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「前科証拠」を原則認めず 放火事件で最高裁が初判断[産経新聞]
2012.9.7 22:53
1審東京地裁の裁判員裁判で放火について無罪、2審東京高裁で審理差し戻しとされた窃盗、放火事件の上告審判決で、最高裁第2小法廷(竹崎博允裁判長)は7日、2審判決を破棄し、東京高裁に審理を差し戻した。犯行の手口が似たような前科を有罪立証の証拠とできるかどうかが争点だったが、同小法廷は「前科の犯罪が顕著な特徴を有し、犯罪事実と相当程度類似すること」で、初めて証拠採用できるとの初判断を示した。
4人の裁判官全員一致の結論。前科については、犯行の手段が特殊な場合に証拠採用された例はあるが、基本的には認めないとする考えが大勢だった。裁判員裁判の導入も踏まえ、同小法廷が前科を立証に使うことを厳しく制限した形だ。
審理されたのは平成21年9月、東京都葛飾区で、無職の岡本一義被告(42)が空き巣に入ったアパートに火を付けたとされる事件。1審で検察側は「灯油を散布して火を付ける手口が似ている」とし、被告が以前に起こした放火事件の判決の証拠調べを請求。だが、地裁は「裁判員に偏見を与える」と証拠採用せず、放火以外の罪で実刑とした。検察側の控訴を受けた高裁は一転、類似性のある前科の立証は許されるとして審理を差し戻し、被告側が上告していた。
同小法廷は前科について「根拠の乏しい人格評価につながりやすく、事実認定を誤らせる恐れがある」と指摘。「同一犯であることを合理的に推認されるもので初めて証拠採用できる」と示した。今回の事件のケースでは、灯油をまいて火を放つという手口は「さほど特殊なものとはいえない」とし、「(放火の)行動傾向が固着化している」とした高裁判決を「推論に等しく、このような立証は許されない」と断じた。
◇
前科 以前に法を犯して刑罰を受けていることだが、法律上の明確な定義はない。最高裁は今回の判決で、起訴内容の立証に同種の前科を用いることを原則否定した。ただ刑の重さ(量刑)の判断では考慮すべき重要な要素とされており、情状面の立証で証拠とすることは許されるケースが多い。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120907/trl12090722530004-n1.htm
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