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【松本浩史の政界走り書き】
「菅直人首相は、夏を乗り越えれば長期政権も夢ではないと考えているようだ」
第2次菅改造内閣が発足し、24日に召集される通常国会を控え、とある政府関係者からこんな話をうかがった。このところの首相は自信満々だそうで、まさに「仮免許」の期間を終えて、「さぁ、これからが本番」といった心境なのだろう。
聞けば、17日に予定していた内閣改造の時期を14日に前倒ししたのも、首相のトップダウンで決まったというし、通常国会で施政方針演説があるのに、わざわざ20日に外交演説を行ったのも、世界の経済・企業のトップが集まる月末のダボス会議を前に、「外交音痴」との評を払拭(ふっしょく)しておきたかったのだろう、これまた首相自身の強い意向の裏返しだという。
それでも、審議中に目を宙に泳がせて、答弁も雄弁にはほど遠く、まるで「心ここにあらず」の醜態をさらした昨年の臨時国会の体たらくは生々しく記憶にあるし、そんな短期間で人間は変われない。何を自信のよりどころにしているのか、考えないわけにはいかない。
つまるところ、「ポスト菅」の不在に行き当たるのではないか。例えば、先の代表選で首相を支持した仙谷由人代表代行、岡田克也幹事長、枝野幸男官房長官、前原誠司外相、玄葉光一郎国家戦略担当相(政策調査会長)ら有力政治家はいずれも、先の内閣改造・党役員人事で閣内にとどめたり、党の要職として起用している。
「最大の政敵」である小沢一郎元代表に至っては、月内に強制起訴されれば、当分の間は表立った政治活動を控えざるを得ない。ましてや、小沢氏の支持グループには、「ポスト菅」に名乗りを上げるだけの力量を備えた政治家がいない、というのは政界の常識だ。
先の人事に絡み、首相の防衛本能にほとほと頭が下がるエピソードを、民主党関係者から聞いた。
首相が積極姿勢をみせている環太平洋連携協定(TPP)に対し、真っ向反対している鹿野道彦農林水産相は当初、交代が有力視されていたのだが、ふたを開ければ留任となった。というのも、いつの日か政権運営が厳しくなった際に、小沢グループが御(み)輿(こし)に担ぎ上げないかと懸念した首相が、「不安材料は早めに摘んでおけ」とばかり、留任の判断に傾いたそうだ。
実際、将来的に鹿野氏の擁立をもくろんでいた民主党中堅は、首相支持派の議員から「鹿野氏の留任はあなたのおかげだ」と、皮肉交じりの言葉を送られている。
見渡す限り自身のポストを脅かす政治家がいないとあっては、浮かれ気分になるのもうなずけるではないか。
そうは言っても、4月には統一地方選があり、民主党の苦戦が予想されている。民主党が伸び悩めば、昨年の参院選で惨敗しても居直った首相とはいえ、さすがに引責辞任を考えるのではないか、と思いきや、首相周辺はまったく別の筋書きを考えていた。
「4月24日の統一選の後半戦と同時に、衆院愛知6区の補欠選挙が行われる。愛知は民主党の牙城であり、内閣支持率が低くても勝てる。統一選で負けても補選で議席を確保すれば、首相の責任論を吹き飛ばせる」
ついでに言い添えると、2月6日投開票の愛知県知事選と名古屋市長選は、地域政党が「主役」なので、民主党系候補が敗れても「地域は地域の事情」(同)で、中央の既成政党への余波は軽減できるとみている。
もちろん、言い尽くされてはいるが、「ねじれ国会」下での国会運営は思うに任せず、予想だにしない閣僚の暴言・失言やら外交課題の浮上やらがあれば、それでなくても綱渡りなのに、いやがうえにも厳しい政権運営を強いられるのは間違いない。平成23年度予算案や関連法案、その他の重要法案の行方は、視界不良なのである。
衆院の再議決に必要な3分の2以上の議席は、今や与党でもなく野党でもなく、党の存在意義を高めることに腐心している社民党との協力を前提にしても、ギリギリなのだから、深刻さはひとしおだ。
いつなんどき、退陣の憂き目にあうか、がけっぷちに立たされていることに変わりはないわけだ。
となれば、菅政権にとって、危惧(きぐ)されるべきは、首相の「見当違いな自尊心」が政権運営の迷走に拍車をかけないのか、という一点に尽きる。自信満々はいいけれど、才気走って、理詰めにして独りよがりな言動ばかりが目につくようになると、長期政権など「夢のまた夢」なのである。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110123-00000560-san-pol
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