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菅直人首相は9日も横路孝弘衆院議長と会談するなど、内閣改造・民主党役員人事へ向けた調整を続けた。野党が交代を求めている仙谷由人官房長官の処遇を巡り、仙谷氏が所属する前原誠司外相グループや首相周辺では続投論が強まる一方、仙谷氏の交代を含む大幅改造を求める声も党内に広がる。続投か、交代かの二者択一。その判断が今月下旬に始まる通常国会の11年度予算案審議の行方を左右しかねないだけに、首相はギリギリまで情勢を見極めようとしている。
「通常国会の入り口はよくても、3月末までは続かない。予算審議に入れば(野党の攻撃で)ぼこぼこにされる。このまま突っぱねて正面から突っ込む方がいい」。首相周辺で強まる正面突破論だ。
野党は昨秋の臨時国会で問責決議を突きつけた仙谷氏と馬淵澄夫国土交通相が交代すれば、通常国会の審議に応じるとしている。しかし、自民党は「衆院解散・総選挙に追い込む」と対決姿勢を前面に押し出す。首相が連携を期待する公明党の山口那津男代表も9日のNHK番組で「これだけ支持率が下がって政権担当能力に疑いが持たれている政権との連携は考えられない」と明言した。
予算審議で野党の協力を取り付けられる保証がないうえに、参院の問責決議で閣僚が辞める前例をつくれば、「問責カード」を握る野党に国会審議の主導権を奪われる。審議拒否には世論の反発も予想され、首相官邸筋は「審議拒否できてもせいぜい10日」とみる。
ただ、西岡武夫参院議長は菅首相と仙谷氏の政権運営に批判的で、首相側には「開会式のベルを押さないかもしれない」との警戒感もある。
首相は9日、衆院議長公邸に横路氏を訪ね、国会運営への協力を要請。横路氏は「参院の問責を理由に閣僚が辞める前例を作るべきではない」との持論とともに、仙谷氏を交代させる場合は問責と関連づけない「大幅改造」とするよう助言したとみられる。
仙谷氏の処遇によって改造の規模も変わる見通しで、留任が確実視されているのは片山善博総務相、前原外相くらい。仙谷氏交代の場合を想定し、後任の官房長官を巡っては、民主党の岡田克也幹事長と仙谷氏を入れ替える案や、北沢俊美防衛相、玄葉光一郎国家戦略担当相(党政調会長兼務)らの名前が取りざたされている。
首相は元日の年頭所感で「平成の開国」や税と社会保障の一体改革などを重点課題に掲げ、公邸で開いた新年会では「やりたいことをやるために権力を掌握して頑張る」と宣言した。「政権の屋台骨」(岡田氏)となっている仙谷氏を交代させれば、権力掌握どころか求心力を失いかねない。かといって、続投させれば与野党対立が深まり、首相が呼びかけている「税と社会保障の与野党協議」も難しくなる。厳しい選択を首相は迫られている。【平田崇浩】
毎日新聞 2011年1月10日 14時43分
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110110k0000e010028000c.html
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