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許すな!消費税10% 一般家庭は年間34万6000円の負担 大企業は6兆円の丸もうけ
2011年2月2日 掲載 :日刊ゲンダイ
http://gendai.net/articles/view/syakai/128676
社会保障のための増税なんて大ウソだ
民主党は「4年間は消費税を上げない」と総選挙の公約に掲げて政権交代を成し遂げたはずだ。それなのに、菅政権は国民との約束を反故(ほご)にし、増税路線を突っ走ろうとしている。財務省のスポークスマンみたいな与謝野経財相を中心に、もはや増税は既定路線のような雰囲気をつくっているが、冗談ではない。
「この不景気で、デフレ脱却の方策も講じずに、消費税を上げるのは自殺行為です」と言うのは、第一生命経済研究所の永濱利廣主席エコノミストだ。
「消費税は所得が低いほど相対的な負担率が高まる逆進性が知られています。消費税が1%上がると、標準的な4人家族で年間3.4万円程度の負担増になる。税率10%になれば、16.5万円の負担増。年間支払額は34万6000円に上り、家計に与える影響は甚大です。個人消費はますます冷え込み、企業の売り上げも減少する。景気低迷で税収が減少し、むしろ財政再建の妨げになりかねません」
永濱氏の試算では、消費税の増税だけで財政再建をしようと思ったら、税率を27.3%まで引き上げなければならない。国の財政収支は瞬間的に黒字化する。ところが消費の冷え込みなどで実質GDPにマイナス6%前後の下押し圧力がかかり、2年目には財政赤字に転じてしまうという。増税による財政再建は痛みのわりに効果がないのだ。
「消費税のカラクリ」などの著書があり、消費税問題に詳しい斎藤貴男氏も、「消費税増税は大企業優遇策でしかない」と、こう言う。
「消費税の納税義務者は事業者ですが、担税者は法律で定められていない。ここに問題があります。今はデフレ不況で値上げができない。元請け業者は下請け・孫請けの中小零細業者に消費税分の値引きを迫る。もちろん伝票の上では元請けが消費税を支払ったことになっているのでしょうが、実際は中小零細企業が預かってもいない消費税を自腹を切って納めているのが現状です」
あまり知られていないが、消費税はあらゆる税目の中で最も滞納が多いのだという。
国税庁の09年の資料では、新規発生滞納額約7478億円のうち、消費税が約3742億円と、半分以上を占めている。払いたくても払えない中小零細企業が、それだけ多いということだ。
●国民に痛みを押し付ける小泉構造改革と同じ
「中小企業が泣かされている一方で、輸出比率が高い大企業には『輸出戻し税』という税制措置の恩恵もあります。消費税は国内の税制度だから、輸出先からは取れません。でも、仕入れの時には支払ったことになっている。これを是正するため、輸出にかぎってはゼロ税率をかけてやるのです。つまり、輸出企業は仕入れ等のために支払った消費税を還付してもらえる。政府の予算書をもとに概算すると、08年度の還付総額は約6兆6700億円。このうち大手10社だけで還付金の約3割に達します」(斎藤貴男氏)
実際の消費税負担は下請けに自腹を切らせた上、還付金は丸もうけ。いわば大企業は二重に消費税の恩恵を受けているのだ。消費税率が上がれば還付金の額も増えるのだから、大企業が消費税アップを要求するのも当然である。
消費税増税は弱い立場に痛みを押し付け、大企業を喜ばせるだけ。まさに小泉構造改革路線の復活だ。菅政権は財務省や財界の言いなりになって、国民に不条理を押し付けようとしている。「増税やむなし」の音頭に騙されてはダメだ。
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