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O・J・シンプソン事件と一重にいってもフットボール時代における輝かしい出来事や2007年の武装強盗事件も含め、多様な過去の件名を指す言葉なのかもしれないが、これからする話は他でもなく今から遡ること20年近く前に起こったあのダブル殺人事件のことである。
概要:1994年6月12日の夜、LAにあるO・J・シンプソンの自宅から少し離れた高級住宅街に2児と共に暮らしていた元妻のニコル・ブラウン(35)と、その常連レストランの店員で交際中のロン・ゴールドマン(25)が宅前にて刺殺された状態で発見された。5日後に出頭を求められたシンプソン(46)は、自家用車でパトカーの群れを相手に逃亡をはかり、その場面が全米に生中継されることで事件は現在進行のドキュメンタリー映画に発展。国民の関心を釘付けにした。容疑を否認するO・J・シンプソンは寝室から見つかった被害者の血痕のついた証拠品などを検察につきつけられ圧倒的な不利の状態から刑事裁判に挑むことになったが、95年10月に陪審員の一致による”有罪でない”判決を受け釈放された。
ありえないはずの「有罪でない(Not Guilty)」判決が導かれることになった鍵とは?
それだけ弁護団が頑張ったから?OJシンプソンの苦味のわかる人柄が無罪を自明のものにしたのか?全然違う。12名の陪審員のうち9名がシンプソンと同じ黒人であったことが最大のファクターだ。それ以上判決に影響したものはない。そもそもアフリカにあるわけでもないアメリカ合衆国で行われた法廷にどうすれば圧倒的多数の黒人陪審員が実現したのか?そら一部の都市の一部の地区には黒人が密集したゲットーがある。そこから陪審員を任意に集めれば黒人が過半数の場合もあるだろう。しかし、事件のおこったLA北部のブレントウッドとはビバリーヒルズに隣接した裕福な住宅街であり、くだけたいいかたをするなら黒人などいないのだ。はじめに公判が予定されたのはブレントウッドから一番近いサンタ・モニカ・コートハウスであったが、それが「話し合い」によって事件とは無関係なダウンタウンLAに移動してしまった。当然ながら、陪審員はダウンタウンから選出されるわけで、人種的な構成ががらりと変わる。しかし、それでも1994年のダウンタウンLAなら黒人の占める割合は黒色ラティーノを加えたところで半数にさえ満たないのである。それが12人中9人。これが実現した時点で裁判の見通しにおける白黒はついていた、といっても過言ではない。どうしてここまでわざとらしい作為に満ちた陪審員選出が可能であったのか?繰り返しになるがそれだけ弁護団が立派だったというのは的確ではない。弁護団のごり押しに打ち勝つことの許されなかった検察チーム、そしてOJ有利な展開を作った裁判官や、差別発言とでっちあげで墓穴を掘り続けた捜査官、マスコミを媒体に揺れ動く世論、関連捜査や別件でいくらでもOJの穴をつつくことのできた連邦の沈黙、その全てが1994年より2年前に起こり国家権力を震撼させたLA Riots(ロサンゼルス暴動)によって大きく「黒人勝利」に動いていたことは隠滅しようのない事実である。
黒人感情を「OJは有罪でない(Not Guilty)」というありえない判決でなだめておいてから、今度は民事で何事もなかったかのようにOJの賠償責任を追及したアメリカの法制度。30億円以上の支払いを命じ、檻の外の監獄に一生O・Jを閉じ込めることに事実上成功した国家権力は帳尻を合わせることで一応のメンツを保ったとでもいえようか。1勝1敗にもちこむことははじめから計画された算段であった。
さて、私がこれくらい当たり前のことを書いて満足するわけもない。実は、今回の謎解きはここから始まるのだ。行政の事情、司法の事情、社会の都合、大衆の感傷など私にとってはどうでもいいことだ。
1994年6月12日、ブレントウッドの二コル・ブラウン宅ではいったい何が起こったのか?それをドラエモンの力も借りず完全な形で解明することができた私は、自説が全ての疑問に答え、全ての論争点を駆逐し、全ての点を線に、そして像にかえ時空を泳がせることのできる唯一の真実であることを認める。
私が今頃になってO・J・シンプソン事件を洗ってみようと考えるきっかけになったのは、とりわけO・Jが英雄とされるアメリカン・フットボールというスポーツとその歴史に関心がでてきたからではない。長嶋茂雄には申し訳ないが、正直、NFLなんぞには何の興味もわかない。アメリカ人は自国民の勇気と行動を象徴するスポーツだというが、その結果黒人の独占スポーツになってしまったではないか。サッカーなどでみられる鮮やかな頭脳プレーの片鱗などまるで窺い知れず、「覆面をした略奪チーム」の犯罪デモンストレーションと化している。まるでローマ帝国の催した奴隷グラジエーターだ。
判決をめぐって白人と黒人が割れたことから、人種問題としての事件性をとりあげてみたくなったというわけでもない。そんなことは、ロドニー・キングの場合同様に「依然として両人種間に横たわる差別、そしてそれに根差す社会の本当の姿」が再確認されただけのことである。見る目を持っていれば、そんなことは普段から簡単に見通せることで、殺人事件の顛末からはじめて学ぶことではない。
私は当初より、O・J・シンプソンの元嫁への嫉妬によるカップル殺害という線を信じていなかった。この男は大学時代からスーパースターであり20代でセレブの頂点にたち、芸能界にもどっぷり浸かりきり、もう人間的なナチュラルな感性や情動のありかたを持っていないはずだ、という読みがあったからだ。そして、O・J本人の口からも真犯人の候補として語られた「麻薬カルテルの指示を受けたヒットマン」の存在。どうやら裏社会の犯罪組織が暗躍したせいで真実は明るみにはでてこないようだ・・・・O・Jは直接手を下していないからあれだけ堂々と無罪を主張してこれたのだろう。色んな裏の力学が真実を覆い隠し、破れないアリバイを捏造しあっているということだ。そうなってみると、もうアメリカ連邦のシステムが根本から転覆でもされない限り、いつまでたってもO・J・シンプソン事件は陰謀論の迷宮から出てくることはないぞ・・・・と白々しい長台詞をつぶやきながら私はこの件を95年の時点でお蔵に放っておいたのだった。
それが新世紀になり、当時の闇に眠っていた様々な形の陰謀の類が、一気に表の言論世界に姿を現すことになった。幻想の解体。これは人類史上の大きな変革である。ユダヤ人による世界制覇のための秘密結社などはないこともわかり、ペンタゴンと地球外生命体につながりがないこともわかった。ジョン・ゴッチの収監を一つの象徴として20世紀マフィアの時代が終結を迎え、CIAの手下とさえいわれたアルカイダや南米麻薬カルテルに次々とお縄が下った。O・Jの身辺にいた人脈がどれだけ黒かったか、ということもとうにばれている。そんな今だからこそ、私はO・J・シンプソン事件の主人公であるO・Jを1人の人間として、謎の歴史から開放し、陰謀の苔を落として事件の全容を再現しようという意志を持つに至ったのである。
自己主張に満ちた前置きはいい加減どうにかならないのか、などと焦るべからず。私は神の眼光をもって一切の混乱を封じ、スカスカの法廷尋問や一般ジャーナリズムの無知軽薄を覆し、容易に読み返すことのできる完全な形で事件を以下に再現している。私が使ったソースは法廷や刑事調査におけるドキュメント、第三者からの証言、O・Jの自伝、その他メジャー新聞媒体にのった記事が殆どであり、関係者を含む個人の分析や想像や推理は完全に無視した。その結果、かなりいままでメディアにあがった「いつもの」できあいの諸説とはかなり根本的なズレが生じるが、それは単に私が正しいからである。
チベットよわー作・ O・J・シンプソン事件の真相(短縮バージョン)
時:1994年6月12日
場所:ブレントウッド(LA郡)、カリフォルニア州
音楽が止まった。浅い眠りについていたシンプソンは、深い呼吸をしてスイッチを入れなおそうと少し背筋を伸ばした。あ?艶やかな衣装を身にまとった小学生達がちらほらと動きをやめないことにリサイタルの終了ではないかと思った。するとすぐに次の音楽が流れ、散らばっていた子供達がまた列をなす。「まだあるのか」無表情のまま視点を列の中の少女に合わせる。褐色の肌をした目の綺麗な少女だ。
ああ・・シンプソンは弛緩した上唇を舌で押さえながら、徐々に視点を少女から舞台全体にズームアウトし、そして自分が娘のダンス・リサイタルにきていたことを思い出した。軽く勃起していることに気付いたシンプソンは、自分の愛娘と目を合わせたばかりだったということにわづかな罪悪感を覚えた。小学校にあがる頃から同居していないとはいえシドニーはオレの子じゃないか。いい子だ。でも娘だということ、子供だということを抜きにすると理想的なルックスでもあるな・・・・・
そういえばあれは大学4年(Senior)の州予選のときだっただろうか。フットボールチームの花形だったシンプソンは密かに新シーズンに入ったばかりのチアリーダーの1人に恋心を持ちはじめたのだ。ジェニファー、そうだ、ジェニファー・エヴァンス。アリゾナの出身だった。結局ホームカミングのパーティの席で一度マティーニをはさんで話しただけで終わった。それだけだった。あのとき、こみ上げてくる血潮を感じた。単にセクシャルなものでもなかった。それまで白人の子を全く知らなかったわけではなかったが、何がが違っていたのだ。それからしばらく学生結婚して3年目の黒人妻、マルグリットに対する興味が離れていくことを体験した。白人のパートナーを持つ願望の芽生えるきっかけだったのかもしれない。ジェニファーがシドニーのように混血だったならそれこそが本当の理想だったのではないだろうか。
踊り終わって舞台を降りたシドニーが言葉をかわしたのはシンプソンではなく、その対岸に座っていたニコル・ブラウンとその家族だった。「まだバックステージで集まることになってるから、花は受け取れないわ」母方の祖母ジュディスをいさめながらシドニーが去るのをシンプソンは気付いていなかった。今朝、交際中のポーラから破局のメッセージを受け取ってから、つなぎとめるべきか、別の女に営業するべきか、やはり白人相手には限界があるのか・・・・・そんなことばかりに考えを奪われていたからだ。2年前に正式離婚したニコルとの復縁は考えがたいことだった。知らない間に会場が空になっていた。
今日の主役シドニーを後部座席にのせ、二コルのフェラーリはブレントウッドの中心部にあるイタリアン・レストラン「メッツアルナ」の前に到着した。後ろからつけてきた姉デニスと母が呼び止める。「ここってニコルのファッ・・・・ボーイフレンドの店じゃないの?」怪訝な表情のデニスに「もうキースとは会ってないわ。」と答えるニコル。まさかその従業員に乗り換えたとは子供の前で言えるはずもない。
メッツアルナで最後の晩餐を楽しむブラウン家のテーブルにやってきたのは25歳のユダヤ人給仕ロン・ゴールドマンだった。「シャンペンの用意はできてますよ。子供達のドリンクはどうします?」祖母ジュディスが強いドイツ訛りで「コーラなんか飲ませちゃダメよ」というのを聞き流して「今日はオレンジ・ジュースはなしよ」とニコル。思わず失笑する姉のデニスとロン。気付かないフリでジュディスは「それじゃあトマト・ジュースにするかい?」と子供に話しかける。「お母さん、いまどきキッズがトマト・ジュースなんか飲まないわよ」といらつくニコルをさえぎりシドニーは「トマト・ジュースがいいよ」。ロンは笑顔で「よし、トマト・ジュースだね。今日はOJじゃなくてTJだ」
その頃、O・J・シンプソンはさらに焦燥感をつのらせてはうだっていた。最初の嫁も二番目の嫁も子供をみな連れて出て行った家にポツリ。TVをつけて15秒して消す。ウォッカの瓶を出してきても氷ができていないことに気付く。デーム。夜のシカゴ往きのフライトにはまだ早い。シドニーの顔が浮かぶ。黒人と白人の中間だ。ああ、オレは混血のガキが欲しかったんじゃない、自分が混血になりたかったんじゃないか・・・・・でもニガーには、ニガーでいるかホワイトマンに取り入るかどちらかの選択肢しかないのだ・・・・・・・
オレには黒人の妻がいた。ティーンの頃に知り合ってまだボール遊びで成功するまえに将来を誓い結婚して家庭を作った。全てはうまくいっていたのさ。ジェニファーに会うまでは。いや、ジェニファーとも、ブロンドをかきわけたときのあの子の額の美しさとも手を切れたさ。狂った夢でしかなかったからな。俺に必要だったのは白人の女と新しい生活をやり直すことではなかった。金や地位に見合うそれなりの思いがしたかったわけでもない。ただ、家にあるニガーのライフとは別のところで現実逃避がしてみたかったのだ。心に安らぎを与えてくれるような一時的な止まり木が欲しかっただけなんだ。30を迎えたオレはそんなささやかな願いをかなえてくれる少女に出会った。ニコルさ。オレはビバリー・ヒルズのアパートで背伸びをして暮らしはじめたばかりの18歳に魅了された。幼くてせつなくて心細くて純粋で、丁度自分の失ってきたものの全てがそこにあった。でもニコルはそんなオレの気持ちがわからなかった。あの子は妻のかわりになって家庭を築くことしか興味を示さなかった。ドイツ人はダサいとよくいうが、本当にオレのロマンチックが理解できない無粋な女だった。夢を持ってビバリー・ヒルズに単身出てきた孤独な少女は、いつのまにか家にいてオレをしばりだすオバサンへと変態し、魅力は消えていった。それでも元の家族のもっていた場所にすっぽりおさまったニコルをオレの人生から追い出すことは、それまでのオレの歴史を消滅させるに等しい行為でできなかった。止まり木を求めていただけのオレがたどりついたのは、高すぎる雨宿りの代金とホームの喪失。全てがオレの手をすり抜けていき、置き去りにされる。オレは一体、どこにビロングするのだろうか・・・・・・
「ねえねえジャスティン、このパスタはスプーンだと乗らないんだよ」「できるさ、簡単じゃないかシドニー」もうすぐ母無しになる運命も知らず無邪気に声をあげる姉弟を尻目に、ファッカブルではない女二コルよりは若干イケ度の高いデニスはこうきりだした。「ねえ、二コル、やっぱアンタの結婚ってお金目当てだったのかもね」反応を見るように向き直りながらも視線を落としてため息を一つつくデニス。「どうして今更そんなことを言うの?お金が目的なら、さっさと浮気の証拠を集めて離婚裁判してるわよ」「いや、アンタの場合、入籍までが長かったでしょ?だからそうやって物事をすすめる精神力が持てなくなるまで支配されていたのよ。正直、OJとの子供にそれほど愛情は感じてないでしょ?結局、お金を引き出すために住んでようにしか思えないわ」ガーリックブレッドのオカワリをした照れくささのためかしばらく無口を守っていたジュディスが思わず口をはさんだ。「これこれ、本当のことを言ってはいけないわよ、否、そんな下劣な勘ぐりをしてはいけないわよ、否、誰も、全く思ってもみないようなことを・・・」 「お母さんは黙ってて。デニス、いいたいことはわかるわよ・・・・・私はアリキタリの将来に進んでいく自分が嫌でLAに移ったわ。それが有名なOJと知り合って舞い上がるがあまり、自分の目標もなにもかもわからなくなってしまった。結婚も出産もOJと一緒にいて栄誉を分けてもらうためだけのものだったかもしれない。OJに会わなかったとしてもどの道、人に頼って生きていくだけのチープな女かもしれないわ。でもそんな似非セレブのマッチのともし火のような人生でも・・・それが私の」 そこでニコルの長台詞をおそらく全く聞いていなかったであろうジュディスがさえぎった「ところで・・・・私の娘や。コカインはまだやってるんかのう。あれってやっぱ暴力的なセックスを受け入れるためナラシみたいなもんだっていうわねえ。もしかして今日もお出かけ前にキメてきたのかい?」 3痴女の無駄すぎる会話に耳をたてていたのがロン・ゴールドマンだったことはいうまでもない。
夜の帳がおりてきた。LAであろうが、盛岡であろうが、日が落ちれば暗くなる。シンプソンは何も手につかずマックでドライブスルーしたあとにやはり過去3,4年の間、通報されながらも何度と繰り返した行為を思いつく。それはニコルを訪問することだった。新しい女に捨てられ、会場で元家族をかいまみた、なんともいえない寂しさと喪失感を埋める手立ては他になかった。同じ頃、ぼけた母親ジュディスから電話をうけ、レストランに眼鏡を忘れたことを告げられたニコルはメッツアルナのゴールドマンと通話中であった。「店が終わったらすぐ届けるからね」「いつでもいいわ。」
10時がすぎた。シカゴに旅立つために自宅に空港用リムジンを10時45分に用意させていた。もう時間がない。白のフォード・ブロンコをとばしてシンプソンは10時30分前にニコルのすむコンドに到着した。いつも壊れていて誰でも入れる表の戸をあけて方庭を進むシンプソン。二コルのリビングには蝋燭の火がつけられムード音楽が流れていた。物音に気付いたニコルはてっきりロン・ゴールドマンだと思い笑顔で迎え入れようとしたが一瞬でその表情が凍った。一番会いたくないニガーだ。ほてった下半身がタコ糸でしばられた焼豚にかわった。ロンのボスであるキースがきたときも、同じように蝋燭をつけてリビングで交わっているところをOJは一晩中監視していた・・・・そういってた。今回もどんな難癖をつけて自分を糾弾するかしれない・・・・いつまでも脅かされていてはいけない、私には家族もある、自分を守ってくれる友人もいるのだ。そろそろニガーにNoをつきつける時期なはずだ。
くるりと振り返ったニコルは台所のドロワーに隠しておいた護身用のナイフを手にとって戻ってきた。そして思い切ってドアを開ける。シンプソンは、実はもう背をむけて帰ろうとしているところだった。もうニガーに脅かされるのはまっぴら。追い払ってやるんだ。二コルはナイフを太ももの後ろにつけて表に歩み出した。正面を向かないままシンプソンはニコルに小声でいった。「ちょっと子供達の顔がみたくて・・・・・・・・昼間は話せなかったもんだから。シドニーを褒めてあげたいんだ。」
「帰って。子供は寝てるわ」
「わかった。またくるよ。」
「ウェイト!こうやって来られるのも迷惑よ。もうこれっきりにして頂戴」
「わかったよ。オレにこられると困るからだな。」
「子供と私の平和のためによ」
「子供のため?いまから男が君をファックしにくるのにか?」
「なんのことよ」
「なんのことかわかってるだろ。いつもやっていることじゃないか。」
「大きな声をださないで。子供が」
「子供のことを引き合いにだすな!」
「シャッザ・ファック・アップ」声にならない悲鳴をあげながらナイフをつきつけるニコル。
秋田犬がドアの向こうからでてくる。
「Hey Hey Hey」シンプソンはニコルか犬かどちらにいっているかもわからないまま近づいてニコルからナイフを取り上げようとする。激しい抵抗のため左手を切りながらもシンプソンはナイフをニコルの手から離し、地面に投げた。そしてその過程で思い切りニコルの頭部を殴打し壁にたたきつけた。
そこに入ってきたのがロン・ゴールドマンだった。まだ血が流れていないためナイフの存在には気付かず、乱心したシンプソンが噂どおりのDV魔に変身しているようにしか見えない。ここで引き下がっては
タムルードの名が泣く。
「ミスター・シンプソン、今やってることをやめたまえ」
「なんだお前は、オレの地所に何の用だ?」
「そんなことはどうでもいい。あなたのやっていることは犯罪だ。それ以上ミス・ブラウンに手をかけることは許さない。もしやめないなら・・・・」
「やめないならどうするんだ」
「お前を逮捕する」
「なんだって・・・・・」
シンプソンの脳裏に昔のフラッシュバックが流れた。あのときもDVでニコルがLAPDを呼んだのだ。パトカーでかけつけた警官はシンプソンだとわかると一通りの事情をきいたあと、無理に調書もつくらず帰っていたものだった。警官でさえ簡単に責めることのできないスーパースターのオレを20歳以上も年の離れた若造が逮捕するだと・・・・しかもオレが支払いをしている家で、妻に間男しにきている奴が・・・・これはどういうことだ・・・・・どれだけ人をこけにすれば気が住むのだ。ドイツ人とユダヤ人が手に手を取ってオレに地獄の目をみさせようとは・・・・・これが人種差別以外の何なのだ。
ニコルの肩が動いた。どうやら意識はあるが、緊張で身動きが自由にとれないらしい。本当なら、これからたっぷりこの野郎のディックを口にくわえた後に身じろぎするくらいの激しい性交をするはずだった・・・・黒いワンピースなんか着やがってヤル気マンマンで期待汁だしながらよくもオレに向かって刃をつきつけたな。とんでもない奴だ、これはな天罰だぞビッチめ。
「ヘイ!出て行けライト・ナウだ」両腕で空手の構えをみせるゴールドマンの姿に完全にキレたシンプソンは無表情のままニコルから離れる。そして長年培ったランニング・バックとしての本能的な動きが彼を乗っ取った。低い体勢でスタートをきったシンプソンは暗闇で自分以外からは見えない所にあるナイフを拾い上げそのまま直線をつっきり出口を目指した。ゴールドマンは空手のポーズをとりながらも、その直線が自分の立ち位置から1Mあたり左を通過することを見越していた。ニガーは闇に消えるだろう、あとで通報ということにしよう・・・・・・しかしそれは誤算だった。OJはランニング・バック時代にみせたフェイントを使いながら方向をかえる走りを忘れていなかった。丁度、ゴールドマンの横を通りすぎた0.5秒後、彼の右手に握られたナイフは135度方向をかえ、ゴールドマンの肩口につきささった。「オレの前に立ちはだかる奴はな・・・・・ぶっ飛ばすんだよ」そして追撃の貫通が連続して若者を襲った。おそろしい量の血がふきだし、ロン・ゴールドマンは息絶えた。
狂った獣を止めることは誰にもできない。シンプソンは積年の恨みをもって次なるターゲットにおどりかかる。ワンワンなどと嘯きながらも全く役にたたない癒し専門の秋田犬を払いのけ、二コルを絶命させた。これ、すべて時間にして41秒。ちらりと2人の死体を振り返るシンプソン。「お前ら、まるでトマト・ジュースみたいだな。ボク・OJ、お前ら・TJ、ボク・OJ,お前ら・TJ、ボク・OJ・・・・・・・」などとマントラのように唱えながら白のブロンコを飛ばして自宅に戻ったのだった。
ナイフをつきつけた女と、空手で脅してきた男、2人とも正当防衛で片付けてやった・・・・・O・J・シンプソンは後からもそう認識していたからこそ、あれだけ冷静沈着に法廷で振舞うことができた。あれだけクロだとされながらも絶対的な自信を裏付けていたのは、闇のヒットマンがやったから・・・・ではなく・・・殺すだけの正当な理由があったからだったのだ。
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