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「鳩」が「菅」を許さない理由
フォーサイト 1月13日(木)13時4分配信
民主党は、事実上の分裂状態で新年を迎えた。元旦、東京・千代田区永田町の首相公邸では菅直人首相が新年会を開き、45人の議員が集まった。一方、世田谷区深沢にある小沢一郎元代表の私邸には約120人が集結した。
昨年の元旦は、小沢邸を166人が訪問した。「目減りした」との見方もあるが、政治資金規正法違反で強制起訴される男の家に出向くのは相応の覚悟がいる。120という数字は相当なものだ。
小沢邸の玄関先では、料理人がマグロ解体ショーを行ない、刺し身を振る舞った。「マグロじゃなくて民主党の解体だったりして」という笑えないジョークも出たというが、自分たちが世論の指弾を受けているという悲壮感はなかった。
なぜ小沢グループの結束は保たれているのか。選挙で世話になった義理もあるだろう。純粋に政治理念を尊敬している若手もいる。だが結束の背景にはもう1つの要素がある。鳩山由紀夫前首相の存在だ。
■小沢支持グループの「錦の御旗」
首相を辞任する時、次の衆院選には出馬しないと明言しながら引退を撤回した鳩山氏に対する国民の目は厳しい。だが、党内の評価は違う。
鳩山氏は民主党の創設者だ。結党時には弟の邦夫氏と2人で15億円を提供したとされる。鳩山氏がいなければ、今の民主党はない。もちろん首相在任中の軽い言動は、党内でも顰蹙を買ったが、それでも党の象徴としての存在感は残る。今、菅政権を支える仙谷由人官房長官、玄葉光一郎党政調会長らも決して鳩山氏を悪くは言わない。小沢氏は政敵と割り切っても、鳩山氏は敵に回したくないのだ。
その鳩山氏が、今回の党内抗争では完全に小沢氏側についている。それが小沢氏支持グループの「錦の御旗」になっている。
退陣後、鳩山氏はある冊子をひそかに持ち歩いている。表紙には、金色と青のストライプのネクタイを締めた鳩山氏が全力疾走しているイラストが描かれ、タイトルは「Manifesto もっと前へ進めたい。」とある。
鳩山氏のマニフェストと言えば「政権交代」を前面に出した2009年衆院選の時のものが有名だが「もっと前へ」は、その後、鳩山氏が首相になってから10年7月の参院選に向けて準備したものだ。6月上旬、イラストと同じポーズの写真を撮影して印刷に出す運びだったが、その直前に鳩山氏が辞めたため未完成に終わった。
■似て非なるマニフェスト
鳩山氏は、このマニフェストに強いこだわりを持っている。だが、菅氏が首相に就任した後にできた参院選マニフェストは「似て非なるもの」になってしまった。
2つのマニフェストの違いは明白だ。「もっと前へ」では、09年の衆院選マニフェストを頂点に定め、そこに到達する決意が表明されている。政権奪取後に「実現したこと」と「まだ実現できていないこと」に分け、実現できていない部分は素直にわびている。そして衆院選マニフェストから追加・修正された部分が一目で分かるように工夫されている。
例えば、子育て政策については、子ども手当は「一部実現」、公立高校授業料の無償化は「実現」とし、子ども手当の上積み分を「現物サービス」にも代えられるようにすると「追加」してある。
一方、「菅マニフェスト」は方向性が曖昧だ。衆院選マニフェストを目標点にはせず、そのかわりに経済界の意向を受けて「強い経済」「実質成長率」などの表現がにわかに増えた。極め付きとして「消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始します」という1文が加えられた。
菅氏が参院選マニフェストを発表したのは、鳩山氏の辞任から2週間後のことだった。その間にここまで書き換えたのは、菅氏が自分の理念を引き継ぐ気はもともとなかったからだと鳩山氏は悟った。「首相の座を譲ったのに話が違う」と感じる鳩山氏の、菅氏への不信感は相当に強い。
■国民不在の政局
小沢氏は、政治の空気を読むのが抜群にうまい。鳩山氏を巧みに取り込み「反菅連合」を創りあげた。菅氏を支持する有力閣僚の1人は「小沢氏が出て行くのは、むしろ歓迎だ。ただ鳩山氏が同調しているのは誤算」と打ち明ける。
小沢氏を支持するグループは、自分たちが反乱軍だとは思っていない。鳩山氏が自分たちについているという安心感があるのだ。元旦の新年会には海江田万里経済財政担当相、松野頼久前官房副長官ら鳩山側近も顔を見せたが、小沢チルドレンらはVIPのようにもてなした。
もちろん、国民から見放された存在を「錦の御旗」とすること自体、今の政局が国民不在であることの証左ではある。だが、今回の党内抗争を語るとき、鳩山氏という男を過小評価してはいけないというのも、また事実なのだ。
そして“もし”近い将来「小鳩新党」ができたとすれば「もっと前へ」をベースにしてマニフェストがつくられるだろう。
ジャーナリスト・野々山英一 Nonoyama Eiichi
Foresight(フォーサイト)|国際情報サイト
http://www.fsight.jp/
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110113-00000301-fsight-pol
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