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http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-February/007457.html
[CML 007574] 穴を開けられた「かんぽの宿」
donko at ac.csf.ne.jp donko at ac.csf.ne.jp
2011年 2月 11日 (金) 23:05:47 JST
坂井貴司です。
転送・転載歓迎。
北海道有数の景勝地であり、有名な観光地である上川町層雲峡付近に、大きな穴が二つ開けられた廃墟があります。リゾートホテルのような建物です。廃墟になってから時間が経っていません。穴は自然に開いたのではなく、重機などで破壊したようです。
この廃墟は、郵政民営化で廃止された「かんぽの宿層雲峡」跡です。
民業圧迫、お役所仕事、非効率で高コストだと激しく攻撃された郵政に対する批判材料として、無駄な箱物だと叩かれたのが「かんぽの宿」でした。
確かに施設のほとんどが赤字か収支トントンでした。
その一方で、地域の貴重な雇用の場であり、農水産物の買い手であり、重要な宿泊施設でした。
民営化後「かんぽの宿」は廃止され、売却されました。その際、不当に安い価格で売却されたことが明らかになりました。しかもその買い手が、小泉純一郎前首相や竹中平蔵の「友人」だった企業でした。
さて、今日(2月11日)21時から放送されたNHK総合・ニュースウオッチ9(http://www.nhk.or.jp/nw9/)が、「その後どうなったかんぽの宿」特集を放送しました。先に書いた「かんぽの宿層雲峡」を取り上げました。
37億円の費用をかけて建設されたこの「かんぽの宿層雲峡」は開業してわずか4年で廃止されました。あるリゾート開発会社に約1億7千万円で売却されました。
この価格自体不当に安すぎるものでしたけれど、買収したリゾート会社は「ホテルとして営業を再開しても、収支がトントンで大きな利益が見込めないので、転売先を探している」と言って、放置しました。さらに、年約1500万円の固定資産税の支払いを免れるために、建物に大きな穴を開けたのです。
これが穴を開けられた理由です。
そして、この「かんぽの宿」跡は、経営コンサルタント会社に転売されました。この会社は、さらにホテル営業をしたことがない、ゲーム販売会社に所有権を売りました。
このゲーム販売会社はホテル営業をする気はありませんでした。借金を抱えていた会社は、会社の資産価値の数字を大きくするために、コンサルタント会社の助言で「かんぽの宿層雲峡」跡をはじめ複数の土地・建物を買収したのです。ちなみに、「かんぽの宿層雲峡」跡の資産価値は、約5億5千万円と評価されました。実はこの数字は操作されたものでした。
結局このゲーム会社は経営破綻しました。「かんぽの宿層雲峡」跡の営業再開はめどが立たなくなりました。
番組の中で取材を受けた、上川町の町長は、
「仁義というものが全くない。町や町民と一緒になって跡地をどう活用すべきか話し合いがなかった。すべて一方的だった」
と怒りをあらわにしていました。
上川町は「かんぽの宿層雲峡」への道路建設などで、予算約8千万円を出しました。それがムダになってしまいました。財政難に苦しむ過疎地の自治体にとって大きな損失です。
今も、「かんぽの宿層雲峡」は雪の中で無残な姿をさらしています。荒廃する一方です。
この事件は、郵政民営化の実態と、カネ儲けのためならなんでもあり、あとは『わが亡き後に洪水は来たれ!』(あとは知ったことか!)の資本主義の本質が見事に表しています。
「民間企業に任せればすべてうまくいく」というのが新自由主義者の主張ですけれど、それはウソだということを、この事例が物語っています。
坂井貴司
福岡県
E-Mail:donko at ac.csf.ne.jp
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「郵政民営化は構造改革の本丸」(小泉純一郎前首相)
その現実がここに書かれています・
『伝送便』
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――――――
<参照>
([CML 007574] 穴を開けられた「かんぽの宿」 から)
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