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【田中康夫 にっぽん改国】
2011年1月19日 掲載
幕張メッセで開催の民主党大会で、菅直人代表は発言しました。
「私は、あの村木さんに事務局長になって貰い、待機児童ゼロの為に200億円の予算を計上した。これが1年限りでない。来年、再来年、そして最終的には欧米、北欧の水準にして、ほぼ待機児童が無くなる様にする。その第一歩が進んだんだと、この事を是非、有権者に訴えて頂きたい」。
「一つひとつの課題を申し上げると切りが無いが、敢えて具体的に申し上げますと」と前置きした上で、「自治体が頑張っても、隣の自治体から子供連れがやって来るので、全国レヴェルでこの事をしないといけません」と高らかに、20分に亘(わた)る演説の中で僅(わず)か1つの具体例を披瀝しました。
う〜む、と来賓として招かれた僕は唸(うな)ってしまいました。200億円を投じて、如何なる変化が生まれるのか、「具体的」な絵が浮かんでこなかったのです。
天下り受け入れの外郭団体が設立され、モデルケースと称して全国に何カ所か、立派な建造物が待機児童の「為」に竣工する初年度ではないか、と口さがない向きは早くも囁き合っています。
些(いささ)か手前味噌な話をすれば、商店街の“仕舞(しも)た屋”や集落の空き家を改修してデイサーヴィスを行う「宅老所」に保育士を配置して、待機児童もお預かりする「宅幼老所」を県単独事業として300カ所以上、在任中に実現しました。
新築のハコモノ行政に陥っては、本末転倒の福祉です。然(さ)りとて現行の消防法では、100平米以上の建物には緑色の避難口ランプや台所の防火化が義務付けられています。こうした改修費用を支援すると共に、自身の子育ても一段落した保育士経験者をデイサーヴィスに配置してこそ、短期間に目に見える変化が生まれるではありませんか。冤罪被害者の村木厚子女史は現在、内閣府政策統括官として待機児童ゼロ特命チーム事務局長を務めます。異口同音に福祉関係者が悪法と慨嘆する「障害者自立支援法」の立役者でもあります。有為な彼女には是非とも同時並行で、障害者福祉の抜本的改正も担当して頂きたいものです。
宰相が宣う「正すべき不条理」とは実は、国民が生活する永田町の外にこそ存在するのですよ。
【田中康夫】
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カテゴリー:日刊ゲンダイ にっぽん改国
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