http://www.asyura2.com/11/senkyo107/msg/159.html
Tweet |
《第2回》陸山会事件公判傍聴記 ── 本当に小沢氏の説明の矛盾が明らかになったのか?
(構成・文責:《THE JOURNAL》編集部 西岡千史)
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/02/28_1.html
2月8日曇り。東京地裁に入ると、すでに傍聴券を求める人たちの列が。某紙記者によると、「政治家の裁判で2日目も抽選になることは珍しい」とのこと。
本誌スタッフは3人で傍聴人の列に並ぶ。しかし・・・、12時25分に全員ハズレが確定。
がっくり肩を落としていたスタッフ3人組が「どうしようかなあ」とさまよっていたところ、突然、「傍聴希望の方ですか?」と某大手新聞社の方に声をかけられる。「そうです」と答えると、「ウチでとりすぎちゃったので、お分けしますよ」とのこと。ありがとうございます! スタッフ全員分の傍聴券をゲットし、法廷内に入る。
★
13時15分開廷。石川氏、大久保氏、池田氏の3人が入廷。その後、証人2人が出廷する。
今回の証人2人は、銀行員として小沢氏関連の銀行口座の入出金に関わったことがあり、不動産購入の際に用意した4億円に関連する入出金のやりとりについて語ることになっている。
ちなみに、本連載では、筆者の目から見た法廷の様子をありのままに語ることに専念し、できるだけ論評や解説は控えるようにしているのだが、今回は【ちょっと長めの追記】という形で、事実関係の解説をすることにした。
というのも、第2回公判終了後に報じられたニュースには、発言の一部をフレームアップしたものや事実関係についての理解不足から書かれたと思われる記事があり、これはちゃんと軌道修正しておく必要があると感じたためだ。
ということで、今回は最初に証人尋問のQ&Aの流れを掲載し、その後に【ちょっと長めの追記】として解説を行うことにする。
────────────────────────
《第2回公判 Q&A概要》
※この概要は傍聴人のメモから主要部分のみを抜粋して再構成したものです。
■証人A氏 証人尋問
── あなたはX銀行衆議院支店で支店長をしていましたか?
はい。
── 衆議院事務局支店の特徴は?
お客様の属性として、政治家や秘書、国会関係者などの方が多いです。
── 仕事をする上で気にかけていたことは?
お客様の申し出を正確に行うことを心がけていました
── 小沢氏に融資をしたことがありましたか?
はい。平成16年に行いました。
── どのような理由でしたか?
秘書である石川氏から、陸山会が世田谷区に秘書の寮を建設しようと考えているとのことでした。
── 融資額は?
4億円です。現金担保でということでした。
── 土地の代金の決済を融資より先にするということでしたか?
はい。
── ということは、土地代金を支払う資金は手元にあると考えましたか?
はい。8億円以上の手持ち資金があるのだろうと思いました。
── 融資を受ける理由をどのように感じましたか?
不動産を購入する資金を持っていることが詮索されないためだと思いました。
── 預金担保融資の理由について確認しなかったのはなぜですか?
以前にも預金担保融資を行っていたためです。
── 支店長として気をつけていたことは?
融資の詳細な理由については立ち入って聞かないことにしていました。
── 融資の理由を聞いたことは?
ありません。
── なぜ聞かなかったのですか?
衆議院事務局支店という属性ですので、そういったことは立ち入って聞かないことにしていました。
【弁護側の質問】
── 平成16年10月28日の遅い時間に石川さんと(融資の相談で)会ったということですが、アポイントはありましたか?
夕方の遅い時間、午後4時〜5時に内容をはじめて聞きました。
── この融資が実行されるのは何時になると思いましたか?
翌日の不動産の決済時間には間に合うと思いました。
── 銀行の窓口は午後3時までですよね。それでも間に合うのですか?
書類がそろえば間に合います。
── いろいろな社内手続きをして、資金も用意して、そういうこともすべて翌日の午前10時に間に合うのですか?
銀行の中は8時ぐらいから仕事をはじめていますので、9時には間に合います。
── それに間に合わせる予定だったのですか?
書類がそろっていれば間に合います。
── 石川氏にはそれを伝えましたか。
はい。石川氏は、「土地代の決済は29日午前で、融資が間に合わない可能性もあるので、決済後でも融資できますか」との話でした。
── それは何時ぐらいの話ですか?
夜の8時〜9時ごろの電話で話したのだと思います。
★
■証人B氏(Y信託銀行の元嘱託職員(女性)) 証人尋問
【検察による尋問】
──平成14年の3月に小沢さんの妻と息子名義の口座から払い戻しを行いましたか?
はい。小沢さんの妻から依頼を受けました。
── 金額は?
6000万円です。
── 払い戻しの理由は?
自宅にお客さんを迎え入れる迎賓館のような建物をつくるとのことでした。
── 建物の場所は?
自宅の土地内ということでした
── 建築費用は?
金額は聞いていませんが、6000万円では足りないということでした。
── 現金の届け方は?
高額ですのでこちらは振り込みでお願いしたのですが、現金で自宅まで持ってきてほしいとのことでした。
【弁護側質問】
── あなたの調書の日付は平成22年2月1日になっていますが、何回ぐらい事情聴取に応じましたか?
2回です。
── もう8年も前の話なのに、よく覚えていますね?
政治家の自宅に行くということでとても緊張していたので、記憶にありました。
── すぐに思い出せたのですか?
すぐに思い出せなかったが、徐々に思い出せました。
── その後、迎賓館の建築については聞きましたか?
お聞きしておりません。
── では、小沢氏の妻に会ったのはその時だけですか?
はい。
以上
────────────────────────
【ちょっと長めの追記】
この証人尋問のやりとりを読んだ読者のなかには、「検察の意図はどこにあるんだろう」と感じた方もいると思う。実際、筆者も公判終了直後は「これをどうやってまとめて傍聴記にしようか...」と考えてしまったほどだ。
ところが、その後の報道はこうだ。まずは時事通信。
元支店長は、石川被告が土地購入前日、「秘書寮用地を購入するので、陸山会が新たに組む定期預金4億円を担保に小沢元代表に4億円を融資してほしい。元代表が陸山会に転貸する」と申し出てきたと証言。一般的な不動産担保ではないことや、融資を受けるのが購入者でない点が気になったが、特に問題はないと考えて融資を決めたと説明した。
また、以前にも陸山会が預金担保融資を受けたことがあり、その際の稟議(りんぎ)書に「世間的な影響を考えて」とあったため、今回も同様と考えて特に理由は尋ねなかったと述べた。
他の顧客から同様の預金担保融資の申し込みを受けたことはないとも証言。石川被告側が「銀行は政治家には預金担保以外では融資してくれない」と主張している点も否定した。
2011/02/08-18:53
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011020800815
たしかに、元支店長は検察側の証人尋問で「土地の購入資金を詮索されないためだと思った」との主旨の発言をしていて、過去の稟議の内容にもふれている(※1)。
だが、支店長はその後に「(支店長の方針として)融資の詳細な理由については立ち入って聞かないことにしていました」とも述べていて、当時、融資を希望する理由について石川氏に確認していないことも認めている。つまり、記事の内容は誤報とまでは言えないが、支店長の証言だけでは石川氏が本当に「詮索されたくない」という理由で融資を希望したかどうかを確定するのは困難だ。それを証明するのであれば、さらなる証拠が必要だろう。
※1:筆者も過去の稟議について同様の発言を聞いたが、傍聴メモに残っていなかったので詳細が再確認できないため、Q&Aには掲載していない。
また、産経新聞ネット版に掲載された「小沢元代表主張に「矛盾点」? 銀行担当者が証言」という記事にも疑問点がある。
小沢元代表は昨年1月の会見で、東京都世田谷区の土地購入の原資となった4億円について、(1)東京・湯島の自宅を売却して自宅を購入した際に残った2億円(2)家族名義の口座から平成9年に引き出した3億円(3)家族名義の口座から14年に引き出した 6000万円−を事務所に保管。この中から土地購入時に4億円を陸山会に対して貸し付けたと説明した。昨年1月23日の事情聴取でも同様の供述をした。
証言台に立った女性嘱託職員は14年3月末ごろ、小沢元代表の妻から「応接(間)が手狭になり、自宅に迎賓館を建てたいので6000万円払い戻してくれ」と依頼を受け、家族名義の口座から引き出して手渡したことを証言した。
初公判で採用された証拠によると、小沢元代表は14年に自宅の建設費用として1億2990万円を支出している。検察側は小沢氏の妻が引き出した6000万円はこの建設費に充てられたため、土地購入の原資となった4億円には含まれていないと主張。小沢元代表の主張の矛盾点を突いた格好だ。
2011.2.8 19:33
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110208/trl11020819340009-n2.htm
同様に記事は読売新聞にも掲載されているが、はっきり言って、この記事の内容だけでは小沢氏の説明のどこが矛盾しているのか、理解できない。
ためしに記事にあるとおり計算してみよう。
・記事内にある(1)(2)(3)を合計すると5億6000万円
・それに自宅の建設費用として利用した1億2990万円を引くと、残金が4億3010万円
・この残金のうち、平成16年の土地購入の際に4億円が陸山会に移動
こう考えれば、小沢氏の主張に何の矛盾点もないことがわかる。「矛盾」があるのであれば、記事内容だけでは説明不足であり、もっと証拠を提示する必要がある。
百歩譲って、「4億円の原資に6000万が含まれていた」という説明と、「6000万は自宅建設費に使われた」ということに「矛盾がある」という意味で、この記事が書かれたとしよう。しかし、そうであればなおさら小沢氏の説明を正しく理解していないといえる。
それは、昨年1月23日付で発表された小沢氏による原資の中身の説明を読めば明らかである。以下、小沢氏のオフィシャルサイトより転載する。
■陸山会に4億円を貸し付けた経緯
秘書の数も増え、妻帯者も増えたので、事務所兼用の住居を提供したいと思っていたところ、秘書が本件土地を見つけてきて、これはいいのではないかということになりました。それで、秘書に不動産業者にあたらせたところ、土地売買代金額が金3億4000万円余りと決まりました。
そこで、この土地を購入することになりましたが、当時陸山会の経理を担当していた秘書から各政治団体の資金をかき集めればなんとかなるが、そうすると各政治団体の活動費がほとんどなくなってしまうので、私に何とか資金調達できないかと言ってきました。
そこで、私は自分個人の資産の4億円を一時的に陸山会に貸し付けることとしたのです。
■平成16年10月に私が陸山会に貸し付けた4億円の原資について
(1)昭和60年に湯島の自宅を売却して、深沢の自宅の土地を購入し建物を建てた際、税引き後残った約2億円を積み立てておいた銀行口座から平成元年11月に引き出した資金2億円、(2)平成9年12月に銀行の私の家族名義の口座から引き出した資金3億円、(3)平成14年4月に銀行の私の家族名義の口座から引き出した資金6000万円を東京都港区元赤坂の事務所の金庫に保管していました。平成16年 10月には、同金庫に4億数千万円残っており、うち4億円を陸山会に貸し付けました。
4億円の一部は建設会社からの裏献金であるやの報道がなされておりますが、事実無根です。私は不正な裏金など一切もらっておりませんし、私の事務所の者ももらっていないと確信しています。
http://www.ozawa-ichiro.jp/massmedia/ctr/column.php?cmd=a_back&cat=5
つまり、法廷で証言された6000万円は、もともと平成16年の土地購入代金として引き落としたものではなく、小沢氏の資金を元赤坂の事務所内の金庫に保管していたにすぎない。このことがちゃんと頭の中に入れていれば、公判で証人が述べたことは、小沢氏の説明が正しかったことを補足したにすぎないことがわかる。もっと言えば、この2人の証人は供述調書で同様の内容を話しているにもかかわらず、なぜ、法廷で証人として呼ばれたのかもよくわからない。
第2回公判を傍聴したジャーナリストの江川紹子さんも、弁護側が入出金のやりとりを説明しただけの証人の調書を不同意にし、法廷に呼んだことについて理解できなかったとTwitterで語っている。そこで、江川氏は公判終了後に弁護側にその意味を確認し、その真意についてこう解説している。
「支店長の調書には、その筋書きに沿って「なんか表に出せないことがあって、形ばかりの融資申し込みではないかと思った」みたいな、検察官の"願い"を代弁する記載がたくさんあるらしい。なので弁護側は調書を不同意にし、支店長は証人として出廷しなければならなくなった、というわけ」
http://twitter.com/#!/amneris84
結局のところ、第2回公判では、小沢氏の説明の矛盾を明らかにするような決定的な内容はなく、裁判自体もまだまだ前哨戦にすぎない。裁判の本番はこれからということだ。
なお、第3回公判は2月24日に開かれ、石川知裕氏が被告人質問を受ける予定。ここで最初の山場が訪れる。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK107掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。