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【産経抄】2月12日:産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110212/stt11021202510000-n1.htm
すでにOBとなられた政治記者にとって忘れられない記者会見がある。昭和47年6月17日、当時の佐藤栄作首相が退陣を表明したときだ。正確に言えば会見は成立せず、首相がテレビカメラに向かって「独演会」を演じるという、異様な退陣表明となった。
▼佐藤氏がいきなり、「ぼくは偏向した新聞は嫌いだ」などと記者団に「ケンカ」を売ってきたのがきっかけだった。いったんは機嫌を直し会見に応じようとしたが、記者側が発言の真意をただすと「それなら新聞は出ていけ」となってしまったのだ。
▼7年半の長期にわたり政権を握ってきた。それだけに新聞から批判も浴びることが多く「新聞嫌い」となったらしい。しかし国民注視の中での「暴言」は文字通り晩節を汚した。沖縄返還などの実績にもかかわらず、後世、人気が芳しくない理由のひとつともなった。
▼佐藤氏にとって田中角栄元首相をはさんで「孫弟子」に当たるのが、小沢一郎氏である。その小沢氏もマスコミ対応で「大師匠」と同じ道を進んでいるように思えてならない。政治とカネの問題で批判する新聞やテレビに「わかってくれない」と不信感や嫌悪感を強めているらしい。
▼このため好んで登場するのは、比較的自由にしゃべらせるネットの動画サイトである。一昨日、菅直人首相から「離党勧告」を受けて拒否した後の会見は新聞・テレビ各社の記者クラブではなく、フリーランスの記者らでつくる団体の主催だった。
▼そのことはむろん小沢氏の自由である。新聞もさして不都合を感じるわけではない。だがもし、マスコミの批判から逃れたいというのなら、佐藤氏らと同様、もはや政治家としての危険水域に入ってきている。
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