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国民も見放した小沢に“菅”敗! 「3分の2」まで握られ…
2011.02.15 :夕刊フジ
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110215/plt1102151558001-n1.htm
民主党は14日の役員会で、政治資金規正法違反事件で強制起訴された小沢一郎元代表(68)を、裁判の判決が確定するまで「党員資格停止」処分とする方針を決めた。菅直人首相(64)は小沢氏との会談で自発的離党を促したが拒否され、最も甘い処分に落ち着いた。政権浮揚を狙った「小沢切り」は国民の不信感を高めただけで、党内亀裂は深まり、小沢氏に衆院での再議決が可能な「3分の2」のキャスチングボートを握られる形になってしまった。菅首相の敗北との見方が強い。
「小沢はバジリスクだな」。今回の結果を受けて、永田町の関係者はそうつぶやいた。バジリスクとは欧州で古代から語られる架空の怪物。猛毒を持つ毒蛇の王で、馬上から槍で突き殺しても、槍からその毒が伝わって馬もろとも死ぬ、といわれる。菅首相は小沢氏というバジリスクを突き殺そうとしたが、その毒にあおられ、民主党もろとも瀕死の状態になった−という例えだ。
枝野幸男官房長官は「国民から一定の理解が得られると思う」と小沢氏の処分方針に胸を張ったが、政権浮揚の材料になる可能性は低い。
「党員資格停止」は、党倫理規則のうち、「除名」「離党勧告」に続く最も軽い処分。党にとどまり議員活動は続けられるが、党費の納入や党議拘束に従う義務を負う一方で、小選挙区支部長から外され、党からの活動費も受け取れなくなる。処分中に解散・総選挙があった場合の公認は、執行部の胸三寸だ。
小沢氏の処分は15日夕の常任幹事会に諮られ、党倫理委員会の意見を踏まえ最終決定する。常任幹事会は35人のメンバーのうち「非小沢系」議員が過半数を占めるため、山岡賢次副代表や川内博史衆院議員ら小沢系が処分決定に抵抗したとしても、党員資格停止の処分が覆る可能性はない。
「資格停止」とはそれなりに重いようにも思えるが、党執行部は当初、小沢氏の「除名」や「離党勧告」を念頭に置いていた。菅首相も11日、小沢氏と直談判し「裁判が終わるまで党を離れてほしい」と離党を促していた。共同通信が11、12両日に行った世論調査でも小沢氏は「議員辞職すべき」が52・8%、「離党すべき」が24・4%で、執行部の大甘処分に世論の不満が募る可能性は高い。
小沢氏に近い若手議員は「小沢氏はお金も持っているし、痛くもかゆくもないのでは。この辺が落としどころかな」と語り、自民党の石原伸晃幹事長も「普通は(党)除名になるが、逆に処分が軽くなった」と皮肉った。
だが、大甘処分にもかかわらず、党内亀裂は確実に拡大した。
14日の役員会前には、小沢系議員約30人が詰めかけ、「国民は小沢さんの処分なんて求めていない」と岡田克也幹事長に詰め寄り、岡田氏と一悶着が起きた。役員会でも、小沢氏に重い処分を求める幹部に輿石東参院議員会長が「明日からどうなるか分からんぞ。自分が言ったことにみんな責任を持て」とすごむ一幕があった。
この対立は菅内閣の総辞職や衆院解散・総選挙、政界再編にもつながりかねない。2011年度予算関連法案の成立に向け、執行部は衆院で3分の2以上による再可決を模索しているが、小沢系が造反したり欠席すれば「3分の2」を割り込むことになる。
川内氏らは「予算関連法案を再議決するためには、小沢氏の1票は大事だ」と牽制。中堅議員も「(議決の際に)おなかが痛くなる人が出るかも」と脅しをかける。別の小沢氏側近からは「これで法案は一本も通らなくなり首相は辞めるしかなくなる。辞めないなら飛び出して新党結成だ」と「新党宣言」まで飛び出す始末だ。
ただ、強制起訴を控える小沢氏や周辺に、そこまでの力が残っているかには疑問もある。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「仮に民主党代表選になっても小沢氏は出馬できないし、衆院選になれば小沢氏は公認されないうえに小沢グループは壊滅する。小沢氏との比較だけなら、意外と菅首相が損して得を取っている可能性もある。ただ、国民生活不在の権力闘争を見せられる国民は辟易している。どっちも負けだ」と話している。
■民主党常任幹事会のメンバー
【脱小沢派】(18人)
菅直人首相、仙谷由人代表代行、渡部恒三倫理委員長、鉢呂吉雄副代表、岡崎トミ子副代表、石毛えい子副代表、岡田克也幹事長、藤村修幹事長代理、玄葉光一郎政調会長、安住淳国会対策委員長、長浜博行財務委員長、横光克彦組織委員長、馬淵澄夫広報委員長、渡辺周国民運動委員長、武正公一常任幹事、長島昭久常任幹事、古本伸一郎常任幹事、土肥隆一常任幹事会議長
【親小沢派】(11人)
羽田孜最高顧問、山岡賢次代議士会長、輿石東参院議員会長、羽田雄一郎参院国対委員長、仲野博子常任幹事、松宮勲常任幹事、岸本周平常任幹事、武内則男常任幹事、川内博史常任幹事
【中間派】(6人)
石井一選挙対策委員長、直嶋正行両院議員総会長、滝実総務委員長、山根隆治企業団体対策委員長。川口博常任幹事、田中慶秋常任幹事
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