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トリプル投票 危うさ伴う愛知の劇場型政治(2月7日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110206-OYT1T00660.htm
知事選・市長選・住民投票を連動させる名古屋市の河村たかし前市長の戦略が奏功した。河村氏には、今回の結果におごることなく、独善的な行政運営を慎むよう求めたい。
河村氏は、自らの辞職に伴う出直し市長選で再選を果たした。愛知県知事選では、河村氏と二人三脚を組んで住民税減税や「中京都」構想を訴えた大村秀章・前衆院議員が初当選した。
前市長と対立してきた名古屋市議会の解散の是非を問う住民投票でも、賛成が過半数を占め、市議会の解散が決まった。河村氏が主導した議会解散請求(リコール)運動が実ったものだ。
河村氏の“3連勝”は、「市民税減税の恒久化」を掲げる一方で、これに反対する市議会を「悪役」に見立てる選挙戦術が的中した結果と言える。背景には、高すぎる市議報酬に対する市民の強い反発もあったようだ。
しかし、住民に受けの良い政策だけを前面に押し立て、議会との対立を際立たせることを通じて支持を集めるという「劇場型」の政治には、危うさが伴う。
河村氏は、減税の財源は行政改革による歳出削減で捻出している、と主張している。
だが、地方交付税を受け取り、市債残高を増やす一方で、減税を恒久化することは、将来世代へのつけ回しにならないか。冷静な論議が求められる。行革の効果に関する検証も欠かせない。
「中京都」構想も、具体像が見えていない。その功罪に関して、地に足のついた議論が必要だ。
名古屋市議会の出直し選挙は来月行われる。河村氏は、自らが代表を務める地域政党から多数の候補を擁立し、定数75の過半数を占めることを目指すという。
市議会には本来、市長と一定の緊張関係を保ちつつ、建設的な議論を通じて、市政の一翼を担う責任がある。各候補はその自覚を持って選挙に臨むとともに、有権者も、候補の資質と政策を慎重に見極めてもらいたい。
民主党は、愛知の15衆院小選挙区を独占しながら、知事選と県都市長選で推薦候補が無所属の河村氏らに敗れた。深刻な結果だ。
民主党は昨年の参院選以降、衆院補選や茨城県議選で敗北を重ねている。菅政権の失政や首相の指導力の欠如で、国民が政権交代に幻滅していることの表れだ。
菅政権は、小手先の政権浮揚策に走らず、過去の過ちを認めて政権公約を見直すべきだ。それが態勢立て直しの一歩となろう。
(2011年2月7日01時07分 読売新聞)
◇
社説:名古屋ショック 既成党の埋没は深刻だ 2011年2月7日 2時31分:毎日新聞
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20110207k0000m070107000c.html
地殻変動を感じさせる異変である。愛知県知事選、名古屋市長選、同市議会解散の是非を問う住民投票が同じ日に重なる「トリプル投票」が行われた。いずれも市民減税を掲げ支持を訴えた河村たかし前市長の陣営が勝利し、「河村旋風」の猛威をみせつけた。
統一選を前に中央政党の推す候補があえなく敗れる様子は、民主党をはじめとする既成政党の埋没ぶりを物語った。政令市として初のリコールによる議会解散も自治の歴史に刻まれる事態だ。政党や地方議会への重い警告と受け止めねばならない。
フタを開ければ河村氏の狙い通りの審判だった。2月にもともと予定されたのは愛知県知事選だが、これをトリプル投票に仕立てあげたのが河村氏だ。10%の市民減税をめぐり対立した市議会へのリコール運動を主導して住民投票を実現、自らも任期半ばで辞任しての出直し選で、決戦の舞台を用意した。
その戦略が皮肉なことに古巣、民主党を直撃した。知事選は大村秀章前衆院議員(自民党を離党)が河村氏が代表を務める地域政党の推薦を受け、民主党推薦の官僚OBらを制した。市長選も、河村氏が前民主党衆院議員らをしりぞけた。
地方選で苦戦続きの民主党だが、愛知はさきの衆院選で15小選挙区すべてを制した「民主王国」だけに、深刻だ。政権交代以来、政治の変化が実感できない有権者の失望といらだちが河村氏への追い風を呼んでいるのではないか。菅内閣の今後の求心力にも影響しよう。
自民党もふがいない。知事選は事実上の分裂選挙となり、市長選は候補を擁立できなかった。大阪でも、橋下徹府知事が主導する地域政党が台風の目となりつつある。政治が迷走する中で、2大政党がかすむ現状の裏返しでもある。
「旋風」のもうひとつのエネルギー源は、地方議会への住民の不満だ。議員報酬半減を主張する河村氏は名古屋市議会と激しい対立を演じてきたが今回の投票から、住民の市議会への強い不信感が裏付けられた。大都市での署名集めなど高いハードルを越えての住民の「不信任」を改革に二の足を踏む多くの地方議会は他山の石と受け止めるべきだ。
一方で、市議会との対決路線をひた走り、解散を主導した河村氏の手法も危うさをはらむ。
市民減税の行方は最終的に、解散に伴う名古屋市議選で決せられる。河村氏の下で地域政党は候補を擁立するが、対立勢力を攻撃し続けるばかりでは市政の歯車は回らない。
減税と市財政の健全化をどう両立させるかなど、河村氏はより踏み込んで住民に説明すべきである。
◇
【主張】トリプル投票 国民の政権不信の表れだ 2011.2.7 02:57 :産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110207/elc11020702580009-n1.htm
市民税の10%減税や議員報酬半減などを掲げ、これを拒む名古屋市議会と対立を続けてきた河村たかし氏が、自らの辞職に伴う出直し名古屋市長選で再選された。
同時に行われた愛知県知事選では、河村氏と連携して県民税減税などを唱えた大村秀章前衆院議員が初当選し、市議会解散請求(リコール)の賛否を問う住民投票でも解散が決まった。
一連の結果は、市民税減税などの主張が広く支持されたと同時に、民主、自民の二大政党への不信を浮き彫りにした。
とくに見過ごせないのは、県内にある衆院の15選挙区を独占し、「牙城」「王国」などと呼ばれてきた地域で、民主党が惨敗したことだ。民主党政権への不信が明確に示されたといえ、ダメージは極めて大きい。
民主党は大敗となった昨年の参院選でも、愛知選挙区(改選数3)では2議席を獲得していた。菅直人首相に対する国民の支持が急速に失われているといえる。
ばらまき政策を盛り込んだマニフェストの見直しに直ちに踏み込み、小沢一郎元代表の「政治とカネ」の問題にけじめをつけない限り、国民の信は取り戻せまい。
自民党も市長選では独自候補を立てられず、民主推薦候補の支援に回る動きがあったほか、知事選で支援候補を立てながら一部が大村氏を支援する分裂となった。
問題は、地域政党「減税日本」を立ち上げて戦った河村氏らの今後の対応である。
河村氏が首長の立場でありながら、リコール活動の先頭に立ったことや、知事選や住民投票との連動を狙うため、意図的なタイミングで市長を辞職したことへの疑念も提起された。
一方で、1600万円もの議員報酬半減などの主張が有権者に浸透するなかで中央政党は対抗できる有効な主張を持たなかった。
4月の統一地方選に向けて、橋下徹大阪府知事が代表をつとめる「大阪維新の会」など他の地域政党の動きも活発化している。
河村氏は出直し市議選に支援者を擁立し、過半数の獲得を目指すという。その場合、どうやって議会が市政をチェックするのだろうか。議会を首長の支配下に置くことの危うさが指摘されている。
首長と議会を別々に選挙で選ぶ地方自治の「二元代表制」への見解も明確に示してほしい。
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