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2012年04月30日
◆ 防音壁がギロチン
高速道路のバスが、防音壁に衝突して、大事故が起こった。ここで、間違った犯人ばかりが追及されて、真犯人が見逃されている。
──
高速道路のバスが、防音壁に衝突して、大事故が起こった。刃物でバスを二つに切るような感じだ。いわばギロチンである。
→ 読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120429-OYT1T00261.htm 、 スポニチhttp://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/04/30/gazo/G20120430003152750.html
その原因は? マスコミは、「会社が安値にするために過酷な労働を強いたからだ」というふうに報道している。
また、警察は、「犯人は運転手だ」というふうに、犯人を決めつけている。
→ 関越道バス事故:運転手に逮捕状 過失致死傷容疑でhttp://mainichi.jp/select/news/20120501k0000m040013000c.html
──
しかしながら、私の判断を言えば、犯人が間違えられている。真犯人は別にいる。では、真犯人は、誰か? 道路公団だ。
なるほど、運転手には、ミスがある。居眠りして、道路からはずれたことだ。しかし、罪はそれだけだ。つまり、道路からはずれたことには、運転手に罪があるが、多大な死者を出したのは、運転手に罪はない。運転手の本質的な罪は、「道をはずれた」という、道交法違反ぐらいだ。それは罰金で済む程度の軽い罪だ。( ※ 結果責任の過失致死傷は別として。)
一方、今回の事故の本質は、「道をはずれた」ことではなくて、「道をはずれると、多大な死者が出てしまう」ということだ。そして、そのような原理を用意しておいたのは、運転手ではなく、道路公団だ。
比喩的に言うと、道路に地雷を置くようなものだ。道路をはずれて地雷に触れたのは、その人の責任だが、地雷に触れた人が死ぬハメになるとしたら、地雷を設置した悪党に責任がある。そして、その悪党は、今回の例では、道路公団だ。
なぜか? 理由は、現場の状況を見ればわかる。次の構造があるからだ。
「道路をはずれたら、鋼鉄製の防音壁に正面衝突するようにしておいた」
つまり、道路脇にギロチンを設置しておいたわけだ。とすれば、大量の死者が出た責任は、たまたま(意図的でなく)ギロチンにぶつかってしまった運転手にあるのではなく、そんな危険なもの(ギロチン)を設置しておいた悪党にある。その悪党が、道路公団だ。
──
以上のことは、原理的には、次のサイトで指摘されていた。
→ http://togetter.com/li/295154
ただ、そこで示されている、事故の原因は、正しくない。そのサイトでは 「ガードレールに接触したあとで」というふうに説明されたいるが、現実には、「ガードレールに接触したような形跡はなく、防音壁にそのまま突っ込むような形で事故が起きた」そうだ。
→ テレビ朝日・ニュースhttp://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/220429041.html
また、そのサイトで示されている改善案は、妥当ではない。なぜなら、防護壁は、現状の場所から、外側へ移すことはできないからだ。それというのも、現場は陸橋であり、道路の外側には、何もない空間しかないからだ。
→ 現場の写真http://www.47news.jp/movie/general_national/post_6729/
空中に防護壁を置くことはできないから、防護壁の位置を外側に置くことはできない。では、どうすればいいか?
──
私の案を示せば、こうだ。
「連なる壁の端を、外に開くように斜めに配置する。
 ̄ ̄ ̄ でなく  ̄ ̄\ にする」
この場合、端の壁を変更するだけだから、コストはたいしてかからない。ごく簡単に対策が取れる。これぞ名案。
このようにすれば、今後の事故の発生を防げる……のではなくて、今後また事故が起こっても、多大な死者が出ることを防げる。
事故を起こさなくすることと、事故の被害をなくすこととは、別のことである。この違いを理解しないと、正しい対策が取れない。また、真犯人についても、理解しがたくなるだろう。
そして、真相を正しく見抜かない限り、事故による大量死の再発を防ぐことはできないのだ。
[ 付記1 ]
次の疑問があるだろう。
「一端の斜めの壁に自動車がぶつかったあと、斜めの壁だけが倒れて、そのあと、隣にあるまっすぐな壁にぶつかるので、結局はギロチンになるのでは?」
図示すると、次のようになりそうだ。
 ̄ ̄\ ⇒  ̄ ̄\
こうなると、1つめの壁がはずれた(倒れた)あとで、2つめの壁がギロチンになりそうだ。
この問題を解決するには、次のようにすればいい。
「1つめと2つめの壁が分離しないように、鋼鉄で連結する。その一方、地面と壁との結合は、弱めにする。(壁は倒れやすくする)」
このようにしておけば、「2つめの壁が倒れずにギロチンになる」ということはなくなり、「2つ目以降の壁が次々と倒れていく」というふうになる。そして、壁が倒れるときに、衝突した自動車のエネルギーを吸収する。(壁がガードレールになるのと同じ。)
これはつまり、「防護壁がガードレールになる」という案だ。これなら、事故の被害は最小化する。
現状では、逆に、事故の被害を最大化するようになっている。
愚か者のせいで命を失った被害者が可哀想だ。
被害者のご冥福をお祈りします。
[ 付記2 ]
調べてみたら、「端が斜めになった壁」は、他の場所に実例があった。
→ 写真http://trafficsignal.jp/~yuki_website/P1040602.JPG
その出典は、こちら。
[ 余談 ]
どうせ安全のための金をかけるのであれば、こういうことで死ぬ例を減らすために、金をかけるべきだろう。
その点、「放射線被害を減らすために、除染に莫大な金をかける」なんて、愚の骨頂だ。1000億円をかけても、一人の命を救うことはできない。(むしろ、何もしないで、高齢者を帰宅させてあげる方が、ずっと命を救える。)
日本はまるで、殺人のために金を払っているようなものだ。ひどいね。
【 関連項目 】
同じく交通事故を扱った話題がある。
→ トンネルの衝突事故http://trafficsignal.jp/~yuki_website/highway-ken_o-ivent.htm
※ トンネルで正面衝突する事故を防ぐには?
posted by 管理人 at 20:30 | Comment(11) | 災害・安全
この記事へのコメント
事故については、運転手の過酷勤務も理由だったようだ。
スケジュールはこうだった。
→ http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00222319.html
夜勤の連続勤務で、途中仮眠なし。相当、厳しい。
その後、昼間に睡眠を取るが、これも短時間なので、仮眠ふうだ。その後にまた、夜勤。そして、事故。
普通、夜勤では、途中に2時間ぐらいの仮眠を入れないと、生活リズムが狂うし、睡眠不足になりがちだ。
今回の事例では、すごく厳しいので、居眠りするのも当然だろう。この運転手には罪はないと思う。罪があるとしたら、過酷な勤務体制だろう。社長は「楽ちんな勤務態勢だった」と弁解しているが、実状は相当厳しかった。
二人勤務を義務づけよ、という主張もある。
→ http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120430-OYT1T00529.htm
それが妥当ですね。行政が介入するべきだろう。
「市場原理で安値競争すればいい」
なんていう小泉・竹中ふうの発想のせいで、今回の事故が起こった、とも言える。構造改革主義や市場原理主義こそ、安全の敵なのである。
なお、国交省の指針は、これ。
→ http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120429/dst12042921070028-n1.htm
この指針に、今回の事例は違反している。しかし指針に違反したというのは、罰則があるかどうかは知らない。甘すぎるようだ。「違反のし放題」かな。それが今の政治。
Posted by 管理人 at 2012年04月30日 22:25
ちょっと注釈しておくと、
・ 事故を起こさないための方法
・ 事故が起こったときの被害を最小化する方法
は、別々のことである。本文中では後者について述べ、コメント(すぐ上)では前者について述べた。
それぞれ、独立した話題なので、比較の対象にはならない。ただ、「事故を起こさないこと」が目的なのか、「死者を出さないこと」が目的なのかは、分けて考えた方がいい。
たとえば、バスの勤務態勢をどれほど改善しても、また別の理由で居眠り事故は起こるだろう。トラックとか自家用車とか送迎車とか。そのたびに「勤務態勢を改善せよ」「居眠り運転を根絶せよ」と言うべきか? それより、ちょっと簡単に、壁の向きを変えるだけで、死者を大幅に減らす方がいいか?
物事の良し悪しを考えることと、現実に命を救うこととは、別のことだ。私は人間の命を第1に考えるが、世間ではそうではないようだ。たとえば警察は、犯人を逮捕することだけが目的であり、今後の事故を防止することは念頭にはない。警察のやっていることはほとんど無意味だ。(どんなに検挙率を上げても、本人の意図していない居眠りを防ぐことはできないからだ。)
Posted by 管理人 at 2012年04月30日 23:02
飲酒運転の場合、運転手に酒を飲ませた人は、「飲酒運転幇助」の罪に問われる。
http://inshuunten.com/2006/10/post_8.html
では、居眠り運転の場合、運転手に居眠りをさせた(過酷な勤務態勢を強いた)会社は、居眠り運転の幇助の罪に問われるか? 問われないみたいですね。そこが問題かな。
Posted by 管理人 at 2012年05月01日 00:23
半年前に引っ越した時に、サカイ引越しセンターの社員は、午前中に積み込み作業をして、そのまま目的地までトラックを運転し、積み下ろしをして、そのまま空トラックを運転して帰るというスケジュールで、32時間ぐらい連続勤務でした。
サカイほどの大企業でも、こんな過酷な勤務をやらせている。
一応「4時間ごとに休み時間」という規定があって、法律は順守しているらしいが、休みといっても、運転席で横になるだけだから、そんなものは休みに入らない。
あのトラックが交通事故起こしても、一応、法律は守ってるから、使用者は刑事責任なんて追求されないでしょう。
法律が甘すぎるんですよ。
往路と復路で、運転手を替えるとか、途中の営業所で別運転手と交代するとか、いくらでも手はあるはずだ。
Posted by 井上晃宏 at 2012年05月01日 07:44
ニュース
「貸し切りバス 上限670キロ見直しへ」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012050190135553.html
見直したって、意味ないんですけどね。どうせただの「指針」で守られないんだから。
今回だって、距離はともかく時間では指針に違反していたが、その件は問われないようだ。指針なんかもともと守る義務はないのだから。
頓珍漢な対策。
そもそも防音壁はまるきり無視されている。
この分だと、次に死ぬのは、あなたかもね。バスではない自動車に乗っているときに。
Posted by 管理人 at 2012年05月01日 14:40
>そもそも防音壁はまるきり無視されている。
先程配達された読売夕刊の記事に指摘が掲載されていました。
記事では(事故現場は)20年以上前の構造で、現在はガー
ドレールが防音壁の横に伸びていて、角に突っ込む事が無い
構造になっている、それ以外の所は早急に対策が必要との事
でしたが、だとすれば管理人様の指摘と併せ運転手の方もあ
まりにも不運だったといいますか....
Posted by 七氏井 at 2012年05月01日 15:49
ガードレールを繋いでおけばいいのでは。防音壁が必要ならガードレールの外側に設置。橋桁をけちったからこんな構造になってるのかな。 考えてみるとインター出口も危険ですね。ガードレールにぶつかる事故はまれなのかな
Posted by maromaro at 2012年05月01日 16:09
読売の記事というのは、これですね。
→ http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120501-OYT1T00680.htm?from=popin
新聞もようやく、本質を報道し始めたようだ。
ガードレールにぶつかって、ガードレールを外側に押したということだから、togetter の指摘の通りであるようだ。
前の報道では「ガードレールに接触したような形跡はなく」ということだったから、ずるずるとガードレールにぶつかったわけではなく、ちょうど隙間の部分に突っ込んだことになる。ものすごく偶然が重なったことになる。
被害者はとても不運だったが、祈りを捧げつつ、以後は対策が取られることを願いたい。
ただ、対策が間違っても困る。記事では
「現在はガードレールが防音壁の内側まで延長され、隙間がないようになっている」
とのことだが、こういう方法だと、事故の前は大丈夫でも、事故でガードレールが外側に曲がると、(車体がガードレールといっしょに外側に出るので)やはり同じような事故が起こりそうだ。
基本的には、端の防音壁を斜めにしないと駄目だと思うんですよね。
Posted by 管理人 at 2012年05月01日 16:22
>基本的には、端の防音壁を斜めにしないと駄目だと思うんですよね。
同感です。「ガードレール自体が変形する恐れ」は当方気が付き
ませんでした。そういえば高度成長期に自動車のフロントガラス
に強化ガラスが使用されていた時「事故の際、割れた破片が目に
刺されば危険だ」「死亡ではないから重大事故ではない「失明が
重大事故ではないと言うのか?」といったやり取りで(大雑把な
記述ですが)豚の眼球を使った実験が行われ、最終的に欧米型の
合わせガラス採用に落ち着いた旨の新聞記事を思い出しました。
事象の根本を見据えた視点が欠かせないですね。
Posted by 七氏井 at 2012年05月01日 20:13
はじめに。この度の悲惨な事故により、
亡くなられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げます。
事故の被害を最小限に抑える為の「防護壁」であるが、
この度、凶器と化しているのは、明白。
安全配慮や想定に欠けた「防護壁」には、
大きな過失があると考える。
この度の事故が「防護壁の断面」でなく「側面」への、
接触事故であれば、例え横転したと仮定しても、
死傷者を最小限に抑える事が出来たはずだ。
又、壁の設置に、空間が限られている場合、
陸橋の下面(裏面)に、アームパイプ等を設置する事も、
可能であると考える。
「防護壁」の施工管理者等の責任は免れない。
Posted by 安全配慮 at 2012年05月02日 01:54
道路管理の責任とのご指摘はウロコから目です。百キロ程度のスピードを出していながら居眠りする責任と、危険な道路設備を放置した責任との軽重はどうなるのだろうか。
程度の低い弁護士では道路公団の責任は気がつかないかもしれません。
Posted by passerby at 2012年05月02日 12:18
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