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<サンデー時評>「期ずれ」なんて言葉、あるんだな
サンデー毎日 2月15日(火)16時47分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110215-00000000-sundaym-pol
◇岩見隆夫(いわみ・たかお=毎日新聞客員編集委員)
〈期ずれ〉なんていう言葉があることを知らなかった。民主党の小沢一郎元代表が一月三十一日、政治資金規正法違反の罪で強制起訴されたが、それと密接不可分に重なる元秘書三人の初公判が二月七日に開かれた。
この一連の小沢裁判のなかで、〈期ずれ〉がキーワードになりそうだ。小沢弁護団の弘中惇一郎弁護士が意味を説明している。弘中さんは世論やマスコミが犯人視する被告人を無罪に導いてきた辣腕で知られる。代表例はロス疑惑の三浦和義さん(故人)だ。
弘中さんは、
「起訴状にもあるとおり、これは小沢氏の政治資金管理団体(陸山会)が、04年10月29日に土地代金を支払ったにもかかわらず、取得年月日を所有権移転登記が行われた05年1月7日とした−−という単なる〈期ずれ〉の問題に過ぎません。これは本当に刑事罰を科すべき犯罪なのでしょうか」(『週刊朝日』二月十八日号)
と語っている。取得年月日を七十日ほどずらしただけのことで、なぜこれが刑事事件になるのか、という無罪の主張だ。
〈期ずれ〉問題は、元秘書三人の初公判で論点の中心の一つになった。東京・世田谷に秘書寮を建設するための用地購入代金四億円の性格が同時に問われている。検察側は冒頭陳述で、
「石川知裕被告(衆院議員)は、土地購入自体は登記上明らかになるから政治資金収支報告書に記載せざるをえないが、所有権移転と代金支払い時期について、報告書の公表が一年遅れることで、胆沢ダム工事との関連(工事受注に便宜を図った謝礼として水谷建設から小沢事務所に一億円支払われた、とされる疑惑)が取り沙汰されないようにしようと考え、〇四年十月ごろ、大久保隆規被告に対し、
『登記をずらして取得を来年に回した方がいいんじゃないか』
と提案し、大久保も、
『じゃあ、そうしよう』
と了承した」
と述べた。単なる〈期ずれ〉ではなく、裏金受領を隠蔽しようという意図が隠されていた、とみるのである。
これに対し、石川被告の弁護人は、
「土地代金の支払いを〇四年分の収支報告書に記載しなかったのは、登記完了時に計上すればいいと考えたためだ。〇四年分の報告書が公表される〇五年秋は党代表選が予想され、小沢氏が立候補する可能性が高く、土地取得を記載するとマスコミに騒がれる恐れがあった。
支払いを〇五年に延ばそうとしたが売り主に断られ、登記の時期を延ばした。水谷建設からの裏金提供があったとの検察の主張は証拠がない。石川被告は裏金を渡したとされる同社社長と会った記憶もない」
と真っ向から反論した。だが、ここでも単なる〈期ずれ〉でないことがはっきりしている。土地購入がマスコミに騒がれるのを避ける意図があった。違法性の有無はともかく、政治家の振る舞いとしてのうさん臭さが残る。
◇問題は計上時期よりも 振る舞いのうさん臭さ
また、購入代金四億円はどこから調達されたのか。小沢さんのこれまでの説明は二転三転し、疑惑を深める一因になっているが、検察側は冒頭陳述で、
「四億円の由来について被告らが具体的な説明をしないのみならず、(陸山会に)貸し付けた小沢氏も結局合理的な説明をしていないように、公にすることができないものだった。陸山会の土地購入時期は、小沢氏の選挙地盤内の胆沢ダム工事の入札時期と重なり……」として、一億円の裏金受領の経緯を述べ、それが四億円の一部に充てられたことを臭わせた。しかし、石川被告の弁護人は、
「小沢氏の四億円は父(佐重喜)から相続した不動産売却代金が源泉で、小沢氏ほどの人物なら一、二億円の蓄積があって不思議はない」
とここでも全面対決だ。どちらかがウソなのだが、裁判によって真相が十分に解明されるかどうかは、何とも言えない。
しかし、小沢マネーをめぐる不透明さは小沢裁判の起訴事実だけではない。(1)党代表に就任した〇六年から一〇年五月まで、約三十六億円という巨額が〈組織対策費〉として党から支出され、使途が不明なこと(2)〇九年の衆院選直前、小沢さんの関係政治団体〈改革フォーラム21〉に移されていた旧新生党の解党時の残金三億七〇〇〇万円が迂回して陸山会に入り、小沢さんに近い民主党公認候補八十九人に配られていたこと、などである。
組織対策費と残金のほとんどは立法事務費(税金)とみられ、それが恣意的に使われていたとすれば、到底許されることではない。だが、裁判では審議の対象ではないから、国会が究明すべきことだが、小沢さんは、
「法廷で真実を明らかにする」
と国会での説明を拒んでいる。裁判は小沢マネー疑惑の一部でしかない。しかも、単なる〈期ずれ〉、などという言葉に象徴されるように、裁判の限界も感じる。
三年余、小沢マネーを追ってきた『毎日新聞』東京社会部の杉本修作記者が、二月九日付同紙の〈記者の目〉欄で、
〈政治資金を巡る小沢元代表の手法を私たちが問題視するのは、何も東京地検特捜部が捜査したからではない。私は検察の取材を担当した経験はなく、検察側から背中を押されて記事を書いているわけでもない。
性善説に立つ政治資金制度を逆手に取り、法の抜け穴を突くような元代表の手法を認めてはいけないと思うだけだ。法廷での「白黒」はもちろん重要だが、それがすべてではない〉
と書いていた。私も同じ思いを深くする。
いま、民主党政権は窮地に立ち、国会論戦はさっぱり先に進まない。国民はうんざりしている。政治迷走の原因の一つが小沢マネーにあることは間違いない。
政界最古参の小沢さんは、重い責任を感じるべきだ。
<今週のひと言>
愛想がつきるぞ、角界。
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