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愛知・名古屋「河村陣営」圧勝は歴史の必然か 国政も揺るがす“愛知ショック”の余波(田中秀征 政権ウォッチ|ダイヤモンド・オンライン)
http://diamond.jp/articles/-/11088
“河村陣営”が圧勝した2つの理由
6日に投開票された愛知・名古屋のトリプル選挙は、“河村陣営”の圧勝に終わった。
それにしても、知事選で当選した大村秀章氏、市長選で当選した河村たかし氏は、共に2位の候補の3倍も得票している。「ぶっちぎりの勝利」とはこういうことを言うのだろう。
勝因についてはさまざまな分析がされているが、私から見て大きい勝因は2つある。
1つは、本欄でいつも指摘している「政治と行政の内部でのムダ使いの排除」の主張と実績。
「税金で食っとる方が楽して、払っとる方が苦労する政治を変える」
実に簡明なメッセージである。彼は率先して市長の報酬を800万円まで引き下げた。「市民税の10%減税」も一定の効果はあったと言えるが、それほど大きな勝因ではないと思う。ムダ使いの排除を徹底すれば、あえて減税しなくとも多くの市民は支持しただろう。
もう1つは、河村氏の公約を守ろうとする強い姿勢である。
折から菅直人政権が公約を平気で改廃している。市長選で民主党支持者の77%が民主党系候補を差し置いて河村氏に投票(朝日新聞出口調査)したのも肯ける。
愛知県は今まで「民主党王国」と言われ、前回総選挙でも15の小選挙区のすべてを独占した。その愛知の民主党が総崩れとなったのだ。
この2つは、他でもない一昨年の政権交代で有権者が民主党に最も期待したものであった。
ただならぬ“愛知ショック”の影響
菅政権の弱体化は一層進む
今回の選挙結果は、いやでも目前の統一地方選挙に影響を及ぼし、菅政権を一層弱体化させるに違いない。
予想される大きな影響を2つ挙げておく
1つは、5日に始動した「税・社会保障の一体改革」のための集中検討会議への影響である。
名古屋流の「国会議員の報酬を大幅にカットする」ところから始めないと、誰も耳を貸さなくなる。「税金で食っとる人」がまず大胆に身を削らなければ消費税の大幅増税に世論が賛成するはずはない。1つの主張をする人は、まずその主張に見合う「自分が引き受けるリスク」を開陳すべきだろう。
もう1つの大きな影響は、言うまでもなく春の統一地方選に対する影響である。
それは、既成政党は人気がないとか地域政党の方がよいとかの次元ではない。
既に有権者は、「今のような地方議会は本当に必要なのか」と本質的な疑問を抱くに至っている。
河村氏はこう言っている。
「税金に身分保障された職業議員たちを変え、地域のことは自分らで決める民主主義の時代を作るうねりだ」
国、地方を問わず、「議員の職業化」こそ問題なのである。議員を生涯の職業とするつもりの職業政治家には大きな限界がある。何よりも次の選挙で当選することを優先するから政治課題は二の次になる。特に大胆な改革には傍観者にならざるを得ない。平時には一定の役割を果たせても、変動期には鳴りをひそめてしまう。
福島県の矢祭町で既に実施されている議員の日当制もその一案。むしろ無報酬にすれば、優れた退職者も喜んで議員を引き受けるかもしれない。
要は、税金がムダなく効率的に使われているか厳しくチェックするのが議員の一義的役割。そろそろ地方議会の新しい形態を真剣に考えてもよいだろう。今回の“愛知ショック”はそんなきっかけになればよい。
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