http://www.asyura2.com/11/senkyo105/msg/563.html
Tweet |
児童養護施設の子は携帯電話契約を拒否される?
教育・こども / 2011年01月25日
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/eb786a68c31dc5ce75e1cd613077d7e7
タイガーマスクの伊達直人名での児童養護施設へのプレゼントが相次いだニュースも一段落の感がある。何はともあれ、児童養護施設に関心が集まったことはいい事だし、一過性の流行に終わらせないで、継続的な支援を行なっていく契機にしたいと思ってきた。そのために永田町を舞台に超党派のチャイルドライン支援議員連盟に勉強会を開催してもらったり、厚生労働省に検討会議を開くように申し入れた。ところが、そうしたゆるやかな支援の芽に冷水を浴びせるようなニュースが昨日の朝日新聞に掲載された。「児童養護施設の男子高校生が携帯電話の契約を拒否された」というもので、全文を紹介することにする。
〔引用開始〕
児童養護施設の子、ケータイ契約できず「親の同意いる」(2011年1月23日朝日新聞朝刊)
東京都の児童養護施設で暮らす高校2年の男子生徒(17)が携帯電話の契約をNTTドコモに申し出たところ、親などの法定代理人の同意が確認できないとして拒否されていることがわかった。この高校生は虐待が理由で裁判所の命令で親と分離されており、親の同意をとるのは不可能な状態だ。施設長(58)は「貯金通帳や旅券の発行、住民票の異動、住宅の賃貸など多くの場合は、経験上、施設長が保証人、保護者代行として認めてもらっている。『タイガーマスク運動』が盛り上がる中、企業としてもできることを考えてほしい」と話している。
この高校生はガソリンスタンドなどでアルバイトをして金をため、昨年暮れ、施設長とともに近くの店舗で携帯電話の購入申し込みをした。しかし、「施設長の同意では受け付けられない」と拒否された。施設長が同社に改善を求める申入書を2度送付したが、事態は変わっていない。
NTTドコモ広報部は「民法上、未成年者の契約には親権者などの法定代理人の同意が必要とされている。同意が確認できなければお断りしている」と説明する。
ソフトバンク、auを展開するKDDI、ウィルコムなど他社も「原則法定代理人の同意が必要」とする。ただし、施設によると、子どもの在籍証明書や施設長の身分証明書などを提出して、施設長が親権を代行する形で契約に応じるところもあるという。
文部科学省の調査で高校2年生の携帯電話所持率は96%。この高校生はクラスで唯一持っていない。アルバイト先からも連絡のために持ってほしいと言われている。高校生は「好きで施設に来たのではない。社会から疎外されていると感じる」と話す。
施設長は「親の虐待から保護したのに、その親から同意をとれというのは無理難題。ハードルが高すぎる」と訴える。国に対しても「親権について民法や児童福祉法の改正が検討されているが、こうした問題も入れて考えてもらいたい」と話している。
〔引用終了〕
この記事を読んで、「なぜ?」と思い、また考えた。児童養護施設を出て社会に出ていく子どもたちに十分な支援体制はない。公的支援は「支度金」として手渡される77000円しかなく、また両親の死亡・行方不明あるいは支援不能などで特別加算される金額を含めて21万余りが「一生に一度」の自立生活への原資だ。だから、児童養護施設ではアルバイトを奨励している。
この男子高校生も「連絡先のために持ってほしい」とバイト先から言われているし、その事情は施設長も理解している。「高校生に携帯はいらない」という類の議論もあるが、公的支援も整っていない、バイト先からも求められるのであれば「携帯契約」は必要だと私は判断する。施設側も、やみくもに認めているのではなく、アルバイト等で自前でお金を貯めて支払能力が形成されたのを見て「携帯契約」を後押ししたのだろう。
しかし、待っていたのは思わぬ「社会の壁」だった。未成年者の携帯契約には親権者など「法定代理人」の署名・押印が必要だが、他の手続きでは認められる場合が多い「施設長の保護者代行」という申請内容では「契約不可」とNTTドコモに突き返されてしまったという。理由は記事にあるように「民法上、未成年者の契約には親権者などの法定代理人の同意が必要とされている。同意が確認できなければお断りしている」ということのようだ。
ただ、この男子高校生は虐待を理由に裁判所の命令で「親子分離」されており、親権者である実の親に「署名・押印」を求めるのは難しい。民法で、携帯電話の契約は通話料等の支払を伴い、未成年者が契約に対して、親権者からの契約取消などの要求が来た場合に対抗手段がないことが理由のようだ。
法務省民事局に電話をして親族法関係の担当官に聞いた。「もしも、携帯電話契約が出来ないのなら、不動産契約も当然、難しいということになるのでしょうか」と質問すると、「そういうことになりますが┄┄」と前置きしつつ、「仮に法定代理人に変わって児童養護施設の施設長で契約を締結したとしても、それは民間企業の判断ですから」と続けた。仮に、携帯会社が今回のようなケースで契約可能としたからと言って、あれこれと干渉はしないという姿勢だった。
他の携帯各社も記事では、「原則法定代理人の同意が必要」とする。ただし、施設によると、子どもの在籍証明書や施設長の身分証明書などを提出して、施設長が親権を代行する形で契約に応じるところもあると書いている。児童養護施設の関係者に聞くと、「ドコモは施設長同席でも拒否」という対応が徹底していて、他の携帯会社では店頭によって対応が違うが「施設長の保護者代行」で契約に至っている場合が多いという。
児童養護施設から自立生活の準備をしている高校生に対して、「携帯電話契約が出来るか否か」という議論をしていること自体、社会的企業としては問題の基本を忘れていないかという疑問を持つ。児童養護施設の高校生は全国で4500人程度だ。施設長が保護者代行で申請し契約締結して、どのぐらい企業が恐れる「契約取消の通告」「不払い事故」が起きているかと施設関係者に聞くと、「電話料を滞納して止められたケースはあっても深刻なものは発生していない」(東京都内児童養護施設関係者)という。本来なら電話会社が、契約時の経済的な負担を軽減して子どもたちの自立準備を支援することを考えるべきジャンルのことだろう。
昨日からツイッターで議論を始めると、多くの意見が集中した。その中には、「契約不可でいいじゃないか」というものが少数だが含まれている。法律通りにやっているのだから何が悪いのかという主張だ。ドコモに右へならえで他の手続きも皆、「施設長は法定代理人として認めない」と足並みをそろえれば、高校卒業を控えて不動産契約をすることも出来なくなる。
施設で暮らせるのは18歳の高校卒業時の3月末までだ。彼らには時間も限られているし、カネも自分でつくらなければならない。この子どもたちを社会全体で支援していくことが、タイガーマスク現象の後で私たちが真剣に考えなければならないことではないか。
明日の保坂のぶとフォーラムでは、緊急にこの問題も取り上げて議論してみたい。以下、案内を付記しておきたい。
〔イベント案内〕
「タイガーマスク現象」が流行であれば、始まったものには終わりがある。しかし、この現象の奥に潜んでいる集合意識には「児童養護施設支援の持続的な政策実現」を政治の側が受け止めよというメッセージも込められいると私は読み解きたい。すでに、昨日のブログで20日には超党派の国会議員でつくるチャイルドライン支援議員連盟主催の緊急勉強会が開催されることを伝えた。また、私自身も26日に予定している保坂のぶとフォーラムで、「児童養護施設の現状と持続的な支援」を緊急にテーマに取り入れて、議論を深めることにしたい。
〔第3回保坂のぶとフォーラム〕
1月26日(水)18時30分より
第1部「政治漂流の仕切り直しへ。私たちが始めるべきこと」 阿部ともこ×保坂のぶと
第2部「児童養護施設の現状と持続的支援の課題とは」 坪井節子(カリヨン子どもセンター代表)×阿部とも子×保坂のぶと
自治体議員選挙の挑戦者の皆さん
杉並産業商工会館(杉並区阿佐谷南3丁目2番19号:JR阿佐ヶ谷駅より徒歩5分、丸ノ内線南阿佐ヶ谷駅より徒歩3分)
参加費1000円(30歳以下・65歳以上500円)
主催・保坂展人と元気印の会
〔告知終了〕
第1部では24日に召集された通常国会の手前に行なわれた内閣改造の布陣について議論。「消費税」「TPP」を柱に、1年半前の政権交代から2011年の政治の「漂流」を分析。さらに、どんな政策提案をすることが「生活の場」に政治を引き戻す道なのかを探る。
第2部のゲストに緊急にお呼びした坪井節子さんは弁護士で、児童虐待や少年事件の現場に寄り添ってきた。子どもたちの苦境に接して、自ら尽力されて「一時避難所(シェルター)」として「カリヨン子どもの家」をつくり、2003年には社会福祉法人カリヨン子どもセンターを設立している。設立趣意書にはこう書かれている。(一部省略)
〔引用開始〕
社会福祉法人「カリヨン子どもセンター」設立趣意書
親子関係がこじれ、あるいは虐待がおこり、家庭に安心して暮らしていけなくなる子どもがいます。児童養護施設を出て、自立したものの、困難に直面し帰る場所を失ってしまった子どもがいます。少年犯罪をおこして、少年院に入る必要はないのに、引き受ける大人がいないために少年院に送られてしまう子どもがいます。
こうした子どもたちは今晩一晩でもいいから泊めてもらえるところがほしい。逃げ込める安全な場所がほしいのです。
2004年6月、司法、福祉、地域など、様々な分野で子どもの人権問題に関わってきた者たちの連携ネットワークから、子どもたちのためのシェルター「カリヨン子どもの家」が開設され、そのホームを運営するための組織「特定非営利活動法人カリヨン子どもセンター」が設立されました。
職員とボランティアスタッフが交代で24時間常駐し、緊急一時避難をしてきた子どもたちの生活を守ります。また東京弁護士会との連携にて「子どもの人権110番」というアクセスポイント、そして子ども担当弁護士による親、学校、職場、関係機構などとの対外交渉が実現しました。また東京都の全児童相談所との協定のもと、18歳未満の子どもについて一時保護委託を受け、より安全に子どもたちを保護することができるようになりました。こうして「カリヨン子どもの家」では、時間をかけて、子どもの意思、背景や環境をききとり、様々な人々や機関と協力して、その子どものその後の生活支援をしていくことを目指してきました。
また、シェルターから出た子どもたちの次なる生活の場として、男子自立援助ホーム「カリヨンとびらの家」(2005年4月)、女子自立援助ホーム「カリヨン夕やけ荘」(2006年3月)を開設し、3つのホームを合わせてのべ130余名の子どもたちと関わってきました。
私たちは、NPO法人カリヨン子どもセンターの活動を継承し、傷ついた子どもたちのニーズに柔軟に、細やかに応え、その命と成長を支えていくために、子どもの権利擁護を使命として、社会的な責任をもち、かつ財政的基盤を堅実にすることを目的として、社会福法人カリヨン子どもセンターを設立します。
社会福祉法人カリヨン子どもセンター
設立代表者 坪井 節子
〔引用終了〕
NPO法人の設立から7年。現在は4カ所の施設を運営しながら、子どもの緊急保護に携わっている坪井さんから見て、児童福祉分野でもっとも重要で欠かせない課題は何なのかをじっくりと伺いたい。そして、前回12月のフォーラムで実現したように、一方通行の場にならないように、皆さんからはメールで質問や提案を事前にいただき「政策立案」に生かしていきたい。また、当日もUST中継を行う予定だ。詳しくは、明日のツイッターかブログで知らせます。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK105掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。