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裁判傍聴は誰のためのものか
同志社大学大学院文学研究科新聞学専攻 中谷聡
私は98年3月24日に神戸地裁で行われた甲山事件の差し戻し公判にて、「裁判傍聴に関するアンケート」を行った。アンケートの作成に関しては浅野健一教授の指導を受け、当日の配布には浅野ゼミの学生に協力して頂いた。このアンケートはマスメディアで報道されるような大きな裁判の傍聴希望者はどういった人たちなのかを明らかにしたいという考えがあった。
3月24日に出された整理券の枚数は424枚。これは裁判所の職員に聴いた数字である。午前10時開廷のため、午後9時30分から整理券の配布及び傍聴券の抽選が行われた。裁判傍聴に関するアンケートは、当初150枚用意していたが、傍聴希望者が予想以上に多かったため、急遽200枚を追加した。合計350枚用意し、受け取ってくれたのは193枚。そのうち、返ってきたアンケートの合計は、47枚(4月16日現在)であった。アンケートを受け取ってくれた人の正確な人数は把握できないものの、アンケートを受け取ってくれなかった人もかなりいた。また、報道の腕章をつけた記者とおぼしき人々で、アンケートを受け取ってくれた人も若干いた。さらに、このアンケートを配り終えた後に、裁判所職員から「裁判所敷地内でのビラ配りは遠慮してほしい」と注意されたことも付け加えておく
裁判傍聴に関するアンケートの集計結果(1998年3月24日 神戸地裁にて)
配布方法:傍聴券抽選希望者への手渡し
回答率:24%(47/193×100%)
(質問1)あなたの年齢および職業、どこに住んでいるのか教えて下さい
10代 0名 学生 24名
20代 31名 教員 2名
30代 4名 会社員 5名
40代 7名 記者および
50代 1名 報道関係者 4名
60代 2名 その他 7名
70代以上 1名
職業(その他)では、牧師、カトリック司祭、フリーター、団体専従職員、私学職員、福祉関係、甲山福祉センター職員、教会員、損保代理店というものがあった。
近畿地方 39名 中部・東海地方 0名
四国・中国地方 0名 関東・甲信越地方 4名
東北・北海道地方 0名 九州・沖縄地方 4名
近畿地方では兵庫県が圧倒的に多く、21名だった。京都は4名、大阪は8名で合計が39名に達しないのは無回答があったため。関東・甲信越地方の4名の内訳は、東京が2名、神奈川県が1名、茨城県が1名だった。九州・沖縄地方の内訳は、大分県が1名、福岡県が3名だった。
(質問2)今回の裁判を傍聴しようとしたきっかけについて教えて下さい
継続して傍聴に参加しているから 10名
研究および学習のため 6名
仕事のため 3名
たまたま興味があった 2名
傍聴券抽選のアルバイト 12名
その他 13名
裁判支援のため、被告の知人、救援会のメンバーなどが、その他の理由に挙げられている。
(質問3)質問2で「傍聴券抽選のアルバイト」と答えた方にお聞きします。アルバイトを紹介されたきっかけ、依頼されたマス・メディアの種類、およびアルバイト代について教えて下さい
・きっかけ
現在マス・メディアでアルバイトをしていて、その一環として 0名
知人の紹介 10名
公募 0名
その他の理由 0名
・依頼されたマス・メディアの種類
新聞社 1名 通信社 0名
テレビ局 11名 出版社(週刊誌、雑誌を含む) 0名
ラジオ局 0名 その他 0名
・さしつかえなければ、その社名を教えて下さい
読売テレビ 2名
・アルバイト代(およそで結構です)
3000円以上 5000円以上 7名
1万円以上 3万円以上
・さしつかえなければ、具体的な金額を教えて下さい
7000円 4名
アンケートの集計結果の分析
質問1の年齢・職業・住んでいる地域について
20代が圧倒的に多く、職業も学生が多かった。3月24日は平日の火曜日であること、春休みの時期にあることなどから大学生が多いと推測される。
住んでいる地域の項では近畿地方、なかでも兵庫県が多かった。関東・甲信越地方、九州・沖縄地方の4名は被告人の支援および知人であった。
質問2の傍聴のきっかけについて
継続して傍聴しているという項目は、その他の項に裁判支援と書いてくれた人と重複しているのではないかと考える。結果論から述べた反省だが、アンケートの回答者が裁判支援者と傍聴券抽選のアルバイトの二極分化が予想以上で、裁判支援という項目を独立して設けるべきであったと思う。
また、仕事のためと答えた3名は、もちろん記者および報道関係者である。職業を聞いた際に記者および報道関係者は4名だったが、うち1名は仕事を休んで支援のために来ていたので、「仕事のため」ではなかった。
質問3の傍聴券抽選のアルバイトのきっけけ、種類、アルバイト代について
回答はすべて知人の紹介がきっかけである。現在マス・メディアでアルバイトをしているから、という項目を設けたのに回答者がいないということは、家族・友人・大学の先輩などがマス・メディアで働いていて、そこからアルバイトの話が来たのではないだろうか。
依頼されたマス・メディアの種類ではテレビ局が10名、新聞社が1名だった。テレビ局から依頼を受けた数が多いのは、・章の(注意点2)で述べたようなことがあるからではないか。新聞社からという回答は1名しかなかったが、1名でもあったということに注目したい。私は記者クラブに加盟していない夕刊紙ではないかと思う。号外は神戸新聞がもっとも早かったが、新聞本紙では大阪新聞が早かったようだ。通信社および出版社が0名だったが、これはまったくいなかったというわけではないだろう。報道記者は新聞・テレビとも腕章を着けたり、スタッフジャンパーを着たり、と一目でわかるようにしている。そのおかげで傍聴抽選者の列の後尾には報道の腕章を着けている人が並んでいるのがわかった。
依頼されたマス・メディアの名前の項では、読売テレビを2名が挙げていた。アルバイトを動員したのが読売テレビだけとはまず考えられないが、アルバイト代が5000円以上1万円以内に集中し、具体的な金額が7000円だったということは、これが裁判傍聴のアルバイト代のおおよその「相場」と考えてよいだろう。午前9時30分から整理券が配布され、10時に開廷するまでの30分間で7000円をアルバイトに支払うことはメディアにとって高い金か低い金かどちらなのだろうか。
最後に、3月24日当日の傍聴のお知らせの立て看板には次のようなことが書いてある。「(傍聴券)交付枚数 81枚 車椅子用1枚含む」。しかし、97年11月4日5日の弁護側最終弁論では、傍聴券の交付枚数は85枚(一般傍聴券)と車椅子用傍聴券が3枚だった。この一般傍聴券の枚数の減少は、マス・メディアの取材に便宜を図ったものなのだろうか。また、424枚の傍聴券抽選整理券が配られたことと、424人の傍聴希望者がいたことは分けて考えなくてはいけないと思う。
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