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海外の政党では基本的に政党が何を求めているかが明確である。米国であれば共和党は自由主義(Liberalism)であり民主党は修正自由主義(Social Liberalism)に近い。これに対して我が国はどうだろうか。このような明確な哲学が議員たちや評論家によって語られたり、マスコミが報道をしているだろうか。
現実を見れば明らかのように、この国の政治に対する議論や報道は枝葉末節が先に来て大方針についての議論がまるでない。例えば増税の話である。財政赤字がひどいかどうかの検証は必要だが、一応マスコミや評論家が騒いでいるからその論拠に従うとしよう。増税は必要だと言っているけれど、一方では企業減税やTPPなどの市場開放もしろと言っている。しかも消費税の増税は社会保障のためであるとも言っている。さらに子ども手当や高校の無償化には「ばら撒き」と非難して止めろという大合唱のありさまだ。この議論の根拠は何なのだろう。個々の政策の枝葉末節から議論がなされているから本質の矛盾が見えてこない。
良い例として悪名高い「小泉・竹中路線」によった改革と称するものを見てみよう。これは市場開放、民営化を進めれば経済が活性化するというネオリベラリズム(Neo Liberalism)に基づいた政策である。この政策は基本的に社会保障は縮小になるものである。同時に小さな政府としての規制改革もしなければならないものであった。しかし行政機構の改革は何もなく、社会主義的な国家体制はそのままだった為に改革は何も進まなかった。結果としては企業の内部留保の大幅な増加に象徴されるように貧富の差は拡大し、国民生活はズタズタにされた。政策は大失敗であったのだ。小泉政権を継承したその後の自民党政権は何の改革も国民に提示できなかった。その結果として起きたのは「国民の生活が第一」を掲げて選挙に大勝した民主党による政権交代である。この意味では、民主党の政権交代時の政策の基本は「社会自由主義」と呼ばれるSocial Liberalismであったはずである。それは「子ども手当」や「高校の無償化」「後期高齢者医療制度の廃止」などの政策に具体的に現れている。
以降、この国のマスコミや評論家、野党が何を論じたり報道してきたかで、その支離滅裂さが分かる。まず「子ども手当」について論じよう。本質は内容ではなく政策の根拠である。それは国家の基本である人口問題における「少子高齢化」という何十年も前から分かっていた大問題を自民党政権が放置してきたことを修正するためのものである。その議論なしで、財政の裏付けなしの「ばら撒き」という皮相的な非難が平気でまかり通っている。一方では景気の悪化については財政出動して需要を喚起せよと言っているが、こちらについての財源の問題については何も論じられない。過去の自民党がしてきた財政出動の結果が900兆円にもなる財政赤字の原因であることは誰も口にしない。既に存在する財政赤字を減らすためには一年や二年でできるはずはない。ましてや個々の枝葉末節な政策の是非を論じても何も変わるはずがない。もっと根本的な議論にならなければならないのだ。
その意味では、当初の民主党の政策は「国民の生活の安心」を基盤として、生活を安定させた上での経済の活性化を目指すものであったはずである。一年や二年の短期間でできるものではない。それを小沢一郎以外の誰もが理路整然と国民に対して説明できなかったのは大問題である。せっかくの政権交代の意義は何だったのか、本当に驚いたのは民主党の大部分の議員たち自身がこの事を理解していなかったことを露呈した事であった。結果としてマスコミによる世論操作に右往左往する政権運営となり、本来あるべき政策の修正や、完全に合理性を欠いた政策がなされようとし始めている。特に菅直人が首相に就任してからの変節はひどい。国民が起こるのは当たり前である、政権交代の前提をなくそうとしているからだ。
野党、特に自民党の消費税増税や過去のばら撒き政策である公共事業の拡大政策は論拠が破綻したものである。自由主義を目指す政党の基本は増税ではない、むしろ減税によった市場の活性化、自由競争の拡大である。しかし自由競争の前提となる規制緩和についての議論は何もない。さらには社会主義的な行政機構の改革は一切なく、天下り一つについても何も規制できてこなかった。彼らに民主党を非難できる資格は何もない、なぜなら事実が無策を立証しているからだ。どんなに隠しても自民党が自由民主を掲げた政党ではなく、官僚と一体化した「官僚社会主義」政党であるという本質は変わっていない、だから自民党に未来はないのだ。その他の野党は論外だろう。
言いたい事は、各政党がどのような基本的な考えで政治を行うのか、その根拠を示して貰いたい、という事である。ある時は自由主義、ある時は修正自由主義になるような哲学のない個々の政策の発表や決定のような事が国民に混乱を招いている。もはや官僚の宣伝機関に成り果てた大手マスコミの世論操作は無視できないくらいの酷さになっている。そのためにも政治家たちは自分たちが何に基づいて政治をするかを国民に明確にする必要があるのだ。
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