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「小沢一郎、強制起訴」。二月一日の多くの朝刊のトップである。
すでにおりこみ済みのことではあるのに、多くメディアが、いまはじめて知ったかのように、この「既定の手続き」を報道してみせる。なんだかヘンだ。
起訴することは法律で決まっていることではないか。それになんだか気持ち悪い。なぜ「小沢一郎」が検察審査会に起訴議決されたのか。「であるに違いない」とか「だと思う」といったレベルではなく、思い込みなしに、正確に、過不足なく答えられるひとがどれほどいるだろう。
元秘書の石川知裕被告は、自白に誘導があった、そのICレコーダーがある、と述べている。わたしたちは彼が録音したものを聞けるわけもなく、真偽の程は全くわからないが、元秘書と呼ばれる彼らとの「共謀」の有無が裁判の争点になるはずだ。
元秘書たちの供述は「具体性・迫真性に欠いている」としながら、検察審査会は「共謀」を認めたのだ。
とにかく、すべてはこれからである。
にもかかわらず、メディアは相変わらずの大騒ぎだ。公職にあるものが一般より厳しい倫理観なるものを求められるのはわかるが、強制起訴イコール有罪という印象を与えるかのような報道のありかたは、明らかに問題だ。それ以前から問題の報道は少なからずあったが。
ここで「推定無罪」の原則をなし崩しにしてしまって本当にいいのか。
恐れるのは、むしろ小沢さんほどの力を持ったものでさえ、メディアによってあるイメージを作られ、そのイメージに沿っての「扱いを受ける」という事実である。
この国において「推定無罪」の意識は、充分に根付いているとはいえない現状である。なにがなんだかわからないまま、強制起訴イコール限りなく有罪という空気がこの件で作られ、立ち止まることなく前のめりに進んでいくとしたら、こんなにおそろしいことはない。
小沢一郎というひとを政治家として評価するか否かの問題以前に、わたしたちはもう一度立ち止まる必要はないか。そして整理する必要はないのか。メディアの動きも含めて、「コレは一体なんなのか。なんだったのか」を。
「反」だの「親」とかいったレベルの問題ではない。
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