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上田被告に死刑判決 鳥取不審死「強固な殺意」
鳥取地裁 被告は即日控訴
鳥取の連続不審死事件で、2件の強盗殺人罪などに問われた元スナック従業員、上田美由紀被告(38)の裁判員裁判の判決で、鳥取地裁の野口卓志裁判長は4日、「都合の悪い存在を消し去ることで安泰を図ろうという冷酷、身勝手な動機の犯行だ。極刑で臨むほかない」として求刑通り死刑を言い渡した。上田被告の弁護側は判決を不服として即日控訴した。
自白や目撃証言といった直接証拠はなかったが、野口裁判長は、被告が事前に知人から睡眠薬を入手し「飲食物に混入するなどして被害者に服用させたと認められる」と指摘。その上で「犯行時間帯に現場に被害者と一緒にいて、殺害機会があったのは被告だけ。殺害の結果、債務の弁済を免れた」と認定した。
公判では、被告の同居相手だった元会社員の男性(49)=詐欺罪などで実刑確定=が「現場の海と川でずぶぬれの被告を見た」などと証言した。
その内容の一部について、野口裁判長は「裏付けがない」と採用しなかったが、大筋で信用性を認めた。元会社員が真犯人だとする弁護側の主張も退け、「意識もうろう状態の被害者を被告が1人で川や海まで運ぶのは可能だった」とした。
野口裁判長は判決理由から朗読し、主文を最後に言い渡した。量刑理由で「1件目で殺人の重大性を知りながら、味をしめたように2件目を敢行し、人命の重さを顧みない姿勢は顕著。強固な殺意に基づく計画的犯行だ」と述べた。
判決によると、借金の返済や電化製品代金の支払いを免れるため、2009年4月にトラック運転手、矢部和実さん(当時47)を、同年10月に電器店経営、円山秀樹さん(同57)を、それぞれ鳥取県内の海と川で溺死させた。ほかに詐欺や窃盗など16件の罪も認定された。
裁判員の在任期間は75日間。裁判員裁判で過去2番目とみられる長さだった。
間接証拠を精査、有罪に 「被告にのみ殺害機会」
犯行を決定付ける直接証拠がない鳥取連続不審死事件は、裁判員らが検察側が積み上げた100以上の間接証拠を精査、上田美由紀被告による犯行との結論を導いた。
間接証拠による事実認定について、2010年4月の最高裁判決は「被告が犯人でないとしたら、説明が極めて困難な事実が認定できることが必要」との見解を示し、有罪認定の基準は一段と高くなったとされる。
裁判員らは防犯カメラの映像や元会社員の証言を検証。弁護側が真犯人と主張する元会社員について、犯行時間帯に現場にいなかったと認定。殺害機会は被告にのみあり、有罪認定の基準をクリアすると判断した。
ただ、間接証拠のみの事実認定は、プロの裁判官でも難しい。閉廷後の記者会見で補充裁判員の女性会社員は「黙秘は一番残念だった。被告に真実を話してもらえる機会があればいいなと思う」と話した。職業裁判官だけで審理される控訴審でも「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則を踏まえ、あらためて厳格な審理が求められる。
[日経新聞12月5日朝刊P.42]
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