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きょうのWSJ日本版より
「表面は変わっても中身は相変わらず」という古い警句を具現化する国があるとすれば、それは日本だろう。菅直人首相が先週実施した内閣改造を見て欲しい。またぞろ日本の指導者が、旧来の考えを持つ旧来の政治家を起用する内閣改造を実施した。
このことは、与謝野馨氏の経済財政相就任をめぐる政治的な議論からは当初、明確にはならないかもしれない。与謝野氏は、小泉内閣でも閣僚を務めるなど、現在野党の自民党では愛党心の強い政治家だった。離党して、たちあがれ日本を旗揚げしたため、自民党では同氏を嫌う人が多い。民主党自体でも、民主党議員ではない同氏を閣僚に起用したとして不信感や不快感が出た。
しかし、この混乱はその最たる特徴は見落としている。つまり与謝野氏には新味のある経済政策構想がない点だ。彼の政治姿勢の特徴は、これ以上債務を増やすことはせずに、増大する社会保障費の財源を確保する一方策として消費税を上げるという、お馴染みの大義を熱心に支持していることだ。日本では、この種の増税は財政規律派に通用している。このことは、なぜ与謝野氏が閣僚ポストを得たかを正確に説明しているように見える。消費税はまた、菅首相の十八番でもあるためだ。
その結果、新たな考え方が切実に求められている状況にもかかわらず、日本は経済政策立案のトップにもうひとり財務省支持派の人物を据えてしまった。金利がゼロ近くにあるため、政府と地方自治体は借り入れを増やし、債務残高は国内総生産(GDP)比数倍まで膨らんでいる。政府が歳出削減を開始しなければ、金利負担で債務も増えていく。デフレという妖怪が経済を脅かし、省エネ家電などの政府補助プログラムが終り、消費者信頼感は低下している。
与謝野氏の考え方は、現在の状況下では完全に過ったものである。消費が増えない限り、財政上、消費税は政府にとって効果的な収入源とはならない。慢性的な景気低迷により、消費税引き上げの目標が早急に達成される可能性は小さい。より幅広く考えれば、日本の財政問題は20年に及ぶ景気低迷に由来している。そのため、政府の税収となる経済的パイが減ってしまった。それに加え、人口の高齢化のため、政府は年金や社会保障の負担も抱える。消費税はこれらの問題いずれも解決するものにはならない。
この国は、債務問題を解決するには経済成長のほか、持続不可能なペースで増えている社会保障給付の改革を同時に進めることが最善の方法であることを理解するタイプの「財政緊縮派」によって運営されたほうが得策といえる。与謝野氏もかつては、少なくとも部分的にはその種の政治家だった。同氏はかつて、小泉政権の郵政民営化を支持していたことで知られる。しかし、完全民営化が民主党によりとん挫した現在、与謝野氏は消費税についてくどくど繰り返し、菅首相はそのために与謝野氏を起用した。
菅首相は、日本の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)参加支持に傾いている。この種の協定により、日本の保護された業界の多くが開放され、競争が促進され、経済の活力が生まれる可能性がある。しかし、農業団体や保護主義者の反対に遭い、不人気の菅首相がTPPへの支持取り付けで困難に直面する可能性はますます高まっているようだ。
このため、菅首相は与謝野氏と消費税に頼らざるを得なくなる可能性がある。さらに、より大きな政治問題に直面するかもしれない。55年に及ぶ自民党の一党支配政治に飽きた有権者は2009年、自民党を放逐した。以来、民主党は選挙綱領で示した公約を実現できないため苦しんでいる。菅首相は現在、包括的な経済プランを進めることはせずに孤立した状態に戻っている。
世論調査では、菅首相の支持率がやや改善した。内閣改造後の調査で、支持率が上昇するのはよくあることだ。菅首相が自身の考え方を改造しない限り、それも長続きしないだろう。
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