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<2010〜2011>
◇国民に道義示せるか−−ヤマは法案審議、統一選
「『回転ずし』なんだよなあ」。菅直人首相が「最強の布陣」と自負する改造内閣。顔写真が並んだ新聞をデスクにポンと置き、政治ジャーナリストの後藤謙次さんはため息をついた。「民主党の衆参両議員は412人。でも、党内分裂で政権運営にかかわっているのはその半分。だから、同じ顔ぶれをぐるぐる回すしかない。そこに『とにかく目玉商品を』というので、大トロを1皿入れた。それが与謝野馨経済財政担当相です。ただし、大物ヘッドハンティングは末期政権がとる常とう手段でもありますからね」
実際、00年には森喜朗第2次改造内閣の行政改革担当相に橋本龍太郎元首相が就任したが、その4カ月後に森首相は退陣に追い込まれた。
政権の最重要課題「税と社会保障の一体改革」に向け精力的に動き出した「大トロ」こと与謝野氏についても、後藤さんは「比例代表で自民党への票で議席を得ながら、敵対する政党の閣僚になった。首相が期待する野党とのパイプなど、とうに切れている」と手厳しい。
年明け早々、厳しい視線を浴びる菅政権。24日に始まる通常国会では、11年度予算審議という大仕事が控えているが、そこには「少数派に転落した参院」という高いハードルが存在している。
「菅政権のXデーが近づいているのではないか」。永田町周辺で、今や公然と語られる政治日程上のクエスチョンだ。Xデーには二つの意味がある。「首相退陣か」、はたまた「解散・総選挙か」というものだ。
予算案は与党優位の衆院だけで成立させられるが、赤字国債の発行や子ども手当の支給に必要な予算関連法案はそうはいかない。参院で否決された場合、衆院での再可決に必要な3分の2の議席を確保できるかも不透明だ。
この予算審議が大詰めを迎えるのは年度末の3月末。しかし、後藤さんは「本当のヤマ場は5月」とみる。
「実は予算関連法案については、短期的にはやりくりの方法もあるので、政治問題化するのは統一地方選後、つまり5月でしょう。菅首相は公明党との連携を模索しているようですが、内閣支持率が低迷していれば、公明はそっぽを向く。となれば自民党と取引をするしかない。自民は予算関連法案の成立と引き換えに『菅退陣』を求めてくる。そこでどうなるか。3分の2を結集できないとしたら、このシナリオの可能性が高いのではないでしょうか」
ならば「解散・総選挙」はありえないのか。
選挙分析のエキスパートである日本政治総合研究所の白鳥令理事長(国際教養大学特任教授)を訪ねた。仮に、菅首相が解散に打って出たら、どんな結果が出るのか。それを予測してもらったのだ。
シミュレーションの結果を記した紙を示しながら、白鳥理事長は言った。
「4月の統一地方選で民主党が大敗し、追い込まれた菅首相が解散・総選挙に踏み切ったケースです。民主は129にとどまるのに対し、自民は大きく伸ばして259。政党支持率は拮抗(きっこう)しているが、民主は下落、自民は上昇過程にある。いざ投票となれば民主離れが一気に表面化する。その票は少数政党が分け合い、公明25、みんな20、共産14、社民12などと、それぞれ議席を増やしそうです」
こうした壊滅的敗北が予想される以上、菅首相が解散に踏み切る可能性は「低い」と白鳥理事長はみる。野党側も統一地方選を控えている。「野党の反対で予算が執行できないといった批判を避けるため、予算審議では手荒なことはしないでしょう」
むしろ、その統一地方選で民主が大敗すれば「内閣総辞職へと進むのでは」と白鳥理事長は指摘する。昨秋以降の地方選挙では民主の苦境が浮き彫りになった。千葉県松戸市議選、茨城県議選などで軒並み苦戦。昨年12月にあった菅首相の地元・西東京市議選では公認候補7人のうち当選したのは3人だけだった。
「この正月にも地元の駅に立ったのですが、反応は厳しいどころじゃない。有権者に避けられている感すらあります。まあ、石を投げられなかっただけまし、かな」
底冷えがしたのは、東京湾から吹き付ける寒風のせいばかりではなかっただろう。1月13日、民主党大会があった千葉市の幕張メッセ。会場から出てきた1年生衆議院議員(男性)がぼやいた。大会は執行部に批判的な議員が発言を求めるなど騒然とした雰囲気の中で終わった。「こんな内輪もめはやめて『本当の仕事をしろ』というのが国民の声であることは分かっているのですが……」。襟をかき寄せ、足早に去っていった。
陰惨な権力闘争の果てに、「ザ・民主党」ともいうべき2人、菅首相と小沢一郎元代表は表舞台から去るかもしれない。民主党はどこへ流れていくのか。
京都大学名誉教授の伊東光晴さんに会いに行った。硬骨の経済学者。昨年著した「政権交代の政治経済学」(岩波書店)で、民主の政策を欧米と比較しながら分析・評価している。
「子ども手当や公立高校無償化などの直接家計支援政策は、西欧の高福祉国家の常識に近いもので、ダム建設の中止も含めて私は評価しています。だが……」
晴れた日には富士山が見えるという書斎で、伊東さんが言う。「今の民主党は対米追従路線や経済成長路線へとシフトし、有権者には自民との対抗軸が見えなくなってしまった。それが支持を失っている大きな理由です」
思い出すのは菅さんの前任者、鳩山由紀夫前首相が昨年6月、政権投げ出しの際にもらした「国民が聞く耳を持たなくなった」の一言だ。政治とカネ、普天間問題で迷走の揚げ句の「迷言」だったが、変わってしまったのは国民ではなく民主党だろう。
「あなたの問いに答えるなら、解散はないでしょう。党分裂の可能性も低い。与党のうまみを知ったのだから。でも、それで何をしようというのか。消費税増税は必要。でも、菅首相は順序が逆です、いつも。まず、公債をさらに発行してでも当初の公約実現に全力を挙げる。そのうえで費用として増税をしたいと言えば、国民はついてきます。政治は道義がなければ成り立たないのです」
ここにきて、「税と社会保障の一体改革」についての議論に絡み、国民に信を問うのは来年以降との報道もある。
Xデーは変革のチャンスになりうる。2011年。政治に「道義」をもたらすリーダーはどこにいる?【平野幸治】
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ファクス03・3212・0279
毎日新聞 2011年1月21日 東京夕刊
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110121dde012010033000c.html
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