http://www.asyura2.com/11/senkyo104/msg/288.html
Tweet |
http://mainichi.jp/select/opinion/maki/news/20110111dde012070034000c.html
今年の年賀状は「不安」や「苛(いら)立ち」のオンパレードだった。
景気への不安、定年退職後の不安……中には「一昨年半ばから出社時、退社時に尾行され、事務所近辺では見張られている事に気づきました。不気味で仕方ない」という年賀状もあった。勘違い、とは思うが人知れず、誰でも「不安」を抱える昨今だ。
例えば、キャンパスの不安……「この不況下で、私の教室でもボロボロと退学する学生が多く、心が痛みます」と嘆く大学教授。
政治に対する「苛立ち」は随所に見られる。「昨年は期待、そして失望。民主党政権が、こんなひどい事になるとは思いませんでした」とは某月刊誌の発行人。新潟県の新聞販売所長は「一国の総理が『今まで仮免』とはあまりに国民を愚弄(ぐろう)している。民主党は徳川慶喜を見習って早急に大政奉還すべきだ」とカンカンである。
去年まで年賀状はほとんどが「近況報告」だったが……今年はかなり刺々(とげとげ)しい文句が続く。
某夕刊紙の社長は小さな小さな字で「世の中、何もかもグチャグチャですね」と嘆き、大量生産で有名な人気作家は「すでに出版社から『自民党の復権』という作品のオファーが来た」と披露している。もしかして日本人は「世も末だ」とでも思っているのか?
そんな中で、優しい同僚記者が「守株待兎(しゅしゅたいと)」(童謡「待ちぼうけ」の原典)という言葉を引用して「怠惰を戒め勤勉を勧めているのですが、そう堅いことは言わずに、今年はのんびりと兎(うさぎ)を待ちましょう」と書いてくれた。その楽観主義?にホッとした。年賀状はこうこなくては……。
でも……断っておくが韓非子の「守株待兎」の寓話(ぐうわ)は甘くない。
畑を耕している農民がいた。ある時、そこへ飛び出してきたウサギが畑の中にあった切り株にぶつかり、首を折って死んだ。労せずしてウサギを手に入れた農民はそれ以降畑仕事をやめ、毎日切り株を見守り、再びウサギを得ようとした。しかし二度とウサギはぶつからず、農民は国中の笑いもの!
韓非子は、世の変化に対応せず、古い成功例をひたすら守ろうとする「儒学者の愚かしさ」を笑っているのだ。
自民党の自滅で「棚ぼた」で政権を手に入れた民主党。1年以上たったが「無策」にして「先送り」。政権を守るのがやっとで……自民党と何ら変わらない。刺々しい年賀状の数々には絶望的な思いまで隠れている。(専門編集委員)
毎日新聞 2011年1月11日 東京夕刊
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK104掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。