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菅首相が今年に入り、独自の政策方針や、達成に向けた「期限」を次々と打ち出し、周囲が戸惑う場面が増えている。
環太平洋経済連携協定(TPP)への参加問題や消費税増税、公務員の人件費削減など、党内外で意見対立が続く複雑な課題ばかりで、政府内では、“空手形”に終われば政権基盤が揺るぎかねないと懸念する向きも強い。
「平成の開国と社会保障制度の改革、財源の問題は先送りできない課題だという認識で取り組んでいる」
11日夜、首相は首相官邸で記者団にこう語り、主要政策の実現に強い意欲を示した。
首相は7日のインターネット番組で、2009年の民主党衆院選政権公約(マニフェスト)を見直す考えを表明。5日のテレビ番組でも国家公務員の給与削減について、「(民間の水準より)もっと削減できる仕組みを法案として提案する」と大幅カットに踏み込んだ。消費税を含む税制と社会保障制度の改革に関しても、同番組で、「政治生命をかける」と言い切った。
TPP参加問題も、年頭の記者会見で、6月頃に最終判断する方針を表明した。これらは党内で議論を積み重ねた政策方針ではなく、「首相の独自判断」と言われている。
背景には、首相が年末の予算編成を通じて財政再建の必要性を痛感したことがある。内閣支持率が低迷する中、指導力を発揮して「反転攻勢」(首相)をかけたいとの思いもにじむ。
だが、公務員の総人件費削減について、首相は代表選で「人事院勧告を超えた削減を目指す」と公約したが、勧告通りで決着した。11日の関係閣僚の会合では、2009年の衆院選公約で13年度までに実現するとした「総人件費の2割削減」も事実上、断念するなど、かけ声倒れの面は否めない。
党内でも、「首相は、十分に議論して発言すべきだ。参院選前に消費税増税を唐突に表明し、大敗した反省が全くない」(ベテラン)との反発が出ている。
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