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これほど晴れがましさがない内閣改造は珍しいだろう。首相・菅直人がいかに「通常国会に向け、党と内閣を最強の態勢にする」と強弁しようとも、今回の改造は前官房長官・仙谷由人、前国交相・馬淵澄夫が問責決議を受け、2人が辞めない限り、国会の審議入りが困難な局面に追い込まれたからだ。
言わば、「追い込まれ問責改造」である。また、仙谷、馬淵に加え、国家公安委員長・岡崎トミ子、昨年11月に辞任した元法相・柳田稔の未補充分を加えた4ポストに入ってきたのは、官房長官・枝野幸男(前民主党幹事長代理)を除けば古式蒼然とした顔触れだ。前たちあがれ日本共同代表の与謝野馨(72)が経済財政担当相に、前参院議長・江田五月(69)が法相に、元衆院副議長・中野寛成(70)が国家公安委員長に、それぞれ就任した。
まったく希望を抱かせないだけでなく、それぞれに「○○なのに、なぜ」という疑問が湧く。
「あれほど民主党を批判していたのに…」
「参院議長を務めたのに…」
「衆院副議長を務めたのに…」
「昨年夏の参院選で民主党が大敗して、幹事長代理に降格していたのに…」
それに加え、さらに与謝野には、「2009年夏の衆院選で経済産業相・海江田万里と戦ったのに…」という疑問が加わる。東京1区の有権者はどう思うだろう。そもそも、与謝野は海江田に負けて比例代表の自民党枠で復活当選した。
与謝野の議席は東京ブロックで自民党に投票した有権者の票によって成り立っているわけだ。だから、与謝野はそんなに政権内で活動したいのであれば、議席を返上して民間人となって入閣すればいい。そうすれば、議席が自民党に戻り、比例東京ブロックで次点者が繰り上がる。
江田、中野の入閣には立法、司法、行政の三権分立の下、立法府で位階を極めた人が行政府の重要ポストを就くことに対する違和感がぬぐえない。議長経験者の身の処し方で、思い出すのは元衆院議長・坂田道太のことだ。
1989年4月にリクルート事件で強い非難を受けた首相・竹下登が退陣し、後継選びが難航した際、自民党内で学究肌の坂田に総裁、つまり首相就任を要請する動きが広がった。それに対して、坂田はこう言って固持した。
「だめだ。議長というものは国権の最高機関である国会を代表している。三権分立の憲法でも、立法府の議長は行政府の首相や司法府の最高裁長官よりも最上位にある。二の次の首相をやることは議長の職をおとしめることになる。これだけは筋を通す」
そう、これだけは筋を通すという気骨が政治家一人ひとりになければならない。経験豊富な与謝野、江田、中野にはとくに、どんなに頼まれてもそれだけはやってはいけないという政治家としてのプライドを持っていてほしかった。
*** 逆効果になった与謝野の起用 ***
さて、この改造・民主党役員人事は政権を強化したことになっただろうか? わたしの答えはノーである。
政権が抱える最大の問題は、参院で大きく過半数割れし、法案を成立させる力を持っていないことだ。その弱点を乗り越えるには、他党と連立を組むか、それができないなら、自民、公明両党など野党の協力を得られやすい態勢をつくらなければならない。
しかし、与謝野の起用は明らかに逆効果だ。与謝野は昨年4月、元自民党幹事長代理の園田博之とともに自民党を離党し、元経済産業相・平沼赳夫と合流して「たちあがれ日本」を結成した。これに対して、自民党は園田の離党届は受理したものの、与謝野については受理せず、除名処分にした。
そんな与謝野に対して、温厚な総裁・谷垣禎一でさえ「与謝野氏を自民党とのパイプ役と考えているのであれば、人間の見方が全く間違っている」と、額に青筋を立てた。公明党代表・山口那津男も「閣僚の任命のあり方にいささか問題があり、政権に対して厳しく問うていきたい」と強調した。
与謝野起用については民主党内でも極めて冷ややかだ。人事はおおむね、行うまでは「求心力」に、行った途端「遠心力」に働くものだが、今回はとりわけその傾向が強い。
改造によって内閣支持率は10%近く上昇したものの、衆院比例代表選の投票先政党では依然として自民党にリードを許し、効果は限定的だ。
政権の難関は3月末までに、子ども手当や、歳入の4割を占める赤字公債の発行を認める特例法案など予算関連法案を成立させられるかどうかだ。内閣改造・民主党役員人事によって、その可能性が一段と低くなったのは間違いない。
(敬称略)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110117-00000001-gendaibiz-pol
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