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2013年2月17日 (日)
映画・「約束〜名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯〜」 仲代さん、希林さんの感動的な演技に涙が止まらなくて・・・(人権は国境を越えて-弁護士伊藤和子のダイアリー)
本日(2月16日)から渋谷のユーロスペースのロードショー公開となった、映画「約束」を見てきました。
冤罪名張事件の奥西勝さんを主人公にした映画です。
私が弁護士になった一年目から取り組んできた死刑冤罪事件です。
ちょうど、仲代さんと樹木希林さんの舞台挨拶があり、お話しを聞くことができました。
私はこんな素晴らしい名優のお二人が出演してくださったことに心から感謝していたので、お二人の姿をみただけで感無量でした。
仲代さんはとにかく日本一の名優ですし、希林さんは私は昔からファンで、生で拝見したのは初めて、しかもとても近くで拝見しましたが、とても素敵な方でした。
お話しを聞いていると、本当にお二人がこの事件についてあふれるような思いをもって取り組んでくださったことがわかりました。
司法批判を含む内容なので「もうこれで仕事がなくなる」という覚悟をもって取り組んでくださったそう。
http://tvfan.kyodo.co.jp/news/topics/31591
体制批判をする作品に参加するというのは日本でもとても大変なことなのか、と改めて驚きましたが、それでも出てくださったお二人の真摯さに打たれて、最初から涙。
本当は一言、お礼を申し上げたかったのですが、機会がなく、この場を借りてお二人に心からお礼を申し上げたいと思います。
そして、映画。本当に仲代さんの演技が素晴らしくて、本当に名演技なのです!
なので、場面場面、すべてが泣けてしまいました。
希林さんは本当に圧巻の演技で、子を思う母の思いを溢れるように演じられています。
若いころを演じた山本太郎さんも、明るさ、人の好さが暗転してしまうところを実によく出されています。
時々本物の奥西さん写真や映像が出てきて、それも泣けました。東海テレビはずっと長い間、名張事件の取材を続け、様々な映像・写真を保有していて、その最も印象的なものを選んで示しているのですから。
私はときどき奥西勝さんにあいに八王子医療刑務所に行っていますので、私がおあいしている本物の、そして今の病床にある奥西さんを思い浮かべながら、迫真に迫る演技をみていました。
ああ、奥西さんは、これだけの筆舌に尽くしがたい悲劇を刻み続けてきたんだよね、と、50年の歩みを改めて思い返して大変切ない思いになりました。
映画にはもう一人、川村さんという神様のような支援者の方が出てきます。
私も心から尊敬してきた川村さん(故人)のことを思い出し、本当に落涙していました。
奥西さんの悲しみや苦しみのシーンもいいのですが、死刑囚という絶望のなかで見出す喜びのシーンが心を打ちます。
しかし、喜びの後にはいつも悲しみがくるのです。その繰り返しですが、本当に気丈に生きてこられたのです。
「約束」というタイトルの意味するところも本当に本当にせつない。
そして、奥西さんが、「死んでたまるか」とつぶやくシーン。
私もいつも絶対生き続けて冤罪をはらす、負けない、という奥西さんの強い意志に接することがあるのですが、その思いが痛いほどよい描かれたシーンでした。
なので、本当にずっと心が痛んだり、感動したりで、感情が揺すぶられ、涙が止まりませんでした。
ちょっと、涙が収まるのは、左脳領域を使う、事件の問題点を理論的に説明するときだけ。それでも、冤罪はなぜ起こるのか、ということを映画の中で解説する元裁判官までインタビューを受けながら涙を流している映画なんですよね。
そして、何度も何度も司法が奥西さんを翻弄し、救済の道を閉ざす決定を出し続けているところ、その都度の奥西さん、弁護人の怒りや思い、というシーンが重なり、事件の理不尽でひどい展開をこれでもかこれでもかと見せてくれます。
これは私のリアルな体験そのもので、事実、私たちにとっては、これでもか、これでもか、という思いばかりなのです。
その実情をとても鋭く、奥西さんや奥西さんを支える人たちにに対するとても愛情のこもったまなざしで、語り続けてくれます。
私にとって、名張事件は弁護士になりたての頃から関わっている事件ですから、日常の一部です。
毎日が劇的ということではありませんから、毎月1度は名古屋で開催される弁護団会議に参加し、様々な仕事を割り当てられて書面を書いたり、集会や勉強会に参加したり企画したり、裁判所との協議や面会等に参加したり、奥西さんと面会したり、という地道な積み重ねが、不本意ながらも(もっとずっと早く釈放されるべきだったわけですから)長い間続き、次第にライフワーク、日常の生活の一部になってしまったのです。
いつも事件のことが頭を離れませんが、毎日毎日怒り、悲しんでいては日常が成り立たないので、感情をコントロールしながらあきらめず、楽観的な気持ちをもって、活動するほかありません。
しかし、これが改めていかに不当で異常なことなのか、生身の人間に対してどんなに深い罪を司法が犯しているのか、渾身の怒りとやさしさをもって、描き出し、みんなの前につきつけてくれたのがこの映画です。
監督の斎藤さん、そして仲代さん、希林さん、山本さん、そして川村さんを演じた俳優の方、制作にかかわったみなさんに心から感謝です。
このように、未だかつて映画でここまで大泣きしたことはなかったのですが、終わって周囲をみると、みなさん、事件関係者でなくても、あまりに非情な展開に絶句したり、泣かずにはいられなかったようです。
是非皆様も見に行ってください。ひとりでも多くの方に知ってほしいと思います。
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/nabari_case/
最近風邪をひいているため、奥西さんに面会に行けませんが(風邪を絶対にうつしてはいけないのです)、手紙を書いて映画の様子をおしらせしようと思います。
私の母にも見てもらいたいな、でもあまりに悲しい映画なので、大丈夫かな、と思ったりしました。
何より、最高裁の担当裁判官・調査官にこの映画を見てほしいと思いました。
そして、人間であればだれでも怒りを感じざるを得ないと思われる、この事件で司法が果たすべきことを最高裁の裁判官にこそ本当に考えてほしい、そして一日も早く救済してほしい、と切に願います。
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