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某野党幹部が国会内で前原誠司外相と立ち話になったときのことだ。旧知の仲の気安さから、「社会保障と税制一体改革の超党派協議なんて、そう簡単に乗れないよ」と言った途端、居合わせた周囲の人も驚くほどの大声で、前原氏がこうまくし立てた。
「そんな細かいことを話してもしょうがないんだ。国家国民のことを考えて行動すべきなんだよ!」
まるで総理気取り―前原氏周辺から聞こえてくるのは、異様な高揚感に包まれた言動ばかりだ。1月27日には自らが率いるグループ凌雲会で「(総選挙は)いつあってもおかしくない。今から準備しておくように」と発言。菅政権の重要閣僚でありながら、総理より先に解散・総選挙の可能性に言及した。
衆院本会議場でも代表質問で野党から政権に対して厳しい批判が浴びせられるなか、険しい表情で質問者をにらみつける菅首相のすぐ隣で、前原氏はしきりに頷いていた。菅グループ議員が憤る。
「総理は理解していないが、自分はわかっているとでも言いたげな態度で、あれでは菅さんの立場がない。場所を弁えるべきだ」
高揚する理由はただひとつ。ポスト菅として次期首相の座が現実味を帯びてきたからだ。政権の支持率はまた下がり、3月危機説や統一地方選惨敗後の政変説などがまことしやかに語られるなか、「首相に相応しい政治家」調査で常に上位に位置する前原氏は、「いよいよ自分の出番だと考え始めている」(民主党中堅議員)という。
後見人でもある仙谷由人代表代行が、世代交代を進めようとしているのも、「その気」を増幅させている。
「菅政権は短命に終わるというのが仙谷さんの見立て。小沢一郎元代表、鳩山由紀夫前首相も加えたトロイカを丸ごと排除するつもりだ」(前出・中堅議員)
そして極めつけは、親米派としてアメリカの覚えがめでたいこと。1月の訪米ではバイデン副大統領と会談するなどの厚遇を受け、完全に舞い上がっていた。
国交相時代には八ッ場ダムやJAL問題で手腕に疑問符がついた前原氏。高揚ぶりを心配する声も多い。
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