http://www.asyura2.com/11/music5/msg/334.html
Tweet |
http://kaisakushosou.seesaa.net/article/235975102.html
快作諸相
プロデューサーのフィル・ラモーンがビリー・ジョエルのアルバム「ストレンジャー」の前に製作にあたったのがポール・サイモンの75年のアルバム「時の流れに」です。
このアルバムに収められていて大ヒットしたのが、「恋人と別れる50の方法」です。
タイトルを見ると歌詞で恋人と別れるための50の方法を提示してくれるのかとも思いますが、歌の主人公同様に聴く人にも教えてもらえません。
この歌の主人公は謎の女性に恋人と別れるには50も方法があるのだから、悩まずにさっさと別れておしまいなさい、と諭されます。それじゃ、「50の方法は?」と訊くといなくなるのです。
70年代中盤のアメリカは、内省の時代です。政府のベトナム戦争は大失敗に終わり、学生運動も失敗に終わりました。偉大な社会にはできませんでした。瞑想がはやり、精神分析がはやりました。
自分とは何なのかを知ろうとしたのですね。
この歌に出てくる女性は精神科医のようでもあり、占い師のようでもあり、人生相談員のようでもあって、とてもミステリアスです。自分を突き詰めていくと誰しもちょっとした小宇宙に吸い込まれます。この歌の主人公も小宇宙で彼にアドバイスする女性と巡りあったのです。
誰しも具体的な答えを求めているのに曖昧な答えしか出てこず、精神的に励まされるだけ。そんな答えなど無いのです。無いのに求めて誰か頼れる者にすがりつこうとする、そんな人間の弱さと非現実感を歌っています。
この曲では前奏のドラムも話題になりました。叩いているのは、このころ絶大な人気を誇ったドラマーのスティーブ・ガッドです。行進曲調のリズムで、ドラムの様々なパートを速やかにソフトに叩いていて、行進曲のように単調にはならず、単純なのに厚みがあり、柔らかいリズムを小刻みに叩いています。
主人公の男がミステリアスな女性と密やかに交わされる会話の雰囲気を演出するのにスティーブ・ガッドのソフトで小刻みな行進曲調のドラムは重要な役割を果たしています。
ガッドは、ドラムという一見単純な楽器をとても奥深いものにしています。
ポール・サイモンの囁くような歌い声、ガッドの小刻みに震えるドラム、ミステリアスで内省的な歌詞、この3つがこの曲を特徴づけています。
〜追記
スティーブ・ガッドのいたスタッフはお酒とともに聴く。
http://kaisakushosou.seesaa.net/article/236117213.html
フィル・ラモーンのプロデュースでブレークしたビリー・ジョエル
http://kaisakushosou.seesaa.net/article/235770769.html
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。