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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012022502000038.html
【社会】
母娘殺害 無罪確定へ 死刑求刑事件
2012年2月25日 朝刊
広島市で二〇〇一年、保険金目的で母親と娘二人を殺害したとして殺人や放火などの罪に問われて死刑を求刑され、一、二審で無罪とされた無職中村国治被告(41)の上告審で、最高裁第一小法廷(金築誠志裁判長)は「自白の信用性に疑問がある」として二十二日付で検察側の上告を棄却する決定をした。被告の無罪が確定する。
死刑求刑事件での無罪確定は、佐賀県北方町(現武雄市)で女性三人の他殺体が見つかった北方事件(〇七年確定)や富山県高岡市の暴力団組長夫婦射殺事件(〇八年確定)の例があるが、いずれも二審で確定。検察側が最高裁まで争って無罪となるのは、記録が残る一九七八年以降では初めてとみられる。
被告は〇六年に逮捕され、捜査段階で「ポリタンク入りの灯油をまいて点火した」などと自白し、容疑を認めた。だが公判で「捜査官に迎合して自白した」と否認に転じた。
同小法廷は、殺害や放火の証拠は被告の捜査段階の自白だけと認めた上で、自白の信用性を検討。勾留中に面会にきた実妹に涙を流しながら放火を告白したことや、被害者宅の灯油のポリタンクの置き場所が外部者には分かりにくいことなどから、「自白の信用性は相当高いという評価も可能で、犯人が被告人である疑いは濃い」と異例の言及をした。
その上で、▽母親の死亡時に受け取れる保険金の額を知らなかった▽放火の際にまいた灯油の成分が被告の身辺から検出されなかった−という二点から自白には不自然、不合理な部分があるとし、「犯罪の証明がないとした一、二審判決に、重大な事実誤認はない」と結論づけた。
決定は四人の裁判官の全員一致。横田尤孝(ともゆき)裁判官は広島高検検事長として事件にかかわったため審理を回避した。
被告は〇一年一月、母小夜子さん=当時(53)=の首を絞めて殺害し、灯油をまいて家に火を付け、長女彩華ちゃん=同(8つ)=と次女ありすちゃん=同(6つ)=を焼死させ、死亡保険金など計約七千三百万円を詐取したとして起訴されていた。
今回の決定は、疑わしいだけでは刑罰を科さない、という刑事裁判の大原則をあらためて示した。あえて「犯人が被告人である可能性が高い」と述べつつ、自白の不自然な点を指摘して無罪を維持し、原則の尊重を求める強いメッセージを発した。
裁判員制度導入を柱とする司法制度改革の議論では、▽裁判官が検察官の主張を信用しすぎて無罪推定の原則が徹底されていない▽二審が一審と同じような事実審理を繰り返している−など刑事裁判の原則と運用のずれが指摘され、改革による問題の修正が期待されていた。最高裁はそれに応えたといえる。
原則を重んじる最高裁の判断は今月十三日にもあった。一審の裁判員裁判で無罪、二審で逆転有罪となった覚せい剤事件で、「控訴審は一審の誤りをチェックする役割に徹するべきだ」と二審の本来の在り方を示し、無罪を支持していた。
一方、今回は自白頼りの捜査にも警鐘を鳴らした。二審広島高裁は「自白と現場の状況が矛盾し、検察官の主張は破綻している」と捜査を厳しく批判している。捜査当局も原点に戻り、自白と証拠が矛盾すれば検証し直す、という当然の努力を怠ってはならない。 (梅野光春)
◆真摯に受け止める
岩橋義明・最高検公判部長の話 検察官の主張が認められなかったのは誠に遺憾だが、最高裁の判断として真摯(しんし)に受け止めたい。
◆引き延ばし遺憾だ
弁護人の二国則昭弁護士の話 実質的な上告理由がないにもかかわらず、検察側が上告して約二年間にわたって裁判を引き延ばしたのは極めて遺憾だ。
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