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いまの日本に大岡越前守はいないのか、ゴビンダ元被告は冤罪15年の時間を取り戻せない
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2012年06月09日 00時21分51秒 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆テレビ朝日の時代劇「名奉行!大岡越前」、何回も再放送を見るたびに涙を流してしまう。北大路欣也演ずる大岡越前守が、南町奉行所の与力、同心により逮捕された被疑者・被告人が厳しい拷問などで自白に追い込まれて被せられた「冤罪」を自らの努力で晴らしていく。与力、同人の捜査、取調べの杜撰さが次々に暴露されていき、真犯人が明らかになる。
名奉行の独自捜査と名判決がなければ、無実の罪で「はりつけ獄門」「斬首」「火あぶり」などの刑に処せられるところだったという話が毎回出てくる。
「冤罪」で処刑されて、闇に葬られていく人は、今日でも跡を絶たない。この意味では、
最近の検察官(検事)と刑事裁判官(判事)は、質の劣化が激しいのではないか。そう痛感させられる事件が、多発している。事件を物的証拠によってよくよく吟味もせずに、頭から犯人と決め付けて、「状況証拠」と「推認」を重ねて、有罪判決を下す手法にどっぷり漬かっているとしか思えないのである。鼻から「推定有罪」とされたのでは、たまったものではない。
検察官(検事)の劣化は、目を覆うばかりである。捜査報告書を捏造作文して、被疑者、被告人を有罪に誘導する。もってのほかだ。
小沢一郎元代表の「暗黒人民裁判」をめぐり、ウソの捜査報告書を作成して上司に報告したとして市民団体から虚偽有印公文書作成・同行使罪容疑に問われた元東京地検特捜部所属の田代政弘検事(法務総合研究所教官)と上司の元特捜部長、佐久間達哉検事(法務総合研究所国連研修協力部部長)ら数人の検事は、全員に刑事被告人として刑務所送りにすべきである。懲戒処分により、クビにしなくてはならないのは、もちろんである。
◆テレビの「大岡越前」でも、与力たちは、厳しい拷問の末に犯行を自白した被疑者の犯行を覆すのは、「奉行所の権威、威信を損なう」として大岡越前守の独自捜査を懸命に食い止めようとする。その果てに「お奉行が老中からお咎めを受けますぞ」と脅したりする。何か、いまの検察官(検事)たちの姿がだぶってくる。それでも、大岡越前守は、言うことを聞かず、真犯人がいるはずだと独自捜査を止めようとはしない。それどころか、「私が腹を切ればいいことだ」と言って、密偵などを駆使して真相探求に努める。
朝日新聞デジタルが6月8日午前3時33分、「マイナリ元被告を釈放、入管施設移送 東電社員殺害事件」という見出しをつけて、以下のように配信している。
「東京電力女性社員殺害事件の再審請求で、東京高裁第4刑事部(小川正持裁判長)がゴビンダ・プラサド・マイナリ元被告(45)の再審開始と無期懲役刑の執行停止を7日午前に認めたのを受け、東京高検は同日午後、元被告を服役先の横浜刑務所から釈放した。
元被告は出入国管理法違反(不法残留)の罪で有罪が確定しており、東京入国管理局横浜支局に身柄を移された。強制退去手続きに入り、早ければ数日中に退去となる。母国のネパールに帰国した後に再審開始が確定した場合、再審公判は元被告が出廷しないままで進められるとみられる。高検が釈放を指揮したのは、刑の執行停止を取り消すよう高裁に求めたが、認められなかったため。検察側が『有罪だ』と主張している重大事件の元被告について、再審開始が確定する前の段階で釈放するのは極めて異例だ」
現代の与力は、責任感が欠如しているのか、やりたい放題である。間違っても一切責任を取ろうとしないのである。
もっと最悪なのは、刑事裁判官である。元刑事裁判官が、DNAなど科学のことはよくわからないなどと述懐している。早い話が「素人だ」ということである。科学に無知な刑事裁判官が、勝手に有罪判決を機械的に下しているということだ。実に恐ろしいことが日本の刑事裁判の法廷で行われている。
これはあくまでテレビの「大岡越前」のことだが、大岡越前守が、冤罪が晴れた被疑者、 被告人に土下座して、「申し訳なかった」と詫びる場面がある。15年も冤罪で苦しめられたゴビンダ・プラサド・マイナリ元被告は、まだだれからも詫びられていない。
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