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若松孝二監督、急死 12日に交通事故「命に別条なし」から一転
スポーツ報知 10月18日(木)8時2分配信
12日夜に東京・新宿区内で交通事故に遭っていた映画監督の若松孝二(わかまつ・こうじ)さんが17日午後11時5分、搬送先の病院で死亡した。76歳だった。若松監督は1960〜70年代に暴力や政治、エロスをテーマとする作品を量産し、全共闘世代に支持された。葬儀・告別式の日取り、喪主などは未定。事故の一報は16日に伝えられたが、「命に別条はない」とされていた。
交通事故から6日目。意識もあり、命には別条はないと伝えられた容体が一転、若松監督が搬送先の病院で亡くなった。若松プロでは17日深夜、「明日(18日)以降に対応を考えたい」と話した。
警視庁四谷署などによると、若松監督は12日午後10時10分頃、新宿区内藤町1で外苑西通りを横断しようとしたところをタクシーにはねられ、頭や腰を強く打つ重傷を負った。
かつて若松プロに所属していた高橋伴明監督(63)は16日夜、自身の新作映画の試写会で、「骨折だそうで、意識はある。本人が『今は家族だけで』と言ってるみたい」と説明。
現場は片側2車線の直線道路で見通しは悪くないが、近所の住人などによれば、若松監督は数十メートル先にある横断歩道まで行かずに道路を横断。中央分離帯を越えたところで、事故に遭ったという。 若松監督はテレビドラマの助監督を経て、63年に当時ピンク映画と呼ばれた成人向け作品「甘い罠」で監督デビュー。60年代にピンク映画を多数手掛ける一方、暴力や政治、エロスをテーマにした作品が若者に支持された。80年代以降に一般映画に進出。連続暴行魔が主人公の「水のないプール」や元全共闘世代の戦いを描いた「われに撃つ用意あり」で評価を得た。
08年にベルリン国際映画祭で「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」が最優秀アジア映画賞を受賞。10年には「キャタピラー」に主演した寺島しのぶ(39)が最優秀女優賞に輝いた。
最近も精力的に活動。今年は「海燕ホテル・ブルー」、「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」が既に公開。来年には、ベネチア国際映画祭出品作で最後の作品になった新作「千年の愉楽」(主演・寺島しのぶ)の公開も控えていた。
関係者によれば、寺島も訃報を知り、大きなショックを受けているという。
◆若松 孝二(わかまつ・こうじ)1936年4月1日、宮城県生まれ。地元の高校を中退後に上京。職を転々とし、テレビ映画の助監督を経て、63年にピンク映画「甘い罠」で監督デビュー。65年、独立プロ「若松プロダクション」を設立。2008年の「実録・連合赤軍あさま山荘への道程」でベルリン国際映画祭最優秀アジア賞などを獲得。10年の「キャタピラー」は、主演の寺島しのぶが同映画祭の銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞。
.【関連記事】
http://www.cinematoday.jp/page/N0045712
若松孝二監督、東電に宣戦布告!「本気になってケンカ」とベネチアでも若松節さく裂!【第69回ベネチア国際映画祭】
シネマトゥデイ映画ニュース] 第69回ベネチア国際映画祭の第2コンペティション部門オリゾンティに選出された若松孝二監督『千年の愉楽』が現地時間4日、公式上映された。会場には若松監督と共に高良健吾、高岡蒼佑、原田麻由が立ち会い、観客から温かい拍手を浴びていた。
高良健吾、高岡蒼佑も同席!映画『千年の愉楽』ベネチア会見&上映ギャラリー
若松監督のベネチア参加は初めて。『キャタピラー』などでベルリン、『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』で本年度のカンヌに参加しており、これで世界三大映画祭を制したことになる。
同作品は中上健次の同名小説が原作で、紀州を舞台に、高貴だが汚れた血を持つ中本家の男たちの生と死を描いたもの。公式上映に続いて行われた会見で若松監督は、本作に挑んだ理由について、「中上の小説はあまり読んでいなかったけど、昔から飲み仲間で。取っ組み合いのケンカになったこともあったけど、いつか彼の小説を一本撮ってみたいと思っていた。僕ももう76歳で、先が長くないのでね。いまのうちにと老骨にむちを打って作りました」と説明した。
最初のうちは穏便に話していた監督だが、しだいに熱を帯びてきたのか若松節がさく裂。きっかけは、海外の記者からの「あなたは連合赤軍など政治的なテーマをよく取り上げており、今回は部落差別問題に挑んだ。映画を通じて政治的な革命ができると思いますか?」という質問だった。
若松監督は「たかだか映画で何ができるかわかりませんが、僕はせめて映画で戦うしかない。連合赤軍や三島由紀夫事件は当時の若者が何故そうなったのか、国が表に出そうとしない。今回の差別問題もそう。そして今、どうしてもやりたいのは東電の話。誰もやろうとしないから本気になってケンカしてやろうと思っています」とベネチアでまさかの宣戦布告だ。
これには布石があるそうで、某大手映画会社で原発事故を背景にした作品の監督を依頼されたが、規制が多く断ったことがあったという。若松監督は「“東電”という言葉を出すのをやめてくれと。じゃあ、せめて東電に向かってひまわりの花を投げさせてくれと言ったら、それもダメだと言われたから降りた。この映画で1億円ぐらいもうけて、好きな映画を3本撮ろうと思っていたけどね」とニヤリ。最後は「映画は予算を掛けなくてもできる。これからも自分の好きな映画しか撮りません」と高らかに語り、気持ちよく会見場を後にしていた。(取材・文:中山治美)
第69回ベネチア国際映画祭は9月8日まで開催
日本の事件30
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