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誰も通らない裏道
2011/01/15
菅改造内閣 〜 霞が関独裁の完全復活政権
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デモクラシーというと、多くの日本人は、完全無欠で人類が到達した最高の政治形態だと思っている。とんでもない。デモクラシーの評価については、古代ギリシア以来、論究されてきた。古来、批判者、否定者も多い。デモクラシーの熱烈な支持者であればあるほど、その欠点に敏感である。これは刮目(かつもく)すべきことである。はじめに、注意しなければならない点が二つある。
まず第一に、これは人間の自然状態(ナチュラル・ステイト natural state)ではなく、めったにないものだということ。デモクラシーは三〇〇〇年に一度咲くと仏典にいう優曇華(うどんげ)の花のように珍しい。
(中略)
第二にデモクラシーとは、ひじょうにかよわいものであること。フランス革命は、大革命をナポレオンに乗っ取られ、二月革命をナポレオン三世に乗っ取られた。さらに第三共和国成立後も、もうちょっとでブーランジェに乗っ取られそうになった。
小室直樹著 『田中角栄の遺言 〜 官僚栄えて国滅ぶ』より
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菅改造内閣が発足した。
小選挙区制度というのは一つの選挙区にA党とB党の候補者が立候補し、そのどちらかを有権者が選ぶことで政権を選択する。ところが、この内閣には東京1区で当選した候補と落選した候補の2人ともが入っている。しかも、この落選した候補は、その選挙において与党となった政党とは真逆の主張をしていた人物だ。
そして、この政権は総選挙で国民に示したマニフェストを白紙に戻すらしい。
当然、批判の声は国民、いや民主党内からも少なくない。
曰く、「これでは詐欺ではないのか」「国民に対する裏切りである」「民主主義、政党政治の破壊だ」「暴挙以外の何ものでもない」、、、とかなんとか。
もちろん、私もこの改造内閣には呆れかえっているし、批判されて当然だと思う。
だが一方、ある文脈から見れば、この組閣は当然の成り行きであって非常に筋が通っている。
思うに、この改造内閣を見て怒っている人の前提には、日本は民主主義国家であるという誤解がある。「なのに、どうしてこうなるのか、、、」というのが多くの人に共通するところであろう。
だが、当ブログでは一貫して主張しているように、日本は民主主義国家ではない。民主主義を装った世界でもっとも洗練された官僚独裁国家なのである。ま、これについては幾度となく書いてきたので、↓のエントリーを参考にされたい。
・菅政権 〜 いま起きているのは霞が関独裁のタガの締め直しである
そして↑のような文脈で見ると、与謝野馨の起用などなんの不思議もない。なぜなら、与謝野こそ官僚の中の官僚である財務省の意中の人物なのだから。
そして菅政権は消費税増税、TPP参加という路線を一直線に突き進む。
野党がこれに協力しないのならば、それは「歴史に対する反逆行為」なのだそうだが、今後、その路線と軌を一にして、マスメディアによる空前絶後の「消費税、TPP」の大キャンペーンが始まるだろう(というか、すでに始まっているが)。そして、この路線に反対する人びとには抵抗勢力のレッテルが貼られることになる。
つまり、ここにおいて霞が関による独裁が完全復活したのである。
そうとらえれば、この政権が抱えている数々の不条理は、すべて説明がつく(今考えると、鳩山政権の8か月ほどというのは、日本が歴史上、民主主義を経験した本当にわずかな期間であったわけで、日本版「プラハの春」のようなものだった)。
本エントリー冒頭で引用した小室直樹先生の著書『田中角栄の遺言』は、最近、『日本いまだ近代国家に非ず』というタイトルで復刊された。この本を書店で立ち読みしたところ、巻末に小室先生が生前、最後に語っていた言葉が収録されていた。
それによると、小室先生は「この本は(『田中角栄の遺言』)ロッキード角栄裁判を例に『近代法の原則』を説いたものだが、何にも知らない国民は、マスメディアが煽る拙劣な『空気』を拙劣とも思わず、司法当局の暴走を許す結果になった」とおっしゃっていたという。
そして、こう続けたそうだ。
「国民が、勉強しない限り、何回でも、同じ繰り返しをすることになるでしょう」
http://fusenmei.cocolog-nifty.com/top/2011/01/post-d6f6.html
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