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毒樹の果実ー小沢氏起訴を考える
By しなたけし . 2011年2月5日
司法試験の勉強をしていた頃、「毒樹の果実」という言葉がありました。「拷問や脅迫、誘導で得られた自白など、違法に獲得された証拠(違法収集証拠)は裁判の証拠にできない。ゆえに、そうした違法収集証拠を元にして得られた二次的な証拠も裁判で証拠にすることはできない」という、刑事訴訟法上の理論を指します。
最初の証拠を「毒樹」、それを元にして得た二次的な証拠を「果実」に喩えたわけですが、確かに一見美味しそうな果実も、実っている木が毒に侵されていれば食べられません。印象に残る巧みな比喩なので、今でも覚えています。
1月31日、小沢さんが検察審査会の議決により起訴されましたが、この起訴にも「毒樹の果実」の比喩が当てはまりそうです。今回の起訴の元となった、検察審査会の2回目の議決は、1回目の議決で審査の対象とされていなかった事実を新たに加えた上で「起訴すべき」としています。法律上は、1回目と同じ事実を審査しなければならないので、この議決は違法=毒樹です。
さらに、この「起訴すべき」という議決の元になった、「収支報告書を提出する際に小沢先生に報告し、了承を得た」という石川さんの起訴前の供述調書や同じ内容を含む起訴後の供述調書にも問題があります。
なぜなら、再捜査の担当検事は、石川さんに対し、「例えば、(小沢さんに)報告、了承してませんというふうになったら、強制起訴の可能性が高くなるよね」などと根拠のない話をし、石川さんが起訴前の供述を変えないように誘導していたからです。
つまり、「起訴すべき」という議決=毒樹が生まれたのは、検事の誘導に基づく違法な供述調書があったからであり、この供述調書は毒樹の根、「毒根」と言えるかもしれません。
供述調書が「毒根」であることを示す録音が、7日から始まる石川さんらの刑事裁判で証拠として提出される予定です。いずれ起訴議決が「毒樹」、そして、小沢さんの起訴が「毒樹の果実」であることも明らかになるでしょう。
今回の起訴につき、現在、小沢さんを党として処分すべきかどうかが議論となっていますが、私は避けた方がよいと思っています。小沢さんを安易に悪と決めつけて処分するのは、「毒樹の果実」を食べることにほかならないからです。
さらに、そもそも政権交代の最大の原動力であった小沢さんを「悪」と認定してしまうと、小沢さんの活躍を元にして出来上がった民主党政権そのものが、「毒樹の果実」と言われかねないことに注意すべきです。
http://shina.jp/a/activity/3582.htm
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