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【高橋昌之のとっておき】菅VS小沢最終ラウンド 勝者なき戦いの行方は?
2011.2.13 18:00 :産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110213/stt11021318010005-n1.htm
政治資金規正法違反罪で、民主党の小沢一郎元代表が強制起訴されたことを受けた小沢氏の進退問題をめぐり、菅直人首相と小沢氏が10日、会談しました。会談では、菅首相が小沢氏に自発的な離党を求めたのに対し、小沢氏は潔白を主張して拒否し、この問題をめぐる菅首相と小沢氏のバトルは、最終ラウンドに突入することになりました。
会談は、菅首相が一応、自分の考えを改めて伝えだけに終わり、あとはまた党執行部に丸投げしたという印象ですが、いずれにしてもこれでまた、党執行部と小沢氏サイドのバトルが始まるわけです。そこで、今回は菅首相と小沢氏の対決の背景と今後の行方を、私なりに分析してみたいと思います。
結論を先にいうと、私はこのバトルは菅首相、小沢氏双方にとって「勝者なき戦い」だと考えています。バトルは昨年10月に東京第5検察審査会が起訴相当の議決を出して、小沢氏の強制起訴が決まったときから延々と続いてきましたが、「国民不在の民主党内の権力闘争」ととらえられ、民主党の支持率低下の大きな要因となってきました。
今回の菅首相と小沢氏の会談を受けて、小沢氏に対して実際に「離党勧告」あるいは、それよりワンランク低い「党員資格停止」といった処分を下すかどうかは、また党の役員会で議論されることになります。まずは14日の民主党役員会が注目されますが、仮に役員会で小沢氏の処分が発議されることになっても、処分を決定するには常任幹事会、倫理委員会で議論しなければなりません。
しかし、小沢氏を支持する議員は処分そのものに反対していることから、それぞれの場で激しく抵抗するとみられ、簡単には決着しないでしょう。結局、党執行部と小沢氏支持議員との対決が続き、民主党内の対立はさらにクローズアップされることになります。
このバトルが延々と繰り返されていることについては、小沢氏支持議員だけでなく、菅首相を支持する勢力の中からも「平成23年度予算の成否がかかっているこの時期に、党内の対立を激化させるのは良くない。このあたりで矛を収めた方がいいのではないか」との声が出てきています。
また、4月に統一地方選を控えている民主党の地方議員の間では、党内対立による支持率低下で、離党や党の公認返上の動きが相次いでいます。「いい加減に党内の権力闘争はやめて、国民のための政治に全力をあげてほしい」というのが、地方議員らの声でしょう。
こうしたことから、10日の小沢氏との会談を前に、ある首相に近い関係者が菅首相に対して「小沢氏の処分問題はそろそろ収めた方がいい」といさめる動きがあったそうです。しかし、菅首相は「この問題で自分の姿勢を弱めるわけにはいかない」と耳を貸さなかったようです。
ただ、この関係者は「首相はまだ実際に小沢氏を処分する決意と、戦略は持っていないようだ。しかし、首相としてはとにかく自分の姿勢だけは示さないといけないという様子だった」といいます。
ある民主党関係者は「首相は周囲から『低下し続けている内閣支持率を上昇させるには、小沢氏に厳しい処分を下すしかない』と吹き込まれているようだ。しかし、小沢氏を処分しても大して支持は回復しないだろう。それ以上に党内の分裂が決定的になり、政権運営は行き詰まる」と危惧(きぐ)しています。
仮に小沢氏に対して党員資格停止など何らかの処分が下された場合は、小沢氏を支持する議員が猛反発するのは必至です。このため、これらの議員が管政権の政策には賛成できないとして、法案などの採決で造反する可能性があり、それでなくても厳しい状況にある23年度予算の関連法案の成立は、全く見通しが立たなくなってしまいます。
関連法案が成立しなければ、その予算は執行されませんから、まさに菅政権の運営は否定されたことになり、菅首相の進退問題に発展しかねません。小沢氏に対して処分を下すことは、「菅首相にとって自分で自分の首を絞める」(小沢氏支持議員)ということになりかねないのです。
一方、小沢氏を支持する議員が抵抗して、党執行部が小沢氏の処分に踏み切れなかった場合も、菅首相がこれまで強い姿勢で臨む考えを強調してきたがゆえに、リーダーシップに疑問符がつき、内閣支持率はさらに低下するでしょう。小沢氏にとっても処分されなかったというだけの話ですから、「勝利した」ということにはなりません。逆にこれによって、民主党の支持率がさらに下がれば、民主党政権の立て直しをねらう小沢氏にとってもマイナスでしかありません。
結局のところ、やはりこのバトルは菅首相と小沢氏双方にとって「勝者なき戦い」なのです。バトルが長引けば長引くほど、菅首相と小沢氏だけでなく、民主党全体にとってマイナスに働くでしょう。
「勝者」はだれかといえば、言うまでもなく野党です。4月に統一地方選を控えていますから、政権与党の民主党の支持率が低下すれば、野党は極めて有利に戦うことができます。地方議員は国政選挙の手足となりますから、地方議員の数が増えることは来る衆院選、参院選で大きな力となります。
ある自民党幹部は「民主党内の小沢、反小沢の対立はもはやおさまらないだろう。対立が深まれば深まるほど、こちらは民主党政権を攻撃しやすくなる。それを通じて衆院解散・総選挙に追い込めれば、政権を奪回できる」と意気込んでいます。公明党やみんなの党なども、統一地方選をにらんで同様の見方でしょう。
国民も民主党の党内抗争には「全力を挙げてやるべきことは他にあるだろう」と、いい加減うんざりしていると思います。21年8月の衆院選で国民が示した民主党への期待はこれまで、ことごとく裏切られ続けてきました。その結果、内政も外交も今や、国家的危機に直面しています。
私は民主党内の対立がもはや修復不能で、党が一致してまともに政権を運営できないということなら、いっそのこと民主党は政権を返上すべきだと思います。民主党を割って政界再編をするか、衆院解散・総選挙を行って国民の信を問い、支持が得られないなら潔く下野したらどうでしょうか。国民の民主党不信はもうそこまで来ているように思えます。
この状況を菅首相は分かっているのでしょうか。民主党関係者は「菅首相はごくわずかのイエスマンの側近としか相談せず、耳の痛い話は聞かないから、客観情勢が見えなくなっている」と打ち明けます。菅首相は追いつめられている現状を、一気に挽回(ばんかい)しようとして焦っているのかもしれませんが、そんな感覚で国政を動かされてはたまりません。
一方、他の民主党議員も「このままの政権運営ではいけない」と口では言いますが、そう思うなら、菅首相のもとで政権を立て直すのか、それが無理なら首相を代えるのか、決然と行動すべきです。日本はすでに国家的危機を迎えているわけですから、与党の議員は国を背負っている責任を自覚してほしいと思います。
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