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11/02/16
シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4ヶ国で2006年に開始されたTPP(環太平洋パートナーシップ協定)は、自由貿易協定という名の羊頭狗肉な”地域限定型排他協定”へと変容しています。即ちTPPとは、敢えてグローバル経済の分断化を図り、覇権国家としてのアメリカを再浮上させんと目論む、バラク・オバマ政権の戦略だと冷徹に捉えるべきなのです。
だから、太平洋に面していないブラジル、インド、EU(欧州連合)は勿論、APEC(アジア太平洋経済協力会議)に参加している中国もロシアも韓国も台湾も、TPPに無関心なのです。第3の開国だの黒船だのと、常軌を逸した時代錯誤な惹句(じゃっく)が飛び交っているのは何処(どこ)ぞの島国だけ。
実はTPPは、通商立国ニッポンの、貿易の自由度を低下させる”羊の皮を被った狼”なのです。米国が約70%。日本が約20%。豪州が約5%。残る7ヶ国で約5%。TPP交渉参加国に日本を足したGDP(国内総生産)の割合を眺めたなら一目瞭然です。
経済産業省から京都大学へと出向中の畏友・中野剛志氏も看破するが如く、「TPP参加交渉国の実質的な輸出先は、米国と日本しかない」。「そして米国の輸出先はほぼ日本だけで、日本の輸出先もほぼ米国だけ」。「しかし、その米国には輸出を増やす気が毛頭無い」のです。「貿易黒字国が米国への輸出に依存するのは不健全」とオバマ大統領自ら言明しているではありませんか。
だから、日本と同じく工業品輸出国の韓国は、即時若しくは段階的な関税撤廃を呑まねば交渉に参加出来ない21世紀の”不平等条約”=TPPには全く関心を示さず、2国間でルール作りを交渉するFTA(自由貿易協定)を、米国ともEUとも中国ともインドとも締結する戦略を果敢に実行しているのです。
再度、中野氏の発言を援用すれば、「日米FTAすら結べない日本が、遙かにハードルの高いTPPで、自国に有利なルール作りを出来る」筈もありません。
FTAというジョギングも、EPA(経済連携協定)というハーフマラソンも、満足に走れない素人が突如、フルマラソンのTPPに出場するぞ、と胸を張る。心臓麻痺は不可避です。似非(えせ)市民運動家の宰相は、改国ならぬ「にっぽん壊国」に向けて、無謀な突撃で躁状態です。いやはや。
カテゴリー:TPPの謎?, 日刊ゲンダイ にっぽん改国
(関連)
●[衆議院予算委2/16] <TPP> 田中康夫議員「まさしくこれは壊す国、壊国である」「まさに売国許すまじ」
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