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阿久根市長選、竹原信一氏が『対立』した相手の正体(上)
http://www.data-max.co.jp/2011/01/post_13211.html
16日に投開票が行なわれる阿久根市長選。「投票が近づくにつれ激しさを増す」といった文句が各紙面を踊るだろう。しかし、穏やかな阿久根のまちで、激しさが増していくのは市民一人ひとりの心の葛藤ではないだろうか―。
市長就任以来、約2年3カ月の間に2度の出直し選挙に臨むことになった前市長・竹原信一氏(51)。初当選時を含めれば、実に3回目の市長選となる。選挙事務所内には、その歴史を物語る過去と現在の選挙ポスターが展示されていた。「阿久根を変える!」、「阿久根は変わる!」、そして「阿久根が変える!」と変遷したキャッチコピー。しかし、その言葉に込められた阿久根への想いは変わらない。
竹原氏を支持する阿久根市義・石澤正彰氏は自身のブログで回顧している。
「何時だったか私は竹原氏に『今度市民にソッポを向かれる事があれば、もう2度と苦労する等必要ない!』と言った事がある、イヤ私は彼が家族、家庭を省みることなく犠牲にして、世のなかの不条理の悲しさをバネに戦っていた事を知っている。私利私欲無く他の誰が出来たと言うのだ。『...2度と苦労する等必要ないで!』と、私が心ない言い方をしたのだが、その時の彼は今まで1度も見たことがない悲しそうな表情に見えた」(原文のまま)。
『対立』といわれる状況は、竹原氏が市議としての政治活動をスタートさせる以前から続いていると言える。竹原氏の政治活動の源流は、市議会・市役所の問題を徹底批判した内容のビラを配布して回った市民運動だ。
そして市議時代、市議会の同志は今回の阿久根市議補選で無投票当選した山田勝氏ひとり。竹原氏のブログで実態を暴露されることを恐れた市議たちは、竹原氏と山田氏がいる議員控え室を避け、ほとんど議長室にいたというエピソードも聞く。「好きか嫌いか、それだけで決められる」と、竹原氏は市議会を批判する。そこ(議決)には市民のための議論はない。個人的感情しかないのだと。
候補者の街頭演説を聞いていた老人は、取材した記者に怒りをぶちまけた。「地方分権なんてとんでもない! 今まで何もしてこなかった。いや、何もできなかった。よっぽど中央集権でやってもらったほうがいい!」と
阿久根市長選、竹原信一氏が『対立』した相手の正体(下)
http://www.data-max.co.jp/2011/01/post_13212.html「自分のためではなく社会全体のために働いてほしいという気持ちで投票されれば、政治家も自分をおいて社会のために働いたはず」という竹原氏の言葉は、決して阿久根市だけに限ったことではない。しがらみで動く票、低い投票率、およそ選挙に関しては多くの自治体が同じ問題を抱えている
決して私利私欲のためにやっていないことは、竹原氏がマスコミに袋叩きにされ、2度も市長職をクビになるに至っても信念を曲げない姿からうかがえる。さらに今ならば、泡沫候補といわれてもおかしくない小ぶりで質素な選挙事務所を見れば一目瞭然だ。自分のためにやっているのであれば、誰もがとっくにさじを投げるだろう。
そして竹原氏は、Net-IBニュースの独占取材(別途、動画を更新予定)に応じ、「今回の選挙は市民が考えるきっかけ、将来の資源にしてほしい。結果はどうあれ、阿久根のためなら自分は道具にされてもいい」という本音を語った。
当たり前のことをするのが当たり前ではない社会―。それを身近に感じることがあるはずだ。老人に席をゆずると、周囲から感心され、たいへんな感謝を受ける。道に落ちているタバコの吸い殻を拾うと「立派ですね」と言われる。
市長の公約に市議会が真っ向から反対し、議論もなく否決する。約束を守るのは当たり前のことだ。しかし、その当たり前のことが通らない。じゃあ、どうするか。ある首長はやる気をなくしたうえに、せめて市長の椅子は守ろうと議会の顔色ばかりをうかがうようになった。公約違反のツケで落選したが、最大の犠牲者はその公約を信じて票を入れ、4年間、怒りとむなしさに満ちた時間をすごした市民である。
今の日本は「公(おおやけ)のために」という精神を失ってしまった。そう考えると、竹原氏が『対立』した相手とは、議会でも市職員でも、ましてや市民でもない。『公がない社会』こそ、戦ってきた相手の正体なのである。
「政治家も公務員も市民のなかから生まれます。市民全体が公のことをひたすら考える状態になれば、どのような人間が市長になろうが議員になろうが公務員になろうが良い社会になるんです」という竹原氏の演説には、本当に伝えたいメッセージが込められているように感じる。
告示日、出陣式に集まった多数の支持者を前に上機嫌だった竹原氏。「市長選も回数を重ねるにつれ、集まる市民の数が増えてきた」と、昔からの支持者は感慨深げに語った。しかし、その出発点は、たったひとりのビラまき活動だった。
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