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移送される礒飛京三容疑者=10日午後、大阪市中央区の南警察署(撮影・志儀駒貴)
大阪通り魔の暴走人生…族総長、組員、薬物事件で服役
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20120612/dms1206120647002-n1.htm
2012.06.12 夕刊フジ
何の罪もない人々が犠牲になる通り魔事件が、また発生した。殺人未遂容疑で現行犯逮捕された礒飛京三容疑者は過去の無差別殺傷事件の容疑者と同様に「誰でもよかった。殺して死刑になりたい」などと身勝手な動機を淡々と供述した。
礒飛容疑者は覚せい剤取締法違反罪で服役していた、新潟刑務所から今年5月下旬に出所したばかり。出身地の栃木県から知人がいる大阪市を9日に訪れ、「たまたまたどり着いた」という同市中央区で10日、事件を引き起こした。
「通帳の金を20万円引き出し『もうこれしかない。生きていくにはどうしたらよいか』と包丁を買った」と話し、自殺を図ろうとしたと説明。事件については「仕事も住むところもない。死ぬしかない」と出所後の生活苦を動機に挙げ、「人を殺せば死刑になると思った」と供述している。
■裕福な子供時代暗転
礒飛容疑者は子供のころ栃木県那須塩原市などで、材木商の父親のもと3人兄弟の末っ子として裕福な家庭で育った。当時を知る親類の女性(85)は「なついてくれて、良い子だった」と振り返る。
しかし、小学校に通い始めたころ母親が亡くなり、父親の材木店も倒産。家族は逃げるように同県下野市に転居し、生活は暗転。非行が目立つようになったという。女性は「なぜ、縁のない大阪でばかなことをしたのか」と声を震わせた。
■暴走族総長・組員…
中学で1年後輩だった男性会社員(36)は「俗にいう不良。やっかいな先輩だった」と振り返る。礒飛容疑者は中学卒業後、地元の暴走族グループに入った。グループの後輩だった自営業の男性(34)によると、「総長」として約30人のメンバーを従えた。成人後は暴力団にも加入したという。
平成12年ごろ下野市へ戻り内装業を営んでいた時期もあったが、薬物事件で服役。男性会社員が最後に会ったのは18年ごろ。「因縁をつけられそうだったので目を合わせなかった」と話した。
過去には同じように自暴自棄になり犯行に及んだ通り魔事件がある。平成11年に東京・池袋で2人を殺害した造田博死刑囚(36)や、20年に茨城県土浦市で8人を包丁で刺し1人を殺害した金川真大死刑囚(28)の2事件で、死刑願望もあったとされる。警察庁によると、通り魔による殺人事件などは平成5年以降、年数件〜十数件で推移。20年が14件と最多で、21年4件▽22年5件▽23年6件となっている。
碓井真史・新潟青陵大教授(社会心理学)は「礒飛容疑者も人生に絶望し世の中を逆恨みした『ある種の自殺』と考えられる。自分の人生にとどめを刺すと同時に、世の中も道連れで終わらせたかったのではないか」と分析している。
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