http://www.asyura2.com/11/nihon30/msg/880.html
Tweet |
http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-1495.html
「奥西」の名前のあとについてる呼称が「さん」ではなく「死刑囚」であるのを、しのびなく思います。奥西死刑囚 意識戻らず
毒ぶどう酒事件 弁護人ら「予断許さず」
中日新聞 2013/07/03 朝刊一面
1961(昭和36)年に三重県名張市で女性五人が死亡した名張毒ぶどう酒事件で、殺人罪などで死刑が確定し、裁判のやり直しを求めて最高裁に特別抗告中の奥西勝死刑囚(87)=八王子医療刑務所収容=の病状について、弁護人らが二日、名古屋市内で会見した。六月中旬に一時危篤になって以降、意識が無く人工呼吸器による延命措置が続いており、「危険で予断を許さない状態」になっている。
会見した弁護団長の鈴木泉さんと特別面会人の稲生昌三さんによると、奥西死刑囚は五月上旬続いて六月十九日に再び危篤状態となった。肺にたんが詰まったのが原因と見られ、人工呼吸器で空気を送り込む措置が取られた。翌二十日、医療刑務所の医師から、「人工呼吸器に頼る状態が続くと肺が硬くなり、機能不全に陥る」と説明を受けた。二十日の時点で「今後二〜三週間がヤマ」と言われたという。
医師の説明だと、人工呼吸器の使用は苦痛を伴うため鎮静剤を投与。意識のない状態が続いている。稲生さんが直近で面会した六月二十六日も、意識が無く、呼びかけ委にも反応がなかった。今月二日、鈴木さんが医療刑務所に電話で聞いたところ、意識は依然戻らず人工呼吸器も外せていないが、肺の硬化は見られていないという。鈴木さんは「若干明るい材料だが、良くなってもいない。非常に心配な状況は変わらない」と話した。
奥西死刑囚は意識不明になる五日前の六月十四日、稲生さん宛に手紙を書いた。職員の代筆で「面会をお願いします」と記され、震える手で書いた自筆の署名と拇印が押されてあった。
稲生さんは「面会して何が訴えたかったのか。きっと最後まで、『自分は(事件現場とされる)公民館で一人になっていない』と言いたかったのだと思う」と説明。「最高裁は奥西さんの命あるうちに再審開始決定を出して欲しい」と訴えた。
名張毒ぶどう酒事件の犯人として逮捕された奥西さんは、警察の自白の強要に耐えきれず一度は自白しましたが、その後は一貫して無実を主張し続けました。
自白の他に決めてとなる物証に乏しく、一審は無罪。
しかし検察側は控訴します。
二審の判決の朝、無罪を確信していた奥西さんの母タツノさんは、前祝いに赤飯をたくさん炊きました。食べきれなかった奥西さんは、帰ってきて食べるから残しておいてくれと言って家を出て高裁に向かいました。
しかし高裁では死刑を言い渡されそのまま収監され、奥西さんは二度と再び母と赤飯を食べることはありませんでした。
母タツノさんはつつましく一人暮らししながら、息子の冤がそそがれることを信じ、年老いた体に鞭を打って拘置所に面会に訪れ続けます。
しかし、その願いも叶えられることはなく、母タツノさんは他界しました。
死ぬまで自分を心配してくれた母の葬式にも出られなかった奥西さん。
それから月日が流れ、第七次再審請求で、ようやく名古屋高裁が悲願の再審開始決定を出しました。
目の悪い奥西さんのために、目前で開始決定を読み上げる弁護団。
うれし涙を流す奥西さん。
しかし、まさかの再審開始決定取り消し。そして死刑執行停止の取り消し。
「無罪」の二文字に届きかけたのに一転して奈落に落とされた奥西さんの落胆は察するにあまりあります。
逮捕されたとき30代半ばだった奥西さんも既に80歳後半の老いた身、とうとう肺炎をおこし病院に入院します。
病に伏せってさえ、なお手錠でつながれる奥西さん。
初めてアクリル板越しではなく、生身の奥西さんに面会した鈴木弁護団長は
『わたしは、奥西勝さんの弁護を引き受け、30余年になりますが、初めて仕切りの無い形で面会しました。酸素吸入機に繋がれた奥西勝さん手を握りしめました…。4名の看守にぐるり囲まれ、金属製の手錠…(声をつまらせ…)をかけられてましたが、法を超え、あれは非人間的です。』
5月に危篤状態に陥ったものの、奥西さんは頑張って持ち直しました。
しかし、6月には再び危篤状態になり、予断を許さない状況となっています。
冤罪を晴らすという強靱な信念だけが、奥西さんを呼吸させているのだと言ってもいいでしょう。
国連拷問禁止委員会で、日本はいまだに取り調べの弁護人立ち会い権が無く、自白に頼っていて、まるで中世のようだと批判されたのに対し、上田大使が「日本は人権先進国だ。何故笑う?笑うな、シャラップ!」と暴言を吐いたのは記憶に新しいところ。
奥西さん始め、冤罪の大きな原因は捜査機関の密室での自白の強要と裁判所の自白偏重です。
取り調べの可視化は早急に実施されねばならないのに、現在も法務省は全力で可視化に抵抗しています。
過去の冤罪を一切反省しようとしない素晴らしき「人権先進国」
そして、当局は再審を引き延ばし引き延ばし、このまま名張事件を握りつぶして帝銀事件のように逃げ切り、国民が忘れるのを待つ気なのでしょう。
司法は、50年以上も一人の無実の人間を死刑囚として閉じ込め苦しめ、その不名誉な烙印をおしたまま一生を終えさせようとしています。
二度も事実上の無罪判決が出た人間を死に瀕してまでも獄につなぐのが「司法の権威」だとでもいうのでしょうか
これは司法による残酷で非人道的な拷問殺人です。
これが「中世並みの人権後退国」でなくてなんなのでしょうか。
「日本は人権先進国だ」という妄言に対して、こちらがシャラップ!と言いたいです。
もし万が一、奥西さんがその耳で「再審開始」を聞くことなく旅立たれることがあれば、国民は、決して、決して、この国の司法を許してはいけないと思います。
- 関連記事
- 奥西さんの命のあるに再審開始決定を下さないなら、「日本は中世ではない、人権先進国だ」などとどうしていえるでしょう (07/03)
- 国連拷問禁止委員会で証明されてしまった日本の人権後進国ぶり(訂正有り) (06/01)
- 本当にあった怖い「逮捕・拷問」〜大阪の警察の不当弾圧(追記あり) (02/24)
- 映画「約束」のご紹介〜名張毒葡萄酒事件、死刑囚の生涯 (02/18)
- 糾弾される日本の司法―リベラシオン紙(「イル・サンジェルマンの散歩道」より) (01/13)
- 法務当局は名張事件の奥西勝さんにたいする非人道的扱いをただちにやめるべきです (05/31)
- 光市事件の弁護団も名張事件の弁護団も、全く同じ使命、信念に基づいた弁護活動をしています (05/27)
- 名古屋高裁の名張毒葡萄酒事件の再審請求棄却決定に抗議します (05/26)
- 名張毒葡萄酒事件の速やかな再審開始を望みます (05/25)
- 福井事件再審開始決定と検察の異議申し立てに改めて再審制度の見直しを希望します (12/10)
- ヘイトクライム団体、在特会とつるむ日本の警察 (09/16)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。