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http://www.j-cast.com/2011/02/10087760.html
国会がはじまったが、菅政権はまともに答弁できていない。特に与謝野馨氏が経済財政担当相として入閣して、与謝野大臣に菅総理が引きずられている。また与謝野大臣のこれまでの言動からの変節も目立っている。このままでは、国会で持たないばかりか、身内の民主党内から菅降ろしがはじまるだろう。
ポイントは増税の扱いだ。政権交代を成し遂げたマニフェスト2009では、増税の気配もない。「税金のムダづかいを徹底的になくし、国民生活の立て直しに使う」とか「税金のムダづかいと天下りを根絶します」とか主張していたが、結局実行しておらず、今から考えるとまったく詐欺のような言葉が何度も出てくる。
「増税はしない」が法案成立はさせる
菅政権になって、惨敗した昨10年の参議院選挙の際のマニフェストでは「消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始します」となっている。しかし、こうした趣旨の首相発言で参議院選挙は負けたようなものだ。
菅総理はますます増税に前のめりになっている。11年2月2日、衆議院予算委員会で、江田憲司議員(みんなの党)の質問に対して、菅総理は「基本的には2013年8月までは消費税の増税はしない」と答弁した。ひょっとしたら増税は後退かなと思わせた。
ところが、与謝野大臣は11年2月5日の会議後会見で「11年度に法案成立させることが内閣の義務だ」と発言した。
すると、与謝野大臣に引きずられて、菅総理は、2月9日の党首討論で、谷垣禎一自民党総裁に対して、消費税率引き上げを含む税制の抜本改革について「2011年度末までに何らかの法的対応をしないといけない」と述べ、12年3月末までに法案提出を目指す考えを表明した。「増税は後退かな」と思わせた2月2日の江田議員に対する答弁から一転、増税へ向けさらに進んだ。
与謝野大臣は、09年度の税制改正法付則104条に、「遅滞なく、かつ、抜本的に消費税を含む税の抜本的改革を段階的に行うため、11年度までに必要な法制上の措置を講ずる」と書かれていることを強調している。
しかし、よく法律を読んでみよう。その付則には「平成二十年度を含む三年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として」と書かれている。「平成二十年度を含む三年以内」とは、2008年4月から11年3月までだ。この間にまともに景気回復の取り組みはなされておらず、デフレから脱却できず、経済状況も好転しているとはいえない。ということは、付則の前提条件が崩れている。
こうした常識にも関わらず、菅総理の言い分は、12年3月までに増税法案を出すが、13年8月までに実際の増税はしないという、いかにも草冠がとれた「菅」総理らしい「官」僚詭弁である
2月中に民主党の危機が訪れる?
普通の人の感覚は、民主党は4年間増税しないといったのだから、その間は増税法案も出さないと思うだろう。小泉総理も「任期中は増税しない」といって、その通り増税法案の用意もしなかった。小泉総理は、増税の前にやることがあるといって、国の資産売却や歳出カット、埋蔵金発掘をどんどんやって、「国民からもうやめてください。増税してください」とお願いがきたらやればいいし、それまではやらないといっていた。
それにしても、菅総理は変節の激しい与謝野大臣について行って大丈夫だろうか。与謝野大臣は、2月7日の衆議院予算委員会で、竹内譲衆議院議員(公明党)に対し「子育て世代のほとんどの方はぎりぎりのところで生活されているので、生活にあてられるということが容易に想像できる」と子ども手当が消費に回るとして経済効果があると答えた。
ところが、与謝野氏の自著「民主党が日本経済を破壊する」の56ページに、「公共事業などを抑制する代わりに子ども手当てなどを手厚く支給する『直接給付』でとたんに家計の懐が暖かくなり、個人消費が急増して景気がよくなるような説明を(民主党は)している。冗談ではない。『子ども手当』と名前をつけてお金を配っても、親がこどものための消費に回す保証などどこにもない」と書かれている。随分と変節するものだ。
民主党は、マニフェストを改悪し、増税へと突き進んでいる。党内からも待ったが出そうだ。デフレ脱却に向けて日銀法の改正を目指す民主党の「日本銀行のあり方を考える議員連盟(仮称)」(代表発起人・川上義博参院議員ら)が近く発足する予定だ。メンバーのひとりは「今のデフレで財政再建だと言って、税収を上げようというやつは国賊だ」と与謝野大臣を批判。執行部に批判的な鳩山由紀夫前首相も参加を予定している。
河村・大村コンビが減税を掲げて勝利した愛知のトリプル選挙の影響も大きい。いよいよ民主党の内乱が起こりそうだ。これでは予算成立も危うい。2月中にも民主党の危機が訪れるかもしれない。
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++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。
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