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この国の混乱の現状は第一線記者の責任 (日刊ゲンダイ2011/1/21)
◆なぜか権力に弱いジャーナリストたち
通常国会を目前に控え、党内議論すら十分でないまま、菅首相が「消費税増税を含む税制の抜本改革」「TPP参加」に大きく舵を取った。民主党内からも批判続出だが、この国のメディアは、菅内閣が2つの「重要課題」に踏み切ったことに、称賛の声を送っている。
例えば、朝日新聞編集委員の星浩氏だ。
「社会保障と税一体改革、TPP参加。中身はともかく、この2つをクリアしないと日本の再生はない。日本の政治では珍しく、政策の最終的なターゲットが見えてきたのが、ひとつの進歩です」
内閣改造後に迎えた初の日曜の朝。テレビ朝日の情報番組に出演し、“廃材”をかき集めたスッカラ菅改造内閣をこう大甘評価していた。
「年金や医療も含めた税制の抜本改革」という大テーマは自民党長期政権さえ手付かずだった。ましてや“空き菅”のヘッポコ首相にそんな大それたことがやれないことは星氏レベルなら百も承知だ。ところが、ヨイショなのだ。
さらに星氏は「税と社会保障の一体改革担当相」に就任した与謝野馨にも、期待感をにじませた。「はたして改革の司令塔役が務まるのか」とキャスターに振られると、「人次第。やろうと思えばできる」「自民党のバッシングをしのいで、がっぷり四つの政策論争が始まれば面白い」などと、楽観論をふりまいたのだ。
星氏の“おべんちゃら”も、所属する朝日新聞の社説を見れば納得だ。改造内閣発足を受けた15日には「菅氏が掲げる2つに力を注ぐ『2点突破型』にかじを切った」「今度こそ金看板の『政治主導』に力を入れ、改革を現実のものとしなければならない」と、消費税アップとTPP参加をたきつけたのである。
◆右も左も消費増税・TPP参加を迫る異常
改造内閣の応援団は、朝日だけではない。全国5紙は改造直後に、消費税増税とTPP参加の実行を迫る社説をいっせいに掲載した。
読売新聞は冒頭から「日本が直面している危機を乗り越えねばならないという菅首相の意欲はうかがえる」と書き、「改造の狙い」は「消費税を含む税制改革」「TPPへの参加」と、読者を誘導。「首相の不退転の決意と実行力が問われよう」と迫った。
毎日は「菅直人首相が何を目指しているかを示す布陣となった」と書いた。他紙の社説も「与野党協議を始めるためにも、首相や与謝野氏は社会保障改革の具体案を早く示すべきだ」(日経)、「TPP参加に踏み切れ」(産経)と似たり寄ったり。申し合わせたように、消費税増税やTPP参加を求めたのだ。「消費税増税やTPP参加一色に染まった全国紙の論調は異常です。どちらも国民世論を二分する大問題。本来なら、もっと問題点を掘り下げて国民的な議論が起きるような材料を提供すべきです。なのに、各社の論調は、先に消費税アップやTPP参加という結論ありき。『日本の危機』を煽って、時の政権が掲げた『国策』を推進する内容ばかりです。権力の監視役のメディアが無批判で国策に協力する姿勢は、誠に不健全です」(立教大教授・服部孝章氏=メディア法)
消費税増税もTPP参加も、政権交代で国民が期待を託したマニフェストには一行も出てこない。大新聞も有権者の側に立つのなら、まず「マニフェスト違反だ!」と怒りの論調を掲げてもよさそうなものだ。ところが、「首相は政権公約を抜本的に改めることからスタートすべき」(読売)、「民主党政権が政権公約の見直し作業に着手するのは当然」(産経)と、逆にマニフェスト違反を擁護する論調があふれている。
国民無視のメディアの主張はどこに向いているのか。いったい誰の代弁者なのか。
◆強者にシッポ振って、手のひら返しの菅政治擁護
大マスコミ幹部が、なぜか与謝野を擁護する態度も露骨だ。野党から問責決議案提出の機運が高まる中、18日朝のTBS「朝ズバ!」では、こんなやりとりがあった。
TBS報道局の杉尾秀哉・解説室長が「自民党も、必要以上に攻め過ぎると、国民の不興を買う」と言えば、毎日新聞経済部の内野雅一記者が「お手並み拝見したらいいじゃないですか」と追随。最後は、司会者のみのもんたが「あらゆる人材を登用して良い政治をやってくれることを国民は望んでいる。結果が勝負ですよ」と締めくくった。見事なまでの連携プレー、世論誘導である。
小沢の政倫審問題でも、小沢がゴネているような解説ばかりだ。テレビのコメンテーターは「小沢問題が予算成立の障害になっている。政倫審に出席すればいいじゃないですか」と紋切り型で繰り返している。小沢問題と予算審議は全く関係ないのに、無理やり結びつける。政争の道具に使われることを小沢が嫌って「予算成立後に出席する」と言っているのだから、それでいいではないか。しかし「小沢問題と予算は無関係ですよ」と言うコメンテーターは皆無だ。
日本のマスコミは昔から“長いモノには巻かれろ”で、財務省中心の霞が関や財界、米国にとってジャマなものは叩けが鉄則ではあるが、あまりにもヒド過ぎる。
権力チェックという本来の役割を捨て、そこまで強者にシッポを振りたいのか。
◆大マスコミ記者は“毒”が回ったままか
筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)が言う。
「菅政権が財界や米国と結託し、TPP参加を標榜した頃から、メディアの側面支援は露骨過ぎます。メディアは『TPP参加に乗り遅れるな』と扇動しますが、日本市場の植民地化を狙う米国の思惑通りに参加すれば、この国は終わりです。農業ばかりか、労働力の自由化も進み、海外からの労働力流入で国内の雇用はさらに悪化する。消費税増税にしても、逆進性のある消費税の税率を上げれば、低所得者ほど負担が重くなる。社会保障の財源として、これほど矛盾する税金はありません。しかし、この国のメディアは不都合な事実を伝えようとしない。米国や財界の要望だけを垂れ流し、その米国や財界にコントロールされた菅内閣の露払い役を担っているのです」
「対等な日米関係」を掲げて米国を怒らせ、「国民生活が第一」で財務省や財界に嫌われた鳩山前首相と小沢元幹事長はマスコミの袋叩きで追放された。それが一転、手のひらを返したような菅政治擁護。強い者の走狗に甘んじていて恥ずかしくないのか。
こんな邪悪なメディアの世論誘導に全国の庶民が騙(だま)され、信じたら、日本を潰すTPP参加が“正論”となり、消費税増税が“常識”となってしまう。デマに気付いた頃には、塗炭の苦しみを味わうことになるのだ。この国に大混乱を招いても、第一線の記者たちが責任を取ることはない。常に無責任な言論を展開するだけなのだ。
権力に弱いジャーナリズムの惨状を見ていると、いまだに機密費の「毒」が回っているのかと、ついついマジメに疑いたくなってしまうのだ。
http://ameblo.jp/asuma-ken/entry-10775438273.html
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