう打診したとの情報が駆けめぐった。菅首相は退陣を拒否し、衆院解散・総選挙をチラつかせて退陣論に対抗するが、“孤独死”は迫っている。
「『変わりやすい愛情』というのも、このランの花言葉の中に入っているようでして、そこは気をつけなきゃいけないなと…」
菅首相は18日、東京ドームで開かれた世界らん展で、こうあいさつした。そもそも党内で菅首相に対する「愛情」が支配的だったとは思えないが、16人が会派離脱を表明したことで、関連法案の成立は絶望的。党内の空気が「菅降ろし」へと一変したことは確かだ。
小沢氏に近い民主党参院幹部は同日、「鳩山由紀夫前首相が退陣した時よりもひどくなった。もう(政権行き詰まりの)流れは止められない」と指摘。中堅議員も「首相が辞めなければ、野党が予算関連法案を通してくれない」と退陣を求めた。
致命的なのは、小沢系だけでなく、菅首相寄りの議員からも同様の声が出始めていることだ。衝撃的だったのが、同日に広まった「仙谷氏が15日、公明党幹部と会談した際、首相退陣を条件に関連法案成立に協力できないか打診したが、拒否された」という情報だ。
仙谷氏に近い議員はあわてて否定。前原誠司外相は記者会見で「私の感覚では、そのような取引をするはずがないと思っている」と述べた。
しかし、民主党関係者は「茶飲み話程度だ」と矮小化に躍起だが、事実関係は認めた。仙谷氏は官房長官として菅政権を支えたが、野党時代に「菅代表」降ろしに動いたこともある。
前原グループの若手議員は「仙谷氏には、最初から菅首相への愛情なんてない。小沢切りをやらせて、前原氏に政権をつなぐための道具としか見ていない。最後は鈴をつけに行くのは自分しかいない、と思っているはずだ」と話した。
菅首相以外の政権中枢にも、ほころびが見え始めた。
18日夜、菅首相は公邸に岡田克也幹事長、枝野幸男官房長官、仙谷氏ら幹部を集め、今後の国会運営で意見交換した。
出席者によると岡田氏は一度も口を開かなかったといい、「3月にどうなる、4月にどうなると説明していたら、みんな寝てしまった。首相だけが聞いていた」(出席者)という。もはや、あきらめの境地なのか。
仙谷氏率いる前原グループとともに、菅首相の党内基盤の一翼を担う野田佳彦財務相のグループ内にも、「総辞職しかない」(中堅議員)との声が出始めている。
中間派も攻勢をかける。22日には、桜井充財務副大臣や北神圭朗衆院議員が中心となり、首相が昨年9月の代表選で訴えた公約を検証するが、「政権批判の場になる」(中心メンバー)公算が大だ。
地方の乱も続いている。執行部は19日に地方代表を集めて全国政調会長会議を、3月5日には全国幹事長会議を開く。4月の統一地方選では、候補者が民主党公認を辞退し無所属や他党に流れる現象が続いているだけに、「菅降ろし」で紛糾する可能性もある。
自民党政権時代、地方から不人気の森喜朗首相を降ろす動きに火がついたこともあるだけに、執行部は警戒している。
これに対し首相は18日、首相官邸で記者団に「首を替えたら賛成するとかしないとか、そういう古い政治に戻る気はさらさらない」と述べ、予算関連法案成立と引き換えの退陣を否定。
記者団が衆院解散の可能性をただしたのに対しては「国民にとって何が一番重要か、そのことを考えて行動する」と否定しなかった。
民主党内では親菅、反菅を問わず、「支持率が低い菅首相の下で衆院選を戦いたくない」(若手)が合言葉になっている。それだけに菅首相はこれを逆手に取って、瀬戸際外交ならぬ瀬戸際内政を展開しているのだ。
官邸筋によると首相の精神安定剤になっている伸子夫人は「支持率がマイナスになることはないから、続けなさい」と励ましているといい、これも大きな心の支えだという。予算関連法案が成立せず国民生活が混乱しても、野党に責任をなすりつけるチキンレースを仕掛けるとの見方もある。
政治評論家の浅川博忠氏は「通常国会会期末に解散・総選挙をするという約束と引き換えに関連法案を通してもらうという線が有力だ。民主党は4月の統一地方選に惨敗すれば菅首相を降ろして新代表を選び、新しい顔で衆院選に臨むことになるのでは」と話している。
大政局は、待ったなしで訪れそうだ。
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