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いよっ!一夜にして腰砕けな口先番町 【田中康夫 にっぽん改国】
2011年2月9日:日刊ゲンダイ
http://gendai.net/articles/view/syakai/128814
「法人税を1円も納めていない企業は、全体の7割に上ります」。2月8日の衆議院予算委員会で、野田佳彦財務大臣は僕の質問に答えました。
正確には71.5%。資本金1億円を超える企業に限っても51.5%。それは連結決算対象の法人数を省いての数値ですから、ナント、日本経団連や経済同友会の会員企業も6割以上が法人税を納めていないのです。
連結決算の仕組を大手企業は巧みに「運用」し、赤字欠損に陥ると自動的に7年間、法人税も法人事業税もゼロ。住民税に当たる法人県民税を、法律の規定に基づき僅か80万円納めるだけ。
にも拘(かかわ)らず、律義に納税する3割の企業の影に隠れて、法人税が高いから苦しい、と経済団体は唱和していたのです。ベア交渉で息巻く労働組合と殆ど変わらぬ御都合主義な心智です。
平成元年迄の日本は、法人税率が42%。が、往時の方が日本経済は元気でした。“オンリーワン・ファーストワン”の精神で生み出された製品は、他国・他社の追随を許さず、高い利益率を誇っていたのです。
が、白物家電に象徴されるコモディティ商品は自ら価格破壊を生み出し、安価な労賃の他国・他社の前に、競争力を失っていきます。敢えて申し上げれば、独創性の希薄化が齎(もたら)した結果です。
企業の利益でなく支出に課税する法人税の外形標準化を全面導入し、広く薄く納税頂く「フェア・オープン・シンプル=公正・透明・簡素」な税制改革を提唱後、僕は前原誠司外務大臣に覚悟の程を質(ただ)しました。
前日に開催の「北方領土返還要求全国大会」で彼は、「返還に向けて政治生命を賭ける」と言明したからです。それも、「出来るだけ早く」と。
即ち、外交問題を所掌する大臣在任中に実現する。それが政治生命という言葉の重みです。と“期待”を込めて質問したのに、「努力していきたい思いを述べたもので御座います」と一夜にして腰砕けな“口先番長”。「社会保障の給付を受けるよりも、税を負担する方が幸せと考える社会を」と“説教強盗”の如きトンデモ発言を政府・与党社会保障改革検討会議で宣った民主党の仙谷由人代表代行が、日本を救う次期首相候補と太鼓判を押すに相応(ふさわ)しき、「八ツ場ダム、日本航空、尖閣沖逮捕」の三題噺に続く、“お子ちゃま大臣”の面目躍如! 斯くて、日本は確実に溶けていくのでしょう。
【田中康夫】
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