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2011-02-01 22:58:49
20世紀後半の世界の対立は、「西側世界」対「東側世界」の対立であった。
つまり、「資本主義自由経済社会」対「共産主義計画経済社会」の対立である。
平たく言えば、『アメリカ・ブロック』対『ソヴィエト・ブロック』の対立である。
世に言う『東西冷戦』の時代であった。
東西互いに「軍拡に突き進み」、果てしない軍事力の増強の時代であった。
結果は、周知の通り、<ソ連の崩壊>で決着がついた。
ソ連無き後は、アメリカの暴走を食い止めるパワーは、無きに等しい状態になってしまった。
それと共に、東西群j対立と政治対立は、「大国主義アメリカ」対「各地の民族主義」の対立に変化して行った。
つまり「アメリカ型経済圏」を受け入れるか、地域単位、民族単位、での独立社会を営んで行くか、の対立とも言える。
奴隷か自由か。
そして、その対立軸は、「西欧キリスト教的伝統」と、「イスラム教的伝統」との対立でもある。
そこには、20世紀後半を通じて「世界経済の基盤」を成した<石油戦略>が、大きく影響する事になる。
「消費先進大国」対「生産後進国」という構図にも色分けされる。
或は、<南北対立>と、言い換える事も出来た。
キーとなるのは、『イスラエル』である。
この、世界の火薬庫の生存権の主張」が、周辺諸国への武装制圧の口実を与える結果となって、『パレスティナ』問題は、20世紀後半の世界の癌と言われて、何の解決もみせぬままに、21世紀になだれ込んでしまう結果となった。
「イスラエル」を支援する「アメリカ」
「アラブ諸国」を後押しする「ソ連」
「ユダヤ・シオニスト」と「イスラム原理主義」
そして、ソ連無き後は、アメリカ対イスラム原理主義。
東西対立と、宗教対立と、国家主権の対立と、石油利権と民族主義とが、何重もの複雑な螺旋を形成して絡み合い、もめにもめながら、未だに何も解決の兆しすら見えない。
最初は、二度に渡る「エジプト・アラブ連合」対「イスラエル」の中東戦争を引き起こし、イスラエルの軍事的優勢が明らかとなる。
ついで、10年以上に及んだ「レバノン内戦」。
さらに、8年を費やした「イラン・イラク戦争」。
その間も、三度に及ぶ「イスラエル」との中東戦争。
『イラン・イスラム革命』
エジプトに依る「イスラエルの承認」が引き起こした、アラブ世界の大混乱。
そのエジプトに変わって増して来た、アラブの大義「イスラエルの殲滅」を掲げる『シリア』のウエイト。
パレスティナのプロテクターを持って任ずる、その「シリア」の、パレスティナ紛争に果たした役割と、生み出された混乱。
二度に渡る「湾岸戦争」をへて、『イラク』の崩壊。
長年続いた内戦を経ての「南北イエメン」の統一。
その間、総てのケースに「アメリカの思惑」が、大きく絡んで居た訳である。
その中東アラブ世界は、アメリカ追随に依る「経済繁栄」を求め、君主制を強化して独裁政権を維持して来たグループと、「アラブの大義」を全面に国際政治の上で、アメリカとの対決姿勢を強めて行ったグループとに分かれて来る。
そのグループ化は、産油国と非産油国、というレッテルも貼られる事になる。
いずれにしても、「パレスティナ解放」が為されない限り、中東に平和は訪れない。
そして、イスラエルがイスラエルである限り、パレスティナの解放は、為される事はあり得ない。
袋小路。
当然、これらの二つのグループは、イスラム・アラブと言う「同胞同士」で有りながら、対立関係は、修復の難しい所まで進んで来てしまった。
その間隙を縫って『イスラム原理主義』が台頭し、イランの王制を廃し、君主国も共和国も、どちらもが政権基盤を揺るがされる所まで来て居る。
それと言うのも、祖国を奪われて半世紀の苦しみに喘ぐパレスティナ人は当然として、地下資源で富める国々に有っては、富の配分の不公平感が君主制への国民の不満を生み、資源の無い国は無いなりに、政権の腐敗への不満を生み、いずれも「イスラムの純粋な教え」に求心力が集まって「原理主義者」達の台頭となってしまう。
前置きが長くなり過ぎてしまった。
チュニジアで始まった、国民の不満の噴出は、これまで普遍的で不変である、と諦めていた「国民に背を向けた」権力者の体制に対して、国民の力で転覆させる事が出来る事、が大きく影響し始めてしまったのだ。
エジプトは、アラブ社会で「イスラエル」との共存を最初にうたった、アメリカにとって<中東の要>であったのだが、その基盤は崩壊の瀬戸際に至って居る。
ここで、「ムバラク政権」が倒れたら。
国民の動きの最初は、純粋に「反体制運動」であったとしても、結果としては「宗教的方向」に向かうであろう事は、避けられまい。
非合法組織として弾圧下に有った『ムスリム同胞団』が、新政権の権力を要求して来る事は、明らかである。
そうすると、中東の大国で、アメリカの橋頭堡であった『エジプト』が、<第二のイラン>になってしまう事も、多いにあり得る事なのだ。
そうなれば、「イスラエル」は黙っていない。
彼等にとっても、ある意味で「橋頭堡」であったムバラクのエジプトが失われれば、<ハリネズミ>が<山嵐>に変わる程に、さらなる武装強化に突き進むに違いない。
核武装を強化するに違いない。
イランの核開発を「自力で差し止める」為に、軍事行動を起こすであろう事も、かなりの確率で現実的な見方である。
そうなれば、『第六次中東戦争』は、恐らく(限定的では有ろうが)戦術核兵器を使用する事も、イスラエル的思考では、当然起こるであろう。
そうなれば、21世紀は「国際戦争の時代」に逆戻りしてしまう事だって、非現実的とは言えないのだ。
アメリカ、イスラエル、双方に共通の希望は、エジプトが「イスラム原理主義国家」にならないで、民主化する事である。
今までの所、『ムスリム同胞団』は、エジプト市民の間では、特に若い世代に有っては、それほど受け入れられていない。
しかし、この種の反政府運動と言うものは、始めは穏やかであっても、時間とともに「過激になって行く」ものなのだ。
しかも、「原理主義者」達は、粘り強く、しかも頑固に行動する。
国民に中に、旧権力者への憎悪が高まるに連れて、原理主義の入り込む余地は広がって行く。
ムバラク大統領は、「次期大統領選」に不出馬を宣言した。
権力の継承を試みた<息子>にではなく、新たに創設した『副大統領』スレイマンに、禅譲する考えをほのめかしているらしい。
しかし、「大統領の即時退陣」を叫ぶ国民が、ムバラクの提案を何処まで納得するか、疑問である。
アメリカは、ムバラクを失いたくなかった。
しかし、事ここに至って、<エジプト国民>に敵対する立場は、とりたくない。
ムバラクを守るには、最早軍事介入をもってしてでないと、不可能な所まで来てしまっている。
それは、出来ない。
それをやってしまうと、全アラブを敵に廻す事になる。
かといって、ムバラクを見捨てると、第二のイランの出現も覚悟しなければならず、更にアメリカの最も忠実な相手である『サウジ』の王制崩壊にまで進んでしまわないとも限らない。
そうなれば、世界の政治地図は「完全に塗り替えられて」しまうだろう。
さらに、アメリカとしても、イスラエルのこれ以上の強硬路線は、認めたくないところである。
石油利権は、当然失う訳にはいかない。
<八方ふさがり>とは、の事である。
さらに。
イエメンでの<民衆蜂起>の動きも、増々予断を許さなくなって来た。
今日も、数千人のデモ隊が首都に終結し、「サレフ大統領」の退陣を声高に叫んだ。
これまでに、無かった事である。
そして、イエメンでの民衆の抗議行動が始まって以来、4人目となる『焼身自殺者』を出すに至ってしまった。
さらにさらに。
シリアでも、フェイスブックの、ある7500名に上る参加者を有するサークルが、来る4日金曜日(イスラムの休日)に、礼拝後にデモを呼び掛けた。
このサイトは、すぐに封鎖されたが、別のフェイスブックのサークルに、メッセージが次々と転送されて、前日3日の大統領府前での座り込みを呼び掛けるに至っている。
最早、先の見通しが非常に困難な情勢となってしまった。
EUは、チュニジアでの「改革運動」を支持する方針を打ち出したとはいえ、エジプトへの対処には苦慮している。
アメリカもさることながら、各国のこれから取るべき方向は、一つ間違えると、国際経済、国際外交、両面においての大きな失態を記す事にもつながるのだ。
単純に言えば、「独裁政権」は倒すに限る。
「独裁政権下の国民」は、解放されなければならない。
その、当然な事を、「その国民が求める事」は、当然の権利である。
我々日本人としても、精神的にも、可能であれば物質的にも、出来得る限りの支援をしたい所だ。
そして、チュニジアが民主化するかイスラム原理主義化するか。
エジプトが民主化するか、イスラム原理主義化するか。
イエメンがどうなるか。
シリアが。
レバノンが。
トルコが。
そうなると、イスラエルがどうするか。
世界情勢は、一刻の予断も許さぬ、大変に困難な方向に向かうのかも知れない。
前原くん。
対処出来るか?
菅直人くん?
はたまた、次期アメリカ公認首相候補とやらの「石破くん」?
アメリカが「ババを掴んだら」、前原だろうが、石破だろうが、沈没ですよ。
祖国ニッポンを、自主独立路線で危機を切り抜け、困難を乗り越えて行く為の、舵を任せるに足りる政治家は、何処に居る?
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