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東電OL事件再審公判詳報
2012.10.30 Tuesday
昨日、とりあえずご報告させていただいた東電OL事件の再審公判。
今日はもう少し詳しい内容を報告させていただきます。
僕はこの公判のポイントは検察による謝罪のないこと
そして冤罪の原因をDNA鑑定ができなかったことにしている点だと思っています。
DNA鑑定が再審の大きなポイントになったのはその通りですが
DNA鑑定だけが真実を伝えていたわけではなくて
あちらこちらにゴビンダさんは犯人でないという無罪を示唆する証拠はあったわけです。
それをことごとく無視し、どうにでも解釈できる
状況証拠だけを有罪方向に見立てて並べてこれだけの冤罪を生んだわけです。
いい加減な目撃証言なんて最たるものです。
1週間前に車の中から見たアベックの姿をどうして覚えているんだ?
しかも何十メートルも離れて、視認状況の悪い夜見たアベックを
どうして東南アジア風の男だったとか、ポシェットをしていたとか覚えているんだ?
当然、こういった冤罪を生んだ責任者は責任を取るべきです。
そういった兆候は何もありませんが…。
さて公判が行われたのは102号法廷です。
弁護側は9人、検察側は2人が着席していました。
懇意にしている佃弁護士は真っ赤なネクタイをしていました。
(公判終了後、「勝負ネクタイですか?」と聞くと
「ええ、もう大勝負ネクタイですよ。一番真っ赤なやつをしてきました」
と話してくださいました)
まずは検察側の意見陳述です。
「間接事実により被告人が事件犯人であると主張してきました。
事件現場アパートに遺留された陰毛のDNA型と
同じ方のDNA型が被害者の身体内外および着衣に含まれていると
考えられ、また被害者の爪に当該男性由来のDNAが付着しているいえるという
鑑定結果を踏まえ、これらにより被告人以外のものが同事件現場アパートに
入った可能性を否定できず、被告人を有罪と認めることが出来ないと結論にいたりました。
そこで被告人は無罪と意見を述べるしだいであります」
弁護側は「公訴の取り下げをすべきだ」と申し立ててきました。
「裁判長、なぜしないのか、釈明を求めてください」
検察側
「法律上再審において公訴取り下げは出来ないと考えています」
こんな言い訳をしていました。
「一般に確定判決の効力は再審開始決定では失われない。
この再審で判決がなされるまでは確定判決は執行してない。
再審開始決定が確定した上でさらに審判しなければならない」
弁護側は畳み掛けます。
「法律上、出来ないということだと理解しますが心情的には
公訴取り下げをすべきだとお考えですか?」
検察側
「お答えは出来ません」
続いて弁護側の10月19日付の意見陳述です。
「今回、検察官が提出した3点の証拠により被告人が無罪であることはいっそう明らかになりました。
101号室のカーペット上に残された陰毛のDNAが
被害者の膣内に残された別人男性の精液のDNA型と一致しました。
被害者の乳房、陰部、肛門、爪から同男性のDNAが検出されました。
コートの血痕から同男性のDNAが検出されました。
その一方でゴビンダさんのものはありません。
つまりこの男性は現場となったアパート101号室内において
前偽をしながら性交した最後の人物であると言うことを示しています。
そして被害者の爪からこの男性のDNAが検出されたことは
被害者が暴行を受けたときに爪に付着したと考えるのが合理的です。
この鑑定結果は101号室に被告人以外のものが入った可能性を否定しきれない、
被害者の定期券が被告人の土地勘のない場所から発見されていることを説明できない、
として無罪を言い渡した一審判決が正しかったことを証明しています。
平成23年7月23日付けの鑑定書によれば
被害現場アパート101号室6畳間カーペット上に遺留された陰毛のDNAと
被害者膣内精液のDNAが一致し
カーペット上に残されたほかの2本の陰毛のDNAが被害者とこの376男性のものを合わせたもの
であるとしています。
平成9年4月3日の鑑定書によれば
被害女性の左乳房、右乳房に付着していた唾液はO型の反応を示したとなっている。
平成24年3月4日付の鑑定書によれば
被害女性の陰部、肛門、乳房に376男性のDNAが付着し
被害女性のコートの血痕、ブラスリップから376男性のDNAが検出されています」
このとき、弁護側は「平成9年4月3日」という部分を特に強調しました。
そうです。ゴビンダさんが事件が発覚したのは平成9年3月19日です。
ゴビンダさんが入管法違反、つまり不法滞在で逮捕されたのが3月23日。
そして殺害の容疑で逮捕されたのが5月です。
ゴビンダさんの血液型はB型でした。
つまり、警察はゴビンダさんの逮捕前に、ゴビンダさんの無罪方向の証拠を握っていたのです。
そして、この証拠は通常審の裁判ではその存在すら明らかにされませんでした。
隠していたと言われても仕方ないことを行っていたのです。
一体何のために?
ゴビンダさんを犯人に仕立て上げるために、以外には考えられません。
検察側が提出した証拠の中身を説明しました。
「平成24年7月24日付けの鑑定医師の供述書では
コートの左肩の血痕には376男性のDNAが含まれている。
これは被害者を殴打した際に血液に男性の皮膚片が付着したと考えるよりも
被害者の血液に精液か唾液がついたと考えるのが合理的である。被害者の手の付着物は
扼殺時に被害者が抵抗した際に付着したと考えるのが合理的である。
10月5日付鑑定書によれば
爪の付着物は6本の指についており
左手、親指、人差し指
右手親指、中指、人差し指、薬指に376男性のDNAが付着していると考えられる
またそう考えても矛盾はない。
なかでも右の親指、中指にはDNAが付着していると言える。
コート左肩の血痕の周りには精液および唾液が付着したDNAが発見された」
再び弁護側が意見を述べました。
「一審無罪判決は正当です。
刑事裁判のルールに基づけば
不確かになことで人を有罪にすることは出来ません。
犯人であることが間違いないという場合でなければ有罪にすることは出来ません。
少しでも疑問が残れば無罪です。
一審判決は101号室に被告人しか入れなかったのか、
疑問が残るとしました。
疑わしきは被告人の利益へ。
一審無罪判決は正しい判断を下していました」
「検察官が平成9年4月3日付の鑑定書を開示していれば
一審、あるいは控訴審でこの鑑定書が開示されていれば
もっと早く無罪を明らかにできました。
O型の血液を持ったものが被害者と関係を持ったことが明らかになったはずです。
爪の付着物についても同じです。
検察官は当時の鑑定技術では無理だということなのだろうが
当時の鑑定方法によっても何らかのことが明らかになっていたかもしれない。
無実はもっと早く明らかになっていたはずです。
無罪に対する上訴のあり方についても述べたいと思います。
本件では一審では合理的な疑いがあるとしたのに
検察は新しい証拠もなしに控訴しました。
第3者機関による検証で徹底的に検証することが冤罪をなくすことにつながります」
判決は11月7日に言い渡されます。
この事件、これで結審しましたが
たくさんの問題を提起しました。
その中のひとつが証拠開示の問題です。
弁護側が指摘するように
ゴビンダさんの無罪方向を示す証拠がずっと隠されていました。
もし、この証拠が開示されていれば
これほど長きに渡ってゴビンダさんが
拘束されることはなかったはずです。
弁護団は公判終了後の記者会見でこう話していました。
「いまだに私たちはこの事件についてもどれだけの証拠があるのか、知りません。
証拠の全貌は明らかになっていいません。
少なくとも証拠のリストを開示して国民共通の財産にする。
全ての証拠が明らかになるようなことが必要だと
この事件を通じて強く感じています。
ゴビンダさんの無罪方向を示す間接事実が
少なくとも捜査段階で明らかになっていました。
どういう捜査会議が行われたのか?
悪く考えれば隠そうとした。
そのあたりのことが検証されるべきだと思います」
検察も裁判所も自分たちは間違えないとか
自分たちは常に正しいとかそういう阿呆なことを思うのをやめないかぎり
冤罪はなくなりません。
だいたい、最高裁だとか、最高検だとか
自分で自分のことを「サイコー」とか
言っていること自体、喜劇です。
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