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『増税路線とTPP推進内閣』 佐藤隆三
国民の元気殺ぐ仰天人事
菅再改造内閣の注目人事は、何と言っても与謝野馨氏の経済財政相への起用である。任命した菅首相の責任もさる事ながら、与謝野氏の政治家としての節操のなさに国民は唖然としている。自民党の幹部達は、与謝野晶子の「君子にたまふことなかれ」を引合いに「君血迷うことなかれ」「君恥かきたまふことなかれ」と猛反発をしている。
民主党内でも反小沢・親菅を自認する渡部恒三氏さえ、「卑しいし、恥ずかしい」と批判した。与謝野氏は昨年「民主党が日本経済を破壊する」と題した本を出版した。そこで子供手当等を、選挙用フライングフィッシュ(毛バリ)、とこき下ろしている。今回の入閣でこの本がバカ売れする、という皮肉な現象も起きている。鳩山政権時代に与謝野氏は「平成の脱税王」と鳩山氏を決め付けたが、今は与謝野氏が「平成の変節王」となった。
中間選挙で敗北したオバマ大統領は、政敵共和党の減税政策を鵜呑みにする政策大転換を行った。これによりやや回復した。菅首相はこのアプローチを真似たのだろうか。自民党内でも増税論者の最右翼だった与謝野氏を「社会保障と税」担当の大臣に据えたのだから、米メディアも驚愕している。
これで菅民主党内閣は、鳩山政権で発足した民主党本来の理念から大きく逸脱した政治路線を歩みだした。与謝野氏をはじめ菅首相、野田財務相そして藤井裕久官房副長官の4人は財務相経験者である。これで財務官僚が増税のシナリオを実行に移す道筋が整った。
日本の税収減は、不況で法人税が減っているのがその原因だ。景気が良くならなければ、増税をしても政府の税収入は増えない。この経済学のABCが、長い間の不況ですっかり忘れ去られている。不況克服が目的の変節人事ならば国民も納得するだろうが、この仰天人事は今国民の元気を殺ぐ結果となっている。格差社会の元凶とされている小泉内閣でも「景気が回復するまでは増税しない」の見識は持っていた。増税は手取り収入の減少ー>消費減->投資減->GDPの縮小->税収減->増税の必要、と縮小均衡の悪循環をつくりだす。
大競争時代、覚悟が必要
この内閣のもう一つの狙いは、平成の開国と称するTPP(環太平洋連携協定)の推進である。TPPは日本の農業に大打撃を与えるから反対だ、とする主張だけが大きく報道されているが、それは問題を矮小化した見方だ。
米国の目論見は関税撤廃に留まらない。サービス分野や投資ルールにおいても貿易自由化を加速させようとしているのだ。例えば、日本企業に対するM&A(合併・吸収)は無論の事、日本の不動産取得への壁も取り除かれる。中国人が北海道の原野や銀座の店舗を買い漁る事への反感や、BSE(牛海綿状脳症)を恐れた牛肉輸入制限の口実も通用しなくなる。
2国間の自由貿易協定(FTA)に専念する韓国方式の方が、大衝撃を和らげる意味で、今の日本には望ましい。TPPには大競争時代を生き抜くだけの覚悟が必要だ。自国の企業が他国に進出するのは容易になるが、他国の企業も日本に容赦なく入って来るのだ。これが大競争時代の現実の姿なのである。
外国企業の参入が、弱った日本経済の閉塞感打破の刺激剤になるとは思えない。菅再改造内閣は、増税をしてTPPに参加すれば日本は再生する、と主張しているが、逆の結果を生まない保証は何処にもない。(ニューヨーク大名誉教授)
静岡新聞 1月18日 朝刊
「コメント」
静岡新聞にては、珍しく正論を載せたから、投稿します。
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