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今朝の新聞各紙は、野党時代からの民主党の「応援団長」格であった日本航空の稲盛和夫会長(内閣特別顧問)が、民主党政権について「落胆」を表明したことを報じています。産経では、小さなベタ記事扱いでしたが、これは結構重要な意味を持つのではないかと感じました。
一般の有権者の間で、鳩山由紀夫前首相、菅直人首相と二代続いた民主党政権への失望が広まり、最近では怒りに近い感情となっていることは誰しも感じるところでしょうが、あれほど熱心に民主党に肩入れし、小沢一郎元代表や前原誠司外相らの相談役となってきた稲盛氏ですら、とうとう民主党を見放しだしたかと、ちょっと感慨を覚えました。
おごれる者は久しからず、盛者必衰だなあと。麻雀に例えると、上昇運にあり、ツキについているときには、どんどん攻めるのがいいのは間違いありません。でも、そんなときでも、相手(国民)を甘く見たり、バカにしたりしていい加減な手筋で悪手を打つと、あっという間にツキを失うものです。ついているからこそ、それを持続するためには丁寧に間違いない手順で打たなければならない。
…とまあ、考えているうちに何の話だったか分からなくなりながら今朝、出勤すると、午前の枝野幸男官房長官の記者会見で、やはりこの問題が取り上げられていました。以下のようなやりとりです。
記者 昨日、内閣特別顧問の稲盛氏が講演で、現在のていたらくには落胆していると菅政権を批判しているが、受け止めを
枝野氏 直接、どういった文脈の中で、どういう趣旨で言ったかうかがっていないので、直接のコメントは、なかなか困難かなと思う。ただ、民主党政権に大変なご期待をいただいて、ご支援もいただいてまいった。そうした皆さんに、「しっかりと期待をして良かった」と思っていただけるようにさらに努力してまいらなくではいけないと一般論として思っている。
記者 講演では、批判の上で「静観してみていこう」と。内閣特別顧問の発言としてふさわしくないというか、「仕事しない」と言っているように聞こえるが、事情を聴くなり、辞任求めたりという考えはないか
枝野氏 まさに、そういったご発言は前後の文脈の中で、どういう趣旨でおっしゃられたかを、講演された全文を拝見してないので、今の段階で、何か申しあげることは困難かと思う。
…放言癖があり、その発言が毎度毎度、物議を醸した前任者の仙谷由人氏の轍を踏むまいとしているようで、枝野氏は超慎重運転を心がけているので記者会見はいつも実につまらない内容です。まあ、この人も根は傲慢不遜な自信家なので、そのうちボロを出すだろうとは思いますが、今のところ、こんな感じなのです。
で、枝野氏は「前後の文脈」「全文」が分からないからと逃げたので、稲盛氏の講演後の質疑から、関連部分を抜き出してここに記しておきます。いやあ、やっぱり相当がっかりしている様子です。
稲盛氏 私は戦後60数年、自民党が率いる政権政党が日本の政治を引っ張ってきたので、政治の世界でも真の民主主義が必要ではないかと思っていた。二大政党が日本に定着するべきだということを持論として、この十数年間、主張し続けてきた。
その中で民主党が力をだんだん蓄えてきたので、私は民主党が政権交代可能な政党になってくれれば、かねて私が思っていた政界における真の民主主義が確立できると思って支援してきた。
やっとそれが、十数年間の私の思いが実って、民主党が政権を取って良かったと思ったが、現在のていたらく。こういうことで私は支援をしたつもりではなかったので、大変落胆している。
しかし、それも民主主義の結果だろうと思っている。おそらくこれでいろんなことが起きて、再度新しい政治体制ができあがっていくのだろう。
第一回目の政権交代が可能な状態にまでは、一生懸命、熱を入れてやってきたが、今後も歳は歳だし、後は静観していこうと。全く、落胆しております。
…これ、普通に受け止めれば、ほとんど絶縁宣言に近いのではないでしょうか。「民主党政権後」にも言及していますし、落胆という言葉を繰り返してもいます。稲盛氏は別の人との質疑では「どの分野のリーダーにしても、私心をなくせばものは見えてくるし、解決できる。あまりにも私事で凝り固まりやっているために、自分自身を見失うことがある」とも語っています。これ、菅首相のことを皮肉っているように受け取れます。
ただ、こうして支持者たちがどんどん離れていっても、菅首相はまだ直接訴えれば国民は理解し、支持してくれると信じ込んでいる様子がうかがえます。根拠不明な「僕悪くないもん!」という思いは揺らがず、来年度予算の関連法案が通らなくなった場合は、きっと国民の批判は野党に向かうとも信じきっているようです。以前も書きましたが、「宰相不幸社会」をしみじみ実感させられている今日この頃です。
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