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【要塞勝俣屋敷】 右翼青年 「引導を渡しに来た」
2012年3月10日 :(田中龍作ジャーナル)
山口青年が勝俣邸に着くや警察官が取り囲んだ。=10日午後、新宿区左門町。写真:筆者撮影=
発生から1年が経っても出口さえ見えない福島原発事故。
その張本人とも言える勝俣恒久・東電会長の邸にひとりの右翼青年が引導を渡しに訪れた。
年の瀬に勝俣会長邸近くの公園で抗議のハンストを決行した山口さん(26歳)だ。
山口さんは所属していた民族派右翼「統一戦線義勇軍」を先月14日に脱会した。
理由は「ハンストの件で迷惑をかけた責任を取った」。
きょう午後3時、山口さんはガールフレンドを新宿区左門町の公園に残して、単身、勝俣邸に向かった。真冬を思わせる冷たい雨が肩を濡らした。胸のポケットには東電の最高権力者に宛ててしたためた抗議文が納められている。山口青年はこれを『引導』と名付けた。
「安全を謳った原発で生活を奪われた人がいる。その痛みを自分の痛みと思って誠意ある対応を要求する」。けさ自宅を出る前に書き上げた。A4のコピー用紙に黒のボールペンで簡潔に綴った。
公園から2〜3分も歩かないうちに勝俣邸の前に着いた。制服、私服合わせて10数人の警察官が周りを囲む。山口青年は『引導』を玄関の郵便受けに投函しようと試みたが、制服警察官が「私有地だ、入るな」と阻んだ。
「入れろ」、「だめだ、敷地の中に入るな」…押し問答が5分余りも続いた。山口青年は諦めきれない様子だったが、コンクリートの要塞のような邸に向かって叫んだ―
「勝俣!辞めるって聞いたから来たぞ。しっかり反省したものと解釈して引導を渡しに来た。しっかり誠意ある対応をしてくれ」。
引導を渡された主は、11日に国立劇場で行われる政府主催の追悼式に出席する。「もう野菜を作れない」と遺書を残して自ら命を絶った農夫や生き地獄を味わう被災者に何と言って手を合わせるのだろうか。
◇
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要塞のごとき勝俣邸前。「何で入っちゃいけないんだよ?」山口青年は激しい口調で警察官に迫った。=写真:筆者撮影=
元記事リンク:http://tanakaryusaku.jp/2012/03/0003851
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