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【高橋昌之のとっておき】
菅首相は本当に「政治生命」を懸けたらどうか
2011.1.30 18:00
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110130/plc11013018010002-n1.htm
前回のコラムで、菅直人首相の「玉砕覚悟無責任政治」に対する警告を書きましたが、どうやら「玉砕の覚悟」もない、ただの「無責任政治」だったようです。
というのは、菅首相は26日の衆院代表質問で、6月に方向性を示すと表明した消費税を含む税と社会保障の一体改革について「政治生命を懸ける」と発言したことについて、自民党の谷垣禎一総裁から「約束した期限通りに成し得なかった場合には辞職する、もしくは信を問うために解散するということか」と問われたのに対し、「最大限努力をしていきたいという私の覚悟を申し上げた」と答弁したからです。
あきれたのは私だけではありません。26日夜の菅首相のぶら下がり取材でも、記者団からはこの答弁について質問が出ました。
記者団「一般的に政治生命を懸けるとは職を賭すことだと思われる。この見解の違いをどう思うか」
菅首相「とにかく、やり遂げなきゃいけない。そういう思いで申し上げました」
記者団「一般の人と認識の違いは感じないか」
菅首相「いや、私としてはとにかく、やり遂げることが政治責任を果たすと。そういう思いですから。そういう意味で申し上げました」
記者団の質問にあるように、首相が「政治生命を懸ける」と発言したら、それは「首相の職を賭す」、つまり「実現できない場合は内閣総辞職するか、衆院解散・総選挙で信を問う」と受け取るのが常識です。それを「最大限努力するという意味だ」と、平然と言い換えてしまうところに、菅首相の国民を愚弄(ぐろう)する「無責任ぶり」が顕著に表れています。
それなら、菅首相は「最大限努力する」と言い続けていればいいのであって、「政治生命を懸ける」という重大な決意を示す発言はすべきではありません。
菅首相が税と社会保障の一体改革について「政治生命を懸ける」と発言したのは、5日夜のテレビ朝日の「報道ステーション」に出演したときのことでした。菅首相の言い換えに、重大発言を引き出した古舘伊知郎キャスターも、視聴率は普段より低かったとはいえ、視聴者もさぞかし落胆したことでしょう。
このような重大発言のごまかしをやってしまったら、菅首相が今後、何を言っても「どうせ口だけだ」ということになり、与野党の国会議員だけでなく、国民も信じることはできません。「やはり政治家の言うことは信じられない」となって、政治全体への不信を高めることにもなりかねません。菅首相はこの際、「政治生命を懸ける」という発言を撤回するか、撤回しないなら、本当に政治生命を懸けるべきだと思います。
それでなくとも、現在の政治状況を考えれば、すでに菅首相は政治生命が懸かった状態にあります。6月の税と社会保障の一体改革の以前に、まず3月末の平成23年度予算案と関連法案の成否で、菅首相は進退を問われる事態に陥るでしょう。
予算案と関連法案の成否は、政権運営の根幹であり、国民生活に直結します。それらを成立させられなかったら、菅首相では政権を運営できないということを証明することになります。つまり、菅首相にそのつもりがなくても、「政治生命」が問われてしまうわけです。
衆院では与党が過半数を大きく上回っていることから、予算案も予算関連法案も衆院を通過させることは可能です。そして、予算案については参院で否決されても、憲法の規定で参院送付から30日経過すれば自然成立しますから、3月2日までに衆院を通過させて参院に送付すれば、予算案の成立は4月1日の新年度に間に合います。
しかし、それを執行するための予算関連法案は、野党が多数を占める参院で否決されたら、成立しません。憲法の規定により、衆院で3分の2以上の賛成を得て再議決すれば成立させられますが、民主党と国民新党による現在の与党の議席はそれに達しないため、やはり成立させられません。
関連法案が成立していない予算は執行されませんから、新年度に入ると、国民生活にさまざまな混乱や支障が生じます。その場合でも、菅首相は責任をとらず、首相の座にとどまり続けるつもりなのでしょうか。しかし、それは恐らく国民から厳しい批判を浴びるでしょうし、4月に統一地方選を控えていることを考えると、民主党内でも菅首相に退陣を迫る動きが出てくる可能性があります。
否が応でも菅首相は3月末までに進退、つまり「政治生命」を問われるのですから、自ら発言した通り、「政治生命」を懸けて政権運営に取り組むべきです。そのうえで、どうやっても局面が打開できないということがはっきりしたら、その段階で菅首相は潔く退陣すべきだと思います。首相が代わって局面が打開される保証はありませんが、その可能性はないとはいえないません。もし、局面が打開されて予算案と関連法案が成立すれば、国民生活の混乱は避けられます。
かつて自民党の福田康夫元首相は平成20年9月に、「国民生活のために、新しい布陣で政策実現を期してもらいたい」という理由で、退陣しました。その際の記者会見で、福田氏は「私は自分自身を客観的に見ることができるんです」と述べました。わずか1年での退陣には、「投げ出し」という批判も出ましたが、自分では政権を運営できないということが分かったら、国民生活のために潔く退陣して、新しい首相に政権を託すというのも、首相のひとつの見識だと思います。
そうした自分自身を客観的に見る目を、菅首相は失っているのではないでしょうか。現在の困難な局面を打開する具体的な戦略を持たないまま、がむしゃらに突き進んでいるように見えます。そして、その結果について「政治生命を懸ける覚悟」もないというのでは、「無責任政治」というそしりは免れません。せめて首相として政権運営、つまりは国民の生活に「政治生命を懸ける覚悟」だけはもってもらいたいと思います。
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