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民主党執行部が21日、小沢一郎元代表(68)の証人喚問が実現した場合の舞台となる衆院予算委員会の委員から、小沢氏に近い議員をほぼ一掃した。証人喚問実現への環境を整えたこの“大粛清”には菅直人首相(64)の「小沢切り」への強い執着が込められているが、小沢支持議員は猛反発。「これは戦争だ」、「首相は衆院政治倫理審査会への招致議決を阻まれてヒステリーに陥った」などの声が噴出している。血で血を洗う内ゲバが、さらに先鋭化する。
「権限を持っている側に踏みつぶされた不満がある。寂しい気持ちだ」
予算委理事と政倫審幹事を同時に交代された川内博史衆院議員は同日の記者会見で、天を仰ぎながら、執行部への怒りを爆発させた。
川内氏は鳩山由紀夫前首相のグループに所属するが、最近では、政倫審招致をめぐり小沢氏の意向を党執行部などに伝える役目を担う側近として動いていた。
怒りの原因は、一連の露骨な小沢派外し人事だ。党国対が予算委のメンバーを入れ替えたのだが、小沢氏に近い議員は4−5人を残し軒並み排除されたのだ。
具体的には、残留要望の文書に署名した12人のうち、川内氏のほかに岡島一正、三宅雪子両氏ら、実に11人。署名しなかった小沢氏支持の小林興起氏も外れた。
代わりの委員は、仲野博子氏ら数人を除き、生方幸夫、村越祐民両氏といった激烈な「反小沢」がほとんど。
国対筋は「いつでも小沢氏を喚問できる態勢になった」と話し、菅首相に近い中堅議員も「こっちの陣営の突撃部隊みたいなもんだ」と絶賛した。
当然、これには「親小沢」が猛反発。ある議員は委員の差し替え情報を聞くと「くそっ、戦争を仕掛けてきやがった」と声をあげ、すぐに安住淳国対委員長に抗議の電話を入れたが「まあ、いいから、いいから」と軽くあしらわれた。科学技術特別委員会委員長への“昇格”が決定した川内氏は、周囲に「バカにしやがって」と怒りを爆発させたという。
その川内氏は21日夕、森裕子参院議員とともに党本部に岡田克也幹事長らを訪ね、小沢氏の国会招致や処分を検討しないよう求める文書を提出。小沢氏周辺議員は「証人喚問と離党勧告は核ボタンのスイッチだ。押されたら本気で倒閣運動に走る」と息巻いた。
一方の岡田氏らは、小沢氏の「政治とカネ」の問題を放置すれば、国民の信用を失うと判断。近く強制起訴が行われることも踏まえ、国会では証人喚問を検討、党内の手続きとしては党員資格停止や離党勧告などの処分を視野に入れている。小沢氏を孤立させる形で成功裏に実現すれば、小沢氏には政治的な死が待っている。
■「強制起訴されれば喚問は意味がない」
21日には、国会近くのホテルで、岡田氏と「脱小沢」の司令塔である仙谷由人代表代行、枝野幸男官房長官が作戦会議を行った。
ただ、実際に証人喚問が実現する見通しが立っているわけではない。証人喚問の開催は多数決で決められるものの、全会一致が原則。国民新党の亀井静香代表は反対する意向を表明しており、むしろ、実現は難しい情勢といえる。さらに、議院証言法では刑事訴追を受けた人は証言を拒むことができるため、「強制起訴されれば喚問は意味がない」(旧民社系)との指摘もある。
それだけに、党内に「証人喚問なんて無理。首相が自分の思いどおりにならないからヒステリーを起こしたのでは」(小沢氏に近い若手)という声もあれば、野党にも「ただの環境づくり。小沢氏を揺さぶるだけで、証人喚問などやりきれないだろう。腰砕けになって、また内閣支持率は下がる」(自民党中堅議員)と冷ややかに見る向きもある。
岡田氏は昨年11月、与野党幹事長会談で臨時国会中の国会招致を約束したものの断念。越年してまで目指した政倫審への招致議決も取り下げたという“前科2犯”があるため、野党は民主党を信用していないのだ。
通常国会開会を24日に控え、小沢氏の問題には決着がつくどころか、むしろ菅、小沢両陣営にとってリスクの高いバトルに発展した。国民生活を置き去りにした権力闘争のツケを支払わされるのは、国民なのだが…。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110122/plt1101221539000-n1.htm
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